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事業評価外部有識者委員会(2023年8月)の概要

1. 日時

2023年8月29日(火)14時00分~16時00分

2. 場所

独立行政法人国際協力機構(JICA)本部会議室

3. 出席者

高橋委員長、源委員長代理、石本委員、今田委員、功能委員、近藤委員、舟越委員、山形委員
(JICA)宮崎理事、評価部長他

4. 議事概要

今回は、前回(2023年2月)の委員会でも議論いただいた、「クラスター事業戦略及び同事業戦略に位置付けられる個別事業(技術協力を中心に)のモニタリング・評価の試行について」の1点を議題とした。冒頭JICAから、課題解決に向けた事業の大きなまとまりである「クラスター事業戦略」の評価手法等に関する最新の検討状況を報告した。委員会では、全体としてクラスター評価の方向は時宜に叶ったものであるとの評価を受けたとともに、評価の視点に留まらない事業マネジメントに係る貴重な提言を頂いた。今次委員会での助言等を踏まえ、新事業マネジメント方式における評価手法の更なる検討を進める。
委員からの主な助言・コメントは以下のとおり。

委員コメント

  • クラスター単位の評価で形成的評価に重点を置く現方針は妥当である。また、評価 6 項目について、事業進捗段階に応じて選択的に評価する手法も妥当である。教訓のフィードバックでは改善の責任主体を明確にし、同部門への権限委譲と予算措置を行うべき。
  • 激動する国際情勢の影響を受け、当初のシナリオや計画が変化し、JICA もそれに対応しなければならない状況が発生するはずである。従来は外部要因として取り扱ってきたこうした情勢変化や、地域毎の事情の違いも踏まえて、柔軟に事業実施及びモニタリング・評価する必要がある。
  • 国際機関(UNDP)等も、個別事業毎ではなくクラスターで検討している単位での事業実施・モニタリング・評価等に取り組んで来たが、容易ではない。こうした困難なタスクの遂行に当たり、重要なのはトップのリーダーシップ、信念・方針である。目標年次を定めて時限的に行うことで組織内も結束できる。
  • クラスター評価は、従来の個別案件の総括的評価を中心としてきた枠組みからの大きなレジームチェンジである。今は計画ありきの時代ではない。外部要因への対応は画一的な方法によってではなく、個別に手探りで行う。新制度導入に当たり業務量の負荷を十分に考え、欲張らないこと、頑張り過ぎないことが肝要である。
  • 新制度導入に当たり、評価部の仕事の質がどのように変化するか。具体的には「評価の実施」から「評価のファシリテート」に変わる。また、データを使ったナレッジマネジメントも重要である。
  • 組織内の部署間調整、クラスターと個別事業との関係性を整理すべき。また、部門間のコミュニケーション、ナレッジマネジメント及び連携の在り方も整理・強化すべき。

委員長まとめ

  • 途上国の開発を進める上で、相手国のリソースを含めて実施・評価する必要がある。その上で、支援が途上国の開発の役に立っていることを分かりやすく説明する責任がある。その意味から、個別事業の評価だけではなく、より開発課題全体の観点から効果を検証することが重要である。そのような変革を行うことに関する説明責任を果たすことが重要である。
  • プラットフォーム活動は、日本国内のステークホルダーのみではなく、むしろ各途上国のステークホルダーとの関わりをより重視し JICA がアプローチできるかがポイントではないか。
  • 開発援助を検討して行く際に重要なのは、相手国側の意識(will)。これを持っているかどうかで、開発効果の発現状況は大きく異なる。クラスターマネジメントに関しては、途上国にもしっかりと説明し、理解を得る必要がある。
  • 現在進めているクラスターの新規形成やモニタリング・評価等の試行について、これまで特にデータや経験の蓄積がある課題が先行している。今後を想定した場合は、過渡的なものと理解した。この点を踏まえ、本日説明あった試行に取り組みその検証については、次回委員会でも進展状況等を確認する機会になれば良い。

以上