仏語圏アフリカからの便り-オンラインによる課題別研修と国際ワークショップ(2021月6月28~7月16日)-

2021年10月1日

2020年3月以降、アフリカ諸国でも継続的にコロナウイルスのパンデミックが続き、これまで実施してきた対面式の研修や国際ワークショップが「当たり前」にはできない状況が続いています。このような中、課題別研修「アフリカ地域市場志向型農業振興」と仏語圏アフリカSHEP国際ワークショップについても、私たちがこれまで実施したことがない新しい方法を試すことになりました。パンデミック収束後に活動を再開するのではなく、限られた状況下であってもその時にできることを「続ける」ことが重要だと考えたからです。

課題別研修は予定よりも約半年遅れで開催され、ブルキナファソ、コートジボアール、マダガスカル、ニジェール、セネガルの5か国から14名が参加しました。本邦研修の場合、一週目は日本の農業普及を担うJAや農業普及センター、様々な工夫を凝らして販路を広げる農家や卸売市場の訪問を行うのですが、今回はその代わりにNPO法人「自然塾寺子屋」が制作した群馬県甘楽町他でのルポタージュビデオを活用したバーチャル視察を行いました。二週目には、参加者各自が市場や農家へのアンケート調査を実施し、三週目には自己決定理論に基づくモチベーション向上を意識した活動計画の立て方とその工夫について、ワークショップも交えた研修を行いました。

通常であれば、毎日の取組みを通して自然と研修員間の繋がりが深まっていくのですが、オンラインでは情報の一方通行になりがちです。そこで、研修員や運営チームをつなぐためのWhatsAppグループを作り、より交流しやすくなるような工夫をしました。二週目のアンケートの際には、参加者が積極的にそれぞれの活動現場から画像や動画で実況中継し、お互いを励まし合っただけでなく、研修後の現在も、アクションプランの進捗を継続的に伝え合っています。このような展開はこれまでの研修よりも良かった点かもしれません。

また、この間、セネガル農業省の開催委員会を通して仏語圏アフリカSHEP国際ワークショップが開催され、13か国の関係者や元研修員、新研修員、今後SHEPを取入れようと検討している方など、様々な立場から約100名が参加し交流を深めました。中には3G、4Gを通してスマートフォンから参加した人もおり「このような国際的な会合に参加できてとても誇らしかった」「かつて一緒に研修を受けた仲間と再会でき、継続的に活動を行っていることを知りとても励みになった」といったコメントが多く寄せられました。

これまで開催してきた国際ワークショップでは、招待できる国や人数が限られていましたが、今回のように現場レベルで活動を行う普及員がお互いの悩みや改善策を共有できたのはオンラインならでは成果で、怪我の功名と言えるかもしれません。

また、多くの参加者から「国によって事情は異なるかもしれないが、基本的には各国とも同様の問題を抱え、そして同様の志も持っている」「自分たちが財政難で実現できなかった活動でも、控えめな手段でありながら、大きな成果を上げられた国もあったことに感銘を受けた」といった気づきも共有されました。

これらの経験を通し、様々な制約はあるもののメリットも少なくないオンラインスタイルに手応えを感じ、今後は、対面式ワークショップに参加できない人たちがオンラインで参加できるような方法、また、オンライン研修の開催なども検討していきたいと考えています。

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各国からWhatsAppを通して実況報告し合う研修員たち