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- 事業評価外部有識者委員会(2022年2月)の概要
1.日時
2022年2月17日(木)10時30分~12時30分
2.開催方法
オンライン(Zoom)開催
3.出席者
高橋委員長、今田委員、木内委員、黒崎委員、功能委員、近藤委員、竹原委員、源委員
(JICA)企画部長、評価部長他
4.議事概要
今回の議題は、1)事業評価年次報告書2021(案)2)開発協力事業の新たなマネジメント方式に関する検討状況、の2点。今次委員会での助言等を踏まえ、今年度の事業評価年次報告書の最終化及び 新事業マネジメント方式における評価手法の検討を更に進める。年報は4月下旬に公開予定。
委員の主なコメントは、下記のとおり。
(1)事業評価年次報告書2021(案)
JICAでは評価にかかる取り組みや事業の評価結果をわかりやすく公表するため、事業評価年次報告書を作成・発行している。事業評価年次報告書2021では、冒頭要約(“at a Glance”)を新設して事業評価の仕組みや実績を紹介した他、今年度の事業評価結果や横断的な評価・分析結果等を掲載。
委員コメント
- 今回新設の冒頭要約(“at a Glance”)は、事業評価の目的や報告書のポイントが視覚的に分かりやすく纏まっており、大変良い。
- 今回の評価年報の内容は、国際協力事業に携わる人にとって参考になる。特にテーマ別評価は具体的な内容がイメージでき、今後の事業形成に活かせるもの。
- より詳しく案件の内容を知りたい読者向けに、公開案件の報告書はURLリンクのみならず、QRコードを付す等、更にオーディエンス・フレンドリーな工夫に期待。
- 「教訓」は将来の案件形成に活かす必要があり、「誰に向けた」「どの様な」教訓なのか、更に整理できると良い。教訓を経て改善のアクションを取るのは、JICA、相手国政府、受益者のいずれなのか等、教訓を行動に移すべき主体の明確化が重要。
- 評価結果の中で、裨益国、最終受益者のリアクションが十分見えて来ない。評価を通じて確認を行っているのであれば、同内容も記載できると良い。
- 多数の評価実績の中で教訓活用事例が2件というのは、やや迫力不足の印象。今後、事例数を増やす等、見せ方を工夫・検討頂きたい。
- インターンの寄稿に、「理論面だけではなく国際協力事業の現場が大切」という生の声の掲載あり。JICAの支援者、特に若者の関心拡大は重要であり、大変良い。
(2)開発協力事業の新たなマネジメント方式に関する検討状況
個別の案件単位ではなく、SDGsゴールへの貢献を念頭に、課題解決に向けた大きな纏まり(グローバルアジェンダ・クラスター)で事業を実施、評価を行うことについて検討が進んでいる。
委員コメント
- クラスター事業戦略では、最終的に社会構造の変革まで目指している。その達成には、民間等の多様なステークホルダーの力が必要。クラスター・シナリオの適切な作成に加え、それを実際に現場で動かすバックボーン組織の構築とそのマネジメントが重要。
- コレクティブインパクトの達成に向け、JICA外の介入を如何にマネジメントするか、バックボーン組織を誰が担うのか、協力シナリオの取り扱いをどうするのか等について、今後明確化していく必要がある。
- 新事業マネジメント方式では、発現したインパクトの確認、特に失敗を含むネガティブなインパクトを適切に捉えることが重要。社会的インパクト等は、関係者の立ち位置によって評価が異なる場合も多い。多様なアクターの存在を念頭に、全体最適を検討する必要がある。
- 事業改善の観点からは、個々の事業のプロセス・モニタリングが重要。個別案件を試行錯誤しながら動かすプロセスから、具体的な学びや教訓が導き出される。形成的評価の視点を導入し、指標のみに捕らわれず、どの介入がどう繋がったかを確認するセオリー評価の観点も重要。数字だけのトラックは危険。
- 本方式ではリスクマネジメントの観点があまり意識されていない印象。リスクの蓋然性が一定以上に高まった場合には、当該事業を実施しないという選択肢もあり得るものと思料。
- クラスターの選定の妥当性を、どう判断しているのか。各クラスターの評価も重要だが、選定されたクラスターの達成が、紐づく元のグローバル・アジェンダ(GA)にどれだけ貢献したのかが明確に分かることが重要。
- 日本企業等が関心を寄せる既存の個別ODA事業の適切な実施にも、引き続き注力頂きたい。
(3)委員長まとめ
- 新事業マネジメント方式の導入は、JICAにとって大変大事な仕事。組織改革の問題、人材の問題、他のステークホルダーとの連携とその取り纏め(プラットフォーム)の問題等、今後も重要な検討過程が継続するものと思料。
- クラスターのマネジメントには、アトラクティブなリーダーシップを兼ね備えた人材が必要。各シナリオは相手国側ともしっかりと共有し、理解を得てフィードバックを貰い、改善を重ねる必要がある。JICAには今後、開発協力の世界のrule takerではなく、rule makerとなることを目指して頑張って頂ければと思う。我々委員も他のステークホルダーの意見を聞くチャネルを有しており、本件に協力していきたい。
- 評価年報に関しては、冒頭要約(at a Glance)は、言わば高校の授業等にも活用できそうな、分かり易い内容に纏まっている。記載内容を複雑化しないことも重要。
以上
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