農業開発/農村開発

コートジボワール共和国

コートジボワールってどんな国?

首都 ヤムスクロ(最大都市:アビジャン)
公用語 フランス語
人口 約2,638万人(2020年:世銀)
国土 322,436平方キロメートル(日本の約0.9倍)
その他 約60の民族が居住している

コートジボワールは、北大西洋に面し、西アフリカ5か国と国境を接して(東:ガーナ、北:ブルキナファソおよびマリ、西:ギニアおよびリベリア)、北緯4度から11度に位置する。国土面積は約32万平方キロメートル(日本の約0.9倍)で西部の一部に山岳地帯がある以外は、北部から中部にかけてのほとんどの地域はなだらかな丘陵地帯で、南部は海岸平野となっている。首都ヤムスクロの平均気温は一年を通して摂氏25度前後。

西アフリカ経済通貨同盟(UEMOA)で最大のGDPを有する経済大国。基幹産業は農業で、人口の約半数が農業に従事し、GDPの約3割、コーヒーやカカオといった品目が輸出額の大部分を占めている。1993年から石油生産が始まり、近年はコーヒーと並ぶ主要輸出品となっている。その他の輸出農産品として食用バナナ、パイナップル、パーム油、カシューナッツなどが挙げられる。

コートジボワールは、1990年代後半から続いた社会や経済、軍事的混乱によって、社会不安や貧困・格差の拡大は深刻化したが、2011年の内戦終結後、同国政府は復興計画に取り組み、2012年以降は高い成長率を維持してきた。西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の加盟国の中でも、西アフリカ地域の社会安定や経済発展、地域統合を牽引する役割も有している。

(参考文献:JICAウェブページ「コートジボワール」、外務省ウェブページ「コートジボワール共和国基礎データ」、国別開発協力方針(旧国別援助方針)(外務省)(PDF)(注1))

(JICA関連事業)

国際協力機構によるコートジボワール国に対する協力の歩み、支援実施方針、セクターごとの支援プロジェクトなどについて紹介

(農業機械関連情報は最下段の「各種報告書」を参照ください)

農業の特徴

コートジボワールの農業生態学的ゾーン

【画像】

出典:コートジボワール政府公表の報告書より

農業セクターの概況

農業は労働人口の40%、GDPの21%を占める主要産業。2019年の食用農作物の生産量は、ヤム(718万トン)、キャッサバ(524万トン)、カカオ豆(218万トン)、サトウキビ(197万トン)、コメ(籾)(188万トン)、カシューナッツ(殻付き)(79万トン)。カカオ豆とカシューナッツ(殻付き)はそれぞれ世界第1位の生産量で、特にカカオ豆は2位のガーナ(81万トン)の3倍近い生産量を誇る。

2020年輸出総額は約1兆2,953億円で、カカオ関連が約6,833億円(52.8%)、ゴム関連が約1,494億円(11.5%)、果物・ナッツ類が約1,263億円(9.8%)と、農業分野が占める割合が大きい。

大きく4つの農業生態学的ゾーンに分類でき、ゾーン1は単一雨期(6~10月)と長い乾期が特徴。ゾーン2~4は1年に2回の雨期と2回の乾期があるが、雨期の時期や年間降雨量はゾーンによって異なる。

農業機械の利用状況

(1)概要

農機はサトウキビ、アブラヤシなど商品作物を生産する大規模農園(エステートあるいはプランテーション)での利用がほとんど。トラクターにてトレーラーを牽引し、大規模農園で収穫したアブラヤシの果房の運搬に利用している。作業負荷が比較的小さいため、耐用年数や稼働時間は長い。

(2)機械化に向けた課題

小・中規模の圃場でも中国製・インド製・日本製の農業機械が徐々に使われてきているが、生産現場では農家数に対し農業機械台数が絶対的に少ないため、適期作業の遅延が起こり、収穫時の損失も含め生産性が低いという問題が生じている。

農業機械化に向けては以下のような課題が見られ、いまだ農業機械利用の条件が十分に整ってきているとは言い難い。

1)圃場1区画の面積が小さく、且つ非定型のため作業の効率が悪い。
2)圃場には切り株が残っていたり、排水状態が悪かったりして機械の導入が困難な場所がある
3)農業機械は高価な一方、販売店のアフターサービスが地方には届き難く、消耗部品の購入も容易ではない
4)オペレーターの技能や経験不足のため、適切な操作や定期メンテナンスができず、早く故障するケースが見受けられる。

(3)サービスプロバイダー

海外から輸入される高価な農業機械を小規模農家自身が購入することは容易ではない。そこで、農家は機械作業が必要な時だけ、機械の所有者に作業を委託する。そのような農機を利用した請負作業は、裕福な農家が所有する機械を使ってサービスを提供する場合と、民間業者が農作業の請負サービスを提供する場合とがある。後者は一般に農機サービスプロバイダーと呼ばれ、農機サービスのみを提供する企業に加え、農業経営を主たる業務とし法人格を有して農場を経営する場合や、農家への委託栽培の一環として農機サービスを提供する場合などがある。

コートジボワール政府は過去の教訓を踏まえ、中小農業企業(Petites et Moyennes Entreprises Agricoles、以下「PMEA」)と呼ばれる民間業者を通じた農家への農作業請負プログラムを推進している。特にコロナ禍による稲作への影響軽減のため開始された稲作緊急プログラム2020(PUR2020:Programme d'urgence Riz 2020、以下「PUR」)において、国務・農業農村開発省(以下「MEMINADER」)傘下のコメセクター振興公社(以下「ADERIZ」)は、同プログラム資金で農業機械を調達し、20%補助且つ無利子でPMEAの農業機械入手を支援している。2021年にADERIZが実施した調査によると、コートジボワール国内には、個人の機械オーナーを含む大小合わせて298のサービスプロバイダーがいる。2023年1月現在、ADERIZに正式に登録されているPMEAは29社となっている。

コートジボワールでは本邦企業数社が国内に代理店を置き、圃場機械や収穫後処理機械等を販売している。(注3)

現地の様子、活動写真

【画像】

コンバインを使って収穫作業を行う農機サービスプロバイダー。日本製を使っている(サカス)

【画像】

カカオ農園の敷地内に広がる天水低湿地の水田にて耕うん機を利用したうない掻き作業(ガニョア)

(3)コートジボワールの稲作の概況

コートジボワールの稲作の概況を、アフリカ稲作振興のための共同体(Coalition for African Rice Development:CARD)が使用している指標に基づいて見てみると、2021年のコメの生産量は約170万トン、栽培面積は約58万ヘクタール、ヘクタールあたりの収量は2.85トン、コメの自給率は45.3%となっている。

CARD開始当初の2008年の生産量は約93万トンであったから、過去10年間で倍増しているものの、消費量も同じく増加しているためコメの自給の半分程度しか満たせていない。(注4)

2014年2月から2020年3月までの6年2カ月間実施したコートジボワールの国産米振興支援の取組みについての報告

活動動画

準備中