JICAの事例紹介 (2)女性を主な裨益対象とする支援

【技術協力】イエメン・タイズ州地域女子教育向上計画プロジェクト

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イエメンは、世界で最も基礎教育へのアクセスの男女格差が大きい国の一つです。初等教育(小学校1〜6年生)の純就学率は男子85%に対し、女子は65%、成人識字率は男性76%に対し、女性は39%に留まっています。

このような中、JICAは2005年6月より3年半の期間をかけて、教育省やタイズ州教育局とともに、「タイズ州地域女子教育向上計画プロジェクト」を実施しました。このプロジェクトは、学校・地域住民主体の女子教育を促進する学校運営モデル(Broadening Regional Initiative for Developing Girl's Education :BRIDGE)を開発することを目的とし、地方行政・学校・地域住民の三者が参画する女子就学推進のパイロット活動(パイロット事業対象6郡、59校)の実施を通じ、州教育局の行政能力向上、教育へのコミュニティ参加の推進、学校運営能力の改善を目指した協力を行いました。

その結果、対象校において女子の就学者数は協力開始時の6,281人から9,433人(1.5倍)、男子の就学者数も9,312人から12,003人(1.3倍)に増加しました。男女の就学比率も、協力開始時の0.65から、州平均の0.78を超える0.79となりました。また、協力開始時には「男女が平等に教育の権利を有する」と答えた校長がわずか9.4%でしたが、案件終了時には、96.6%と劇的に上昇しました。

このようにBRIDGEモデルが国内で高く評価され、成果が発現した要因として、主に次の3点が挙げられます。まず、学校運営に女性の意見を反映するために「母会」を設置し、学校活動の計画に母親の意見を取り上げる仕組みをつくったことです。次に、母親を対象にした識字教室や裁縫教室を通し、セカンドチャンスとして学ぶ機会を提供し、学校との心理的な距離を近づけ、子ども(特に娘)を学校に送り続ける動機づけを行った点です。最後に、地域住民が地域の子どもの教育にオーナーシップと責任を持つことで、トップダウン型の教育マネジメントでは届かなかった地域や子どもたちに着実に届く学校づくりを行った点が挙げられます。

このプロジェクトに関わったある母親は、"識字教室により私は人生で初めて学校の中に足を踏み入れた。幼い時、学校に通う機会を逃したが、今、かつての兄弟のように学校に行き、読み書きを学ぶことができて幸せである"、と語りました。学校に通う扉が開かれることで、学び、考え、生きる力を獲得する機会が得られ、豊かな人生への扉につながることが期待されます。