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- 開催報告「JICAクリーン・シティ・イニシアティブ(JCCI)国際セミナー2026」
セミナープログラム
(注)発表資料(PDF)と動画(日本語)は下記リンク先で閲覧できます。動画(英語・フランス語)へのリンクは英語の報告ページに掲載しています。
オープニング・挨拶
吉川 尚文氏(JICA 理事)
関谷 毅史氏(環境省地球環境局長)
基調講演「共創と革新を通じた循環経済促進」
小野 洋氏(公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)所長 )
【概要】JCCIに関連が深いSDGとして「持続可能な消費と生産パターンの促進(SDG12)」の振り返りと、SDGs制定後に顕在化した新たな世界的動向を解説し、今後2030年に向けJCCIが重要視すべき方向性を具体的な実例を交えて提言した。
JCCIの中間総括
柴田 和直氏(JICA地球環境部次長兼環境管理・気候変動対策グループ長)
【概要】JCCI対象期間(2021~2030年度)の中間点におけるこれまでの成果を総括し、循環経済の実現に向けたJCCIの意義や、今後の共創・革新を推進する環境協力の方向性を発信した。
動画(外部サイト:YouTube)
セッション(1)都市の気候レジリエンスと環境管理
豪雨災害や都市化による脆弱性を背景に、気候変動適応策と廃棄物管理・下水処理など環境管理との関連性について日本の自治体や途上国での知見や具体的な実例を共有し、意見交換を行った。
講演では、日本および途上国の政府機関、自治体、学術機関等の専門家を招き、都市の環境管理と気候変動レジリエンス強化に関する日本および各国での取り組みを紹介した。具体的な事例紹介に加え、それらの事例を踏まえた登壇者によるパネルディスカッションを行い、都市の気候変動レジリエンスにおける環境管理の重要性や具体的な方策について議論した。
気候変動適応策としての廃棄物の適正管理: アジアの都市水害予防の方策
石垣 智基氏(国立環境研究所 資源循環領域 上級主幹)
【概要】アジアの都市内水路において廃棄物の閉塞による排水能力の低下が浸水被害の拡大につながっている。発生源の特定と投棄行動の変容により廃棄物の適正管理を推進することは、降雨時の水害発生範囲の軽減に効果的である。今回の発表では、我々の先行研究で得られた知見を共有した。
アジア太平洋地域における横浜の持続可能社会への取り組み
冨岡 典夫氏(横浜市国際局グローバルネットワーク推進部 部長)
【概要】横浜市では、公民連携による国際技術協力(Y-PORT事業)を通じて、海外都市の課題解決支援に取り組んでいる。本セッションでは、横浜市内の循環型都市への移行に向けた新たな政策や、市内の実践事例を生かした国際協力、アジア都市との知見共有のために市が主催する国際会議「アジア太平洋循環型都市フォーラム」や、イクレイ日本が昨年11月に立ち上げた「アジア循環型都市宣言」制度について紹介した。
タイにおける国レベルおよび県レベルでの適応戦略
スパット・ペンパン氏(タイ王国政府天然資源環境省 気候変動・環境局
環境分野専門家:プロフェッショナルレベル)
【概要】タイにおける気候変動の影響の概要を説明し、国内適応策実施の主要な国家戦略である「タイ国家適応計画」をはじめとする国家政策の詳細を紹介した。さらに、特に人間の居住と安全保障分野(経済、食糧、エネルギー、人間の安全保障等)に関連する、タイの県レベルの代表的なリスクプロファイルと計画の事例研究を発表した。
パネルディスカッション
【ファシリテーター】川西 正人氏(JICA国際協力専門員)
動画(外部サイト:YouTube)
セッション(2)循環経済に向けた「リサイクル制度構築」と「産官学連携の推進」
本セッションでは、循環経済の最新動向に関する冒頭講演に加え、循環経済推進に向けた実践的な取り組みを紹介した。具体的には、タイで実施中の使用済み自動車(ELV)リサイクル制度構築に関する協力と産官学連携による事例を取り上げた。また、プラスチック資源循環の推進に向けた、スリランカおよび日本での取り組み事例を紹介した。これらを通じて、製造業者を含む動静脈連携の重要性や、日本企業の貢献可能性について議論を深めた。
冒頭講演「循環経済 -日本の経験-」
細田 衛士氏(東海大学学長補佐、政治経済学部経済学科教授)
【概要】日本は高度経済成長期に10%の実質経済成長率を経験するなど繁栄を謳歌した。だが、同時に大量生産・大量消費・大量廃棄は最終処分場の枯渇問題をもたらすなど、廃棄物問題を引き起こした。これに対応するため政府や自治体は3R政策を実施し、個別リサイクル法を実現させた。その効果もあって、廃棄物発生量は減少し、リサイクル率は上昇した。現在、更にこれを発展させて資源の高度な循環利用を実現するサーキュラーエコノミーの構築に向けて制度的インフラストラクチャー(ハードローとソフトロー)を整備しつつある。
JICAの循環経済の推進に向けた取り組み
前島 幸司氏(JICA 地球環境部環境管理・気候変動対策グループ 第一チーム 企画役)
【概要】JICAは、「JICAクリーン・シティ・イニシアティブ」のクラスター事業戦略「廃棄物管理の改善と循環型社会の実現」に沿って、廃棄物管理の協力を進めている。対象国の発展段階に応じて、収集・運搬・最終処分の一連の廃棄物管理サービスの向上(第一段階)、プラスチックのリサイクルや燃料化等を通じた廃棄物減量化による環境負荷の軽減(第二段階)、国レベルの自動車リサイクル法導入や生産者(民間)含めた広範な主体による循環型社会の推進(第三段階)を展開している。これらの経験を踏まえ、循環経済の実現に向けた取り組みをさらに強化していく。
タイにおける包括的な使用済自動車(ELV)管理制度の構築に向けて
パッタラ・チャマナ氏(タイ工業省工場局 エンジニア、シニアプロフェッショナルレベル)
【概要】現在、タイ工業省工場局(DIW)では使用済自動車(ELV)の適正処理およびリサイクルの実施を目的として、JICAの技術協力のもとELV管理制度の検討を進めている。タイには日本のような包括的な自動車リサイクル制度が存在しておらず、自動車の不法投棄や行方不明車両の発生、解体・処理過程における温室効果ガスの放出や廃油流出など、環境面での課題が顕在化している。本プロジェクトでは、タイの実情に即したELV管理制度の構築を通じて、ELVの適正処理およびリサイクル体制の確立、不法投棄の防止、環境負荷の低減を目指している。
スリランカにおけるプラスチック管理の現状と課題
マノジ・ラナシンゲ氏(スリランカ国 中央環境庁 環境担当官)
【概要】スリランカにおけるプラスチック廃棄物管理の現状は、重大な環境課題を浮き彫りにしている。同国では年間160万トン以上のプラスチック廃棄物が発生しており、その大半は使い捨てプラスチックである。国家政策、特定製品の禁止、戦略計画にもかかわらず、実施と執行は依然として不十分である。収集率とリサイクル率は低く、管理されていない廃棄物が陸地、水路、沿岸地域を汚染し、生態系と観光を脅かしている。主な課題としては、インフラの不足、国民の意識の低さ、リサイクルに対する市場インセンティブの不足などが挙げられる。これらの問題に対処するには、より強力な執行、施設の改善、国民の関与、そして循環型経済へのアプローチが必要である。
CLOMAのプラスチック資源循環の取組
中村 健太郎氏(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス:CLOMA 事務局 主幹)
【概要】クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)は、プラスチック資源循環に取り組む官民連携パートナーシップで、プラスチックのサプライチェーン全体にわたる企業(約500社)と主要な自治体がメンバーになっている。CLOMAの概要や、CLOMAが実施するプラスチック動静脈連携の実証事業、海外との協力事業や連携活動について紹介した。
動画(外部サイト:YouTube)
セッション(3)循環経済に向けた「ゼロ・ウェイスト」へのチャレンジ
日本(徳島県上勝町)とブータンが進める「ゼロ・ウェイスト」の実践を取り上げ、循環経済社会の実現に向けた政策アプローチと地域参加のあり方を共有した。特に自治体・市民・企業が連携して進める資源循環の取り組みから学び、両国の経験を踏まえて循環経済の将来像をより具体的に描くための議論を行った。
講演では、徳島県上勝町が「ゼロ・ウェイスト」への取り組み、特に資源循環に向けた市民全体の取組みやその歴史、また町の経済的自立に向けたビジネスの取組みを紹介した。ブータンからは、「ゼロ・ウェイスト政策」の背景を紹介し、関連政策に基づいて行われているNGOや民間企業の資源循環に向けた取り組みを紹介した。これらの日・ブータン相互の取り組みを踏まえて、パネルディスカッションでは、循環経済に向けた取り組みの重要性を改めて確認すると同時に、課題を深く議論することで、循環経済の実現に向けたより具体的なビジョンを共有した。
町民みんなで築いたゼロ・ウェイストブランド
藤井 園苗氏(上勝町役場 上勝町ゼロ・ウェイスト推進員)
【概要】日本の自治体で初めてゼロ・ウェイスト宣言をした町で、町民がどのように取り組んできたのかを解説した。
政策から実践へ:社会部門と民間部門の共同参画によるブータンのゼロ・ウェイスト(廃棄物ゼロ)ビジョンの推進
オフィサー ジグミ・ゲンボ氏(ブータン国 環境・気候変動局 廃棄物管理部環境担当オフィサー)
【概要】ブータンは、環境保全に対する憲法上の責務と「国民総幸福(GNH)」の理念に基づき、ゼロ・ウェイストを国家的な目標として掲げている。本プレゼンテーションでは、ブータンのゼロ・ウェイスト政策の枠組みを概説し、このビジョンが社会的企業、民間セクター、地域コミュニティ主体の取り組みを通じて、どのように徐々に実践へと移されつつあるかを紹介した。
ブータンは、リサイクル市場の未発達、輸入製品への依存、険しい地形といった固有かつ困難な課題を抱えている。しかし、新たに生まれつつある様々な関係者の協働により、資源循環、廃棄物削減、そして市民の意識向上が強化され始めている。この報告では、いくつかの取り組みや政策手法を取り上げ、主要な課題、得られた教訓、そしてサーキュラーエコノミーの実践を拡大するためのポイントを紹介した。
ブータンの経験は、小規模な開発途上国が、包括的なパートナーシップと柔軟な政策設計を通じて、いかにゼロ・ウェイストへの道を切り拓くことができるかについて、重要な示唆を与えるものと捉えている。
パネルディスカッション
ツェリン・ラモ氏(グロス インターナショナル ネイチャー 創業者)
渡戸 香奈氏(INOW 共同創設者・ディレクター)
【ファシリテーター】
安達 一郎氏(JICA 地球環境部環境管理・気候変動対策グループ 環境管理シニアエキスパート)
動画(外部サイト:YouTube)
セッション(4)資源循環ビジネスの海外展開と課題
資源循環ビジネスを通じた社会課題の解決に向けて、産官学民の新たなパートナーシップ構築と革新を促進する機会とすることを目的とした。企業よりの技術および製品や、海外展開ビジネスモデルと共創を通じた社会課題貢献策に関する発表を行った後、質疑応答を行った。
【ファシリテーター】
鈴木 唯之氏(JICA地球環境部環境管理・気候変動対策グループ第二チーム専任参事)
コスタリカ国「破砕分別機導入による持続可能なリサイクルビジネス実証化事業」
有竹 正善氏(A-Tech株式会社 代表取締役)
【概要】コスタリカ国での破砕分別機を使ったリサイクルフローを確立させるためにマーケット調査を実施し、その結果を反映して、同国での最も適したリサイクル方法を国や自治体、民間業者等に提言している。また、実際に破砕分別機を導入し、現実的かつ持続可能な分別やリサイクル方法を実現し、リサイクルの指針となるように働きかけている。
SM GUUN Environmental Company, Inc.における廃プラスチック及び残渣ごみのリサイクル
小西 武史氏(株式会社グーン 専務執行役員CTO, R&Dセンター長)
【概要】フィリピンにおける合弁リサイクル会社SM GUUN Environmental Company, Inc.(SGCEI)は、同国最大級のコングロマリットの一つであるSM Prime Holdings, Inc.と、日本の主要リサイクル企業の一つであるグーン株式会社(GUUN Co., Ltd.)によって、2024年7月に設立された。
SGCEIは、廃プラスチックおよび残渣廃棄物をリサイクルして、セメント燃料向けの高品質な代替燃料「フラフ燃料(Fluff Fuel)」を製造することで、埋立処分量の削減、CO2排出量の削減、ならびにフィリピンにおける固形廃棄物管理の改善を可能にしている。
これを実現するために、従来の「残渣ごみ(Residual Waste)」を「燃料用残渣(Residual for Fuel)」と「処分用残渣(Residual for Disposal)」に分ける新たな分別区分の導入を提案する。これにより、都市ごみ全体の約15~20%が、埋立処分からリサイクルへと転換されることが期待される。
レナジーシステム: 島嶼部における廃食油を活用した地域エネルギー生産の取り組み
吉田 功介氏(株式会社金沢エンジニアリングシステムズ自社製品開発部 次長)
【概要】金沢エンジニアリングシステムズ(KES)では、使用済み食用油を未精製のまま発電機の燃料として利用するための装置「レナジーシステム」を開発し、主に離島における廃棄物の地産地消ビジネスを推進している。KESがこれまでフィリピンで取り組んでいる現地でのビジネス化と開発課題解決への取り組みについて紹介した。ビジネス展開における課題や克服に向けた取り組みについても紹介した。
また、現地の機器動作状況をモニタリングするツールを用いた業務効率化等も紹介した。
ASEANでのCE創造と推進における課題(ELV解体拠点の役割)
堤 庸佐氏(株式会社ツルオカ総務本部 執行役員)
【概要】日本とフィリピンで実施しているELV適正解体事業の概要と課題について説明し、越境サーキュラーエコノミーの最適解を模索する取り組みを共有した。
動画(外部サイト:YouTube)
ラップアップ(各セッション結果共有)
吉田 充夫氏(JICA地球環境部 国際協力専門員)
閉会挨拶
伊藤 晃之氏(JICA地球環境部部長)