教育だより第31号(2021年2月発行)より

バングラデシュの工科短期大学で実験実習を遠隔実施-コロナ禍でも現地への支援続く-

バングラデシュの産業発展や多角化に対応できる人材を

日本の高専(高等専門学校)といえば、ロボコンを思い出す方も多いでしょう。その高専の先生方が様々な国の技術系の学校に高専教育のエッセンスを届けています。JICAでは2019年2月より、バングラデシュが同国の産業発展や多角化に対応できる人材を輩出できるよう、バングラデシュの工科短期大学の機械・電気・電子・コンピュータの4つの学科に対して支援を行う「産業人材のニーズに基づく技術教育改善プロジェクト」を実施しており、高専の先生方よりご協力頂いております。

2020年8~9月、コロナ禍で現地に渡航できなかった高専の先生方は、プロジェクトを停滞させないよう、日本と現地の教室をそれぞれ遠隔で繋ぎ、機械学科とコンピュータ学科の教員を対象に実験・実習の進め方にかかる技術指導を行いました。そのうち、機械学科の実習指導についてご紹介します。

機械学科で流体力学の実験実習

機械学科では、流体力学をモデル科目とし、松江高専のアラム先生(バングラデシュ人)による実習指導を行っています。今回の遠隔による実習では、「コインを使った表面張力の測定」と「アルキメデスの原理を使った浮力と密度の決定」の2つの実験を行いました。

実験ではばねばかりや分銅、ビーカー、トレー等々、現地でも手に入る簡単な機材のみ使い、日本とバングラデシュのそれぞれで同じものを用意しました。当日の流れは、Web会議サービスZoomで繋いだ松江高専の教室でアラム先生が先ずお手本となる実験を行い、次にそれを見た受講生の現地の先生方が同じく実験を行いました。その様子をウェブカメラ越しにアラム先生が確認し、都度指導を行いました。

実験装置自体はシンプルですが、理論を学んだ上で実際に自分の頭で考えて実践することが主な目的であり、現地の工科短期大学の先生方にとって有意義な実験実習となりました。

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1円玉(または現地パイサ硬貨)を用いた表面張力の測定の様子

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機械学科の遠隔実習における現地での様子

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同じく遠隔実習におけるZoom画面の様子