カウンターパート主導による活動の広がり-エチオピアにおけるSHEP(Ethio-SHEP)

2022年1月24日

エチオピア国「市場志向型小規模園芸農業推進プロジェクト」(Ethio-SHEP)は2017年1月に開始されました。2州4県14郡、計33の農家グループを対象として、SHEPアプローチに基づき、農家が市場ニーズにあった農作物を生産しより高い収入が得られるよう、カウンターパート(連邦農業省/アムハラ州農業局/オロミア州農業局)とともに活動をしています。

Ethio-SHEPプロジェクトの取り組みと成果

プロジェクトでは、現場の状況に合わせ、読み書きが苦手な農家に配慮し絵や図を使ったわかりやすい栽培カレンダーを作成したり、CP達とともに改善した紙芝居を研修で活用したりするなどの取り組みを行ってきました。このような工夫と現場での地道な取り組みの結果、農家(1年次・2年次対象)の平均収入は2.7倍に増加しました。

カウンターパート主導のSHEP活動の広がり

プロジェクト活動に加え、カウンターパートは、州や県、郡など、各レベルで自発的にSHEPアプローチを適用した活動(スケールアップ)を開始し始めています。
アムハラ州農業局では、2019年から毎年州の予算をつけ、新たな農家グループを対象にSHEPアプローチに基づいた活動を実施しています。2020年にはCOVID-19の蔓延による影響を受けながらも活動を続けました。
また、オロミア州では2021年から、県の主導によるスケールアップの活動が開始されました。

カウンターパートによるスケールアップの対象農家からは、次のような声が上がっています。
「以前は普及員から気にかけてもらえていなかったけれど、今は継続的にフォローしてもらえています」
「市場の情報を得て、唐辛子を生産することとしました。以前は、売れるかどうかを心配して、新しい作物は少しずつしか導入できませんでしたが、買い手からの情報を得たので、自信をもって生産できます」
カウンターパート主導の活動においても、信頼関係の構築や市場ニーズにあった作物選択など、SHEPアプローチの重要なポイントがきちんと押さえられていることがわかります。

こうしたCP主導の活動の様子は、プロジェクト活動とともに、プロジェクト関係者で作るSNSグループ(Telegram, Facebook)で共有されています。カウンターパートたちは同僚たちの投稿に、いいね!を押したり、コメントをしたりして、互いにモチベーションを高め合っています。コロナ禍における活動のツールとしてJICAが支援したタブレットが、関係者間のコミュニケーションの促進に一役買っています。

プロジェクトの現状-揺れ動く情勢の中で

エチオピアでは、2020年11月に北部のティグライ州において、ティグライ軍と連邦政府との間の武力衝突が発生、その後戦闘地域は隣接するアファール州、アムハラ州に拡大しており、政府は2021年11月2日に6ヵ月間の非常事態宣言を発令しました。
この内戦により多くの国内避難民が発生しており、食糧確保の必要性が非常に高くなっているとのことです。幸いにも2021年12月現在、プロジェクト対象地域は戦闘により直接的な影響はありませんが、食料価格が高騰するなど社会的な影響は出ています。農家は、市場のニーズや状況の変化に合わせて、作物の選択・栽培計画づくりをする必要があり、それにはSHEPアプローチの学び・経験が大いに役に立つはずです。プロジェクトチームは、カウンターパートと力を合わせ、可能な限り支援を続けていきます。

【画像】

栽培カレンダー(玉ねぎ)

【画像】

栽培カレンダーを農家に説明するカウンターパート

【画像】

カウンターパート主導のSHEP活動:対象農家の唐辛子畑(Amhara州Awi県)

【画像】

カウンターパート主導のSHEP活動:苗床づくり(Oromia州Jimma県)

【画像】

スケールアップ活動の現場を視察するJimma県農業事務所長