CARD2の目標を達成するためには、生産量を構成する「栽培面積」の拡大、「単位面積当たり収量」の向上に加え、輸入米に対抗して「売れる品質の米」が重要となります。従来の伸び率で推移した場合、2030年までに面積は1.5倍、単収は1.3倍になる計算です。しかし、倍増目標達成のためには、これらをさらに伸ばす必要があります。そのためにも、CARD2では以下の4つのアプローチの頭文字を並べた「RICEアプローチ」を採用し、アフリカ地域経済共同体(RECs)を通じた域内流通、民間投資促進も含め、複合的な道筋で目標達成への貢献を目指します。
RICEアプローチ
1)気候変動・人口増に対応した生産安定化(Resilience)
具体的取り組み内容
- 灌漑/低湿地開発
- 適正品種の育種・普及
- 栽培環境別の適正技術普及
- 国内での適地適作・流通改善
- RECsを通じた域内コメ流通促進
2)民間セクターと協調した地場の産業形成(Industrialization)
具体的取り組み内容
- コメ関連産業(精米・農業機械等)の育成
- 国内/域内流通市場アクセスの改善
- 官民対話の促進
- 投資環境の改善
3)輸入米に対抗できる国産米の品質向上(Competitiveness)
具体的取り組み内容
- 優良種子の導入
- 収穫後処理技術の向上
- 民間セクターの能力向上
4)農家の生計・生活向上のための営農体系構築(Empowerment)
具体的取り組み内容
- 土地生産性・労働生産性の向上
- 裏作導入による収益増・栄養改善
- 農村金融の活用
- ジェンダー配慮
「CARD」の戦略的取り組み
「CARD2イニシアティブ」の取り組み全体の中で、JICAの強みを念頭に他ドナーとの役割分担・連携を行ないJICAの貢献策である「サブクラスター『CARD』」の内容を策定するとともに、「2030年の成果指標」を検討しています。
また、事業の展開に当たっては、以下の点に留意し、限られたリソースの中で戦略的に展開していきます。
(1)重点的稲作推進と域内流通の促進
- 対象国32か国をグループ化、効果的な資源配分や域内協力を推進。
- 地域拠点:アフリカ各地域の稲作振興拠点となりうる国(5か国)
- 重点国:農業プログラムを制定し、稲作振興を推進している国(15か国)
- その他支援国:農業プログラムを制定しておらず、研修参加を中心とする国(12か国)
- 類似栽培環境下の複数国対象の広域協力展開、教訓・成果品の共通・共有化
- 回廊マスタープランの成果も活用した国内・域内流通インフラ整備
(2)戦略的人材育成(アフリカ人材、日本人若手人材)
- 開発大学院連携構想による中核人材育成、技プロとの相乗効果
「農林水産業分野人材育成計画2020-2030」 - 本邦研修/第三国研修/アフリカ域内研修/現地研修の戦略的活用
技プロとの相乗効果、他ドナーとのコストシェア - 日本人専門家人材の育成
青年海外協力隊の関与強化
(3)資金協力(無償・有償)の積極的活用
- 「栽培面積拡大・単収向上・生産安定化」:灌漑開発、低湿地開発
- 「品質向上」:農業機械導入、流通インフラ整備、金融アクセス改善
- 「技協成果の面的展開」:財政支援、開発政策借款
- 他ドナーとの協調融資、海外投融資(農村金融、農業機械等)の活用
(4)本邦民間セクターとの連携
- アフリカ・ビジネス協議会農業WGの打ち出す貢献策と連動
- 1.農業機械・農業技術実証(域内拠点での農機デモ・新技術トライアル・人材育成)
- 2.バリューチェーン構築支援(電子プラットフォーム構築による農業資材販売・農機配車サービス・共同集出荷)
- 民間企業との連携協定
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