教育だより第30号(2020年10月発行)より

技術を生かして感染症対策!-職業訓練校指導員による自動手洗い装置の開発と普及-

職業訓練校の機能強化を通じて産業人材育成に貢献

アフリカの中部に位置するコンゴ民主共和国は、世界で第11位の広大な面積(日本の約6倍)を有し、約8,400万人が暮らしています。相次ぐ国内の混乱を経験し、復興や開発に向けてさまざまな取り組みが実施される中、特に「雇用と労働の改善」が最優先課題の一つとして掲げられています。こうした高まる産業人材育成へのニーズに応えるため、JICAでは、職業訓練校で提供する訓練の質向上や訓練機関の機能強化を目標に「国立職業訓練機構能力強化プロジェクト」を実施しています。本プロジェクトでは、これまで自動制御や溶接など、国内でニーズの高い分野の指導員の養成や訓練実施体制の整備に協力してきました。この協力を通じて技術を学んだ指導員たちは、感染症予防に一役買うべく、日本の専門家から学んだ技術を生かして自動手洗い装置を開発しました。今年の5月以降、30台近くの装置を病院や公共施設に設置しており、今後さらに30台以上の設置を予定しています。

新型コロナウイルスに負けないように!

今年に入ってからアフリカで新型コロナウイルスの感染が拡大する中、同国では、人口の約半数が身近に手を洗う設備がなく、国全体で感染症の予防が大きな課題となっています。

指導員たちが開発した自動手洗い装置には、日本の専門家から学んだ技術がたくさん生かされています。装置の前に立つと、自動で体温を測ることができ、蛇口に手を伸ばせば、水と石けん水が出てきます。また、電源は太陽光発電を利用しているので、電気の無い場所や停電のときにも利用することができます。今後も全国でこの自動手洗い装置を設置していく予定です。製作にかかわる職業訓練校の指導員ジャンフランソワ・チバンベさんからは、「JICAの専門家から学んだ知識で電子回路を組み、センサー付きの自動手洗い装置を作ることができました。この装置を作れて誇りに思います」という声が聞かれました。

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開発された自動手洗い装置

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自動で石鹸と水が出てくる蛇口

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自動手洗い装置の前でインタビューに答える指導員