広域化方針

SHEPアプローチの広域化は、農業普及に関わる途上国の行政官や普及員を対象として日本及びケニアで行われる課題別研修「アフリカ地域市場志向型農業振興」を起点としており、アフリカ各国の政府に対する同研修への参加意向確認から始まります。関心を示す政府は、各国のJICA事務所と相談の上、自国の農業普及事業にかかわる人材を研修参加候補者として指名します。

【画像】研修参加者は、日本でSHEPアプローチの原理原則や日本の農家を取り巻く各関係者によるビジネスとしての農業の実践について学びます。その後、ケニアにてSHEPについて様々な経験値を積んでいるケニアのスタッフからSHEPの取り組みについて学び、またSHEPにより成功した農家を視察します。これらを通じて研修員はSHEPアプローチの有用性や取り組み方を理解するとともに、研修の成果として、自国におけるSHEPアプローチを活用した農業普及サービス実践のためのアクションプラン(行動計画)を作成します。

【画像】研修員は帰国後、自国において活用可能な人的資源、資金等を検討の上、研修中に作成したアクションプランを実践します。アクションプランの実践は試行錯誤のプロセスでもあり、JICAは運営指導調査団や広域専門家等を通じて技術的アドバイスを提供し、帰国研修員の取組みをサポートします。また、アクションプランの実践が進められ、一定の成果を上げている国で、更なる支援により成果の拡大や自立発展性の強化が期待される場合は、技術協力プロジェクトによる支援を行うケース(マラウィ、セネガル、エチオピア等)もあります。

【画像】なお、農業普及の強化に係る事業(JICAの技術協力プロジェクト等による)が既に実施されている国からも上述の課題別研修に参加するケースがあります。その場合、研修員はSHEPアプローチの導入を通じた実施中の事業(プロジェクト)の質向上に向けたアクションプランを作成します。

各国におけるSHEPアプローチ導入による農業普及サービス強化に向けた取組み事例は、毎年南アフリカにて開催されるワークショップにおいて共有されます。同ワークショップには、帰国研修員のみならず、農業普及事業にかかわる途上国の行政官、JICA専門家、他ドナー関係者も参加し、農業普及サービスの改善に向けた活発な意見交換が行われます。また、開発コンサルタント向けの能力強化研修を日本で開催し、SHEPアプローチに精通する日本人専門家の育成を図っています。

これまでのところ、JICAは主にアフリカ地域内におけるSHEPの広域化を図ってきました。今後は、これまでの成果を踏まえ、中南米地域等、他地域にもSHEPアプローチを広める方針です。

【画像】SHEPの広域化 広域化はどのように?