【技術協力】ネパール・ジェンダー主流化及び社会的包摂(Social Inclusion)促進プロジェクト

ネパールは、多種多様な文化や人々から成る多言語・多民族国家です。しかし、ジェンダーやエスニシティ、カーストに基づく偏見や差別があるために、女性だけではなく、特定の民族や低カースト層の男女双方の教育・就労・社会参加などの機会が制限されています。

2006年11月の和平合意後の暫定憲法制定及び暫定3カ年国家開発計画では、紛争の原因となった特定の民族やカースト、女性、障がい者などの社会的排除という過ちを繰り返すことがないよう、ジェンダー平等及び社会的包摂を推進する政策の導入に、高いプライオリティーを置いています。ネパール政府は、新しい国作りの政治・行政プロセスに、女性や低カースト、少数民族等の社会的に不利な状況に置かれてきた人々の参加を促し、併せてこのような人々が行政サービスを享受することを実現するために、地方行政レベルでの社会的弱者支援のための予算の確保、行政サービス実施体制の構築を最大の課題として取り組んできています。しかし、実際には効果的な調整機関の不在や関係者の知識や経験不足、既存の地方行政制度の弱体化等により、十分な成果が出ていないのが現状です。

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このような状況に対し、JICAは、中央レベルとシャンジャ郡とモラン郡の2郡において、ジェンダー主流化と社会的包摂(GM/SI)の視点に立った政策・施策を実施するためのプロジェクトを実施することでネパール政府と合意しました。これまでに郡の開発委員会や女性開発事務所、市役所等において、ジェンダー主流化と社会的包摂について正しい理解と認識を促すことを目的とした研修を実施しました。またジェンダー主流化と社会的包摂の視点に立った開発計画の計画や実施、モニタリングを行う委員会を設置し、その仕組みづくりを整備しました。これらの取り組みに併せ、対象2郡の村落においてパイロットプロジェクトを実施しており、これらの活動を通じ、GM/SI視点に立った現場レベルにおける施策の策定と実施、そして地方レベルでの経験や教訓が中央政府の政策・施策の改善に生かされることが期待されます。

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