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SHEPのコアコンセプトである4つのステップは、SHEPアプローチがどのように実践されているのかを具体的に示すものです。このステップの中の各々の活動には、農家の営農改善への意欲を高めながら、ビジネスとしての農業を推進する活動が入っています。下表の活動はケニアの事例ですが、活動については国ごとのコンテキストに応じてカスタマイズすることが奨励されます。
4つのステップとは?
SHEPアプローチには、大きく分けて4つのステップがあります。
1.対象農家選定と目的共有
農家を含むすべての関係者に、プロジェクトのコンセプト等を説明する活動説明会を開催します。このプロセスを通じて、参加者はこれから実施する活動内容や自身の役割と責任を理解するとともに、市場志向型農業の実現についてのビジョンが共有されます。
2.農家の気づきの機会創出
農家の気づきの機会を作り出すためのステップとして、参加型ベースライン調査、お見合いフォーラム、男女農家普及員集合研修、農家による市場調査といった活動があります。中でも、農家自身による市場調査が一番重要な活動と言えます。
- 参加型ベースライン調査では、農家の営農の状況について、農家自身が普及員等の助けを借りながら収量などのデータを分析することで実態把握をします。
- お見合いフォーラムとは、農民組織と園芸産業関係者の情報交換によるビジネスリンケージ構築のための会合です。
- 男女農家普及員集合研修では、ジェンダー・家計研修を実施することで、「夫婦は営農パートナー」として生産性向上のために夫婦が協力し合って農作業や経営にあたることを奨励しています。
- 市場調査では、農家が直接市場を訪れて市場調査を行います。価格だけではなく、求められる品質や量、価格の変動や売れ筋の品目についての情報収集を行います。
3.農家による決定
市場調査の結果を基に、農家グループのメンバーが栽培する作物を選び、出荷時期等の話し合いを行います。
4.技術《解決策》の提供
農家の選んだ市場が求めている作物を作るために必要な技術を学びます。1〜3のステップを踏まえ農家自身が栽培する作物を決め、そのために必要な栽培技術が農家と普及員で確認されます。農家のニーズに基づいた技術が提供されるため、農家の学ぶ意欲は高く、技術の採用率も高いといえます。
4つのステップのポイント
これまでに多くのプロジェクトで行われていた活動と何がどう違うの??
ポイント1 参加型ベースライン調査
- 普及員が農家とともに実施する。
- 普及員が実施できる簡易な質問事項を活用する。
- 農家は、営農状況を具体的・実践的に知り、且つ「何を知らないのか」を知る。
(従来の方法:外部専門家を雇用しベースライン調査を実施。農民組織の調査分析への参加や意見を反映する機会は無い。作物の選定は外部専門家又はプロジェクトが決定する)
ポイント2 お見合いフォーラム
- 参加者は農民組織と園芸産業関係者に限定され、事前にプロフィールを作り回覧することで、誰と取引したいかと考え参加できる。
- 農民組織にとって取引可能な園芸産業関係者を選んで参加させる。
- 園芸産業関係者のブースを農民組織が回り、ビジネストークができるように会場を設営する。
(従来の方法:農業省等が定期的に開催するが、内容は農業展覧会や展示会にとどまる。参加が自由で出入り自由であると、誰が参加するか分からないため関係性を築くのが難しく、ビジネス成約率が低い。)
ポイント3 市場調査
- 普及員・農家自身が近隣の市場に足を運び、現場を視察する。
- 市場で直接情報を得ると共に、市場関係者を知る機会になる。
- 市場のニーズを把握、作物選定のための情報を把握できる。
- プロジェクト活動の初期段階で実施することで、園芸作物の価値・可能性を実感し、「売るための作物」という意識が芽生える。
(従来の方法:外部専門家が詳細な市場調査を実施し、農民の関与は殆ど無い。調査結果は外部専門家が分析し、メディアを使って市場情報を普及員・農民組織に配信する事が多い。農家にとっては、自分の地域に特化した情報ではない事が多く、また余裕がないこともあり、情報が十分に活用されない場合が多い。)
ポイント4 ディマンドドリブンな技術研修
- 研修内容は、農家が市場調査の結果をもとに決定した、農家の「学びたいこと」となる。
- 普及員は、農家の「学びたいこと」について、ToT(Training of Trainers)研修を通じて学び、それを農家に対し研修する。
(従来の方法:研修内容は、外部専門家やプロジェクト、政府機関が決定し、それを研修する。そのため、農家側はやらされている感覚を持つことになり、技術の定着が進まないことが多い。)
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