教育だより第31号(2021年2月発行)より

協力隊員主催による「子どもに関わる隊員オンラインセミナー」-つながりを力に-

協力隊員発!有志で企画・発足したオンラインセミナー

2020年3月末まで任国で日々刺激的な日々を送っていましたが、日本へ一時帰国して以降、日本からでも私たちに何かできることはないかと模索していました。その中で、5月末に青年海外協力隊事務局が企画した幼児教育隊員向けのオンライン課題別セミナーへ参加しました。技術顧問(幼児教育分野)の坪川紅美先生・派遣時期や任国の異なる多くの幼児教育隊員との協議を通して、セミナーを隊員自ら企画し、学びの機会をより多くもちたいと考え「子どもに関わる隊員オンラインセミナー」を発足させました。

多くの参加者を得たセミナーの様子

セミナー発足当初は数回の開催予定でしたが、参加者の「次回も楽しみにしている」という言葉を励みに、半年以上継続させることができ、2020年12月時点で計13回のセミナーを開催しました。また、様々な職種の隊員の考え方を共有し、多様な面から支援について考えたいという思いのもと、幼児教育に加え障害児・者支援、学校保健、理学療法士、作業療法士、小学校教育の隊員や2020年春募集の合格者にも参加いただき、現時点での参加人数は延べ262人と、多くの方が参加してくださっています。

テーマは、「保護者・支援者支援」「インクルーシブ教育」「遊びを通した学び」等多岐に渡り、毎回のセミナーでは、ゲストスピーカーの国際協力専門員やJICA海外協力隊のOB/OGの方よりお話をいただいます。例えば、「遊びを通した学び」のテーマでは、エジプト就学前教育・保育の質向上プロジェクトの神谷チーフ・アドバイザーから、歴代の幼児教育隊員の活動がJICAの技プロにまで発展するに至った経緯・日本の「遊びを通じた学び」が現場でどのように受け入れられ実践されているのか等、現場の状況をふまえた報告を聞きながら、幼児教育隊員の活動について学びを深めました。また、「保護者・支援者支援」のテーマでは、これまで行ってきた支援活動が、支援を受ける側の保護者や子どもにとって本当に必要な支援なのか、押しつけの支援になっていないか、について考える良い機会となりました。

これまでのセミナーを通して、どのようなテーマでも、答えを見つけるのではなく、様々な面から物事を捉え、参加者と共に考えるということが大切だと感じています。さらに、参加者より「他国の事例を通して活動先の状況を知ることができた」「自分自身の活動を振り返ることができた」とのコメントをいただき、本セミナーは、企画者にとっても多くの学びを得る場となっています。

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セミナーの様子