新規プロジェクト立ち上げに向けて、関連する3省を対象に研修を実施

2020年4月6日

2020年3月に行われた研修について、企画・運営に携わった深井アドバイザーから報告をいただきました。

3省31名を対象とした研修実施に至るまで

JICAでは現在、ブルキナファソ国において「農業を通じた栄養改善プロジェクト」の実施に向けた準備に入っています。このプロジェクトの実施体制は農業・農業水利整備省(以下、農業省)を中心としつつも国家教育・ローカル言語広報省(以下、教育省)、保健省とも連携していくマルチセクトラルなアプローチを軸としています。一方、プロジェクトでは栄養改善を促進するためには農家の収入向上は不可欠としてSHEPアプローチを重要なツールと位置づけて3省協議の間も幾度となく話題に取り上げられました。
そのような状況下、SHEPアプローチの知名度はまだまだ低いと感じていたため、農業省行政官を対象としたSHEPアプローチについて知る研修(以下、SHEP研修)の実施を予定していました。一方で、協議を通じてSHEPアプローチに興味を持ち始めた他省の行政官から「我々もSHEPアプローチを知りたいから研修に参加したい」と申し出を受け、農業省24人、教育省6人、保健省1名の合計31人の大所帯で研修を2020年3月2日~5日の日程で実施することになりました。
研修は、SHEPアプローチにかかる理解を深める講義の他、市場調査演習の実施、その後にアクションプラン作成指導演習を行うというプログラムとしました。当該SHEP研修の講師は、JICA課題別研修「市場志向型農業振興(行政官)」コースに参加した経験を有する2名を予定していましたが、研修参加者の増を受けて、2020年2月に実施した上記研修の参加者ら4名を講師アシスタントとして起用しました。

研修で得られた新たな気づき

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研修中の協議風景

研修の様子ですが、農業以外のセクター関係者が参加するSHEP研修は私も経験したことがなかったため、まったくどのような研修になるのか、想像もつきませんでした。人数が多く、意見集約に時間を要した場面もありましたが、良い意味で裏切られました。SHEPアプローチでは、「売るために作る」農業を農家が考えるプロセスが重要です。研修を受ける中で、教育省と保健省からの参加者は、圃場と市場をつなぐ方法論に強い関心を示し、食材生産から学校での給食提供における教育省の関与など、各セクターでのシミュレーションを自ら思考し始めたのです。他方、新たな気づきは農業省参加者も同様で、多くがSHEP研修を受けて「これまで生産増にこだわっており、流通にかかる視点が欠けていたことに改めて気付かされた」とコメントしていました。

プロジェクト開始に向けた基盤づくり

参加者の研修参加にかかるモチベーションを高めた要因に農業省次官自らが研修に出席してくれたことがありました。農業省次官は、「農業を発展させるには市場流通面での強化が不可欠だが、ブルキナファソでは、その分野が手付かずになっている」、という考えの持ち主であったため、SHEPアプローチに対しては好意的に受け止めてくれています。次官は日本側関係者との集まりにおいて農業大臣、日本側(在ブルキナファソ国日本大使、JICAブルキナファソ所長)に対してSHEPアプローチの重要性を語っており、今後のブルキナファソにおいてSHEPアプローチを展開していく上で農業省内に堅固な基盤を構築できていると実感します。
当該プロジェクトのようなマルチセクトラルアプローチで事業を実施する場合、このような研修を通じてプロジェクト関係者が1つのテーマについてお互いの考え方を示し、議論し合う場を設けることはプロジェクトを円滑に運営していく上で有効な手段と考えます。

ブルキナファソ農業・農村開発政策アドバイザー・深井氏

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写真中央の青色の服が農業省次官

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深井アドバイザー(左から2人目)