日本の保護司制度の経験を通じ、ケニアの非行少年少女の社会復帰の実現に貢献!

2024.11.19
国際協力機構(JICA)は、11月18日、ケニア、ナイロビにて、ケニア政府との間で技術協力プロジェクト「コミュニティにおける児童及び若年者の犯罪防止、改善更生及び社会復帰プロジェクト」に関する第1回JCCを実施し、プロジェクトの年間活動計画、達成指標を設定しました。
ケニアでは、恵まれない家庭環境や貧困により、非行に走った少年少女がコミュニティに戻れず、再犯を繰り返す傾向が見られます。住民の理解促進や犯罪者の更生保護を支援する役割を担っている保護観察官は、裁判で参考となる情報提供等、多忙な業務に追われており、非行少年少女・若者一人一人をフォローし、更生のためへの支援を行う取組みが十分に行えていない状況にあります。そのため、非行に走った少年少女・若者が社会復帰をすることが出来ず、治安の悪化や再犯を招いています。
そのような背景から、本事業では、日本の保護司制度から活かせる要素を抽出しながら、ケニア保護観察ボランティアを活用した社会復帰の仕組みづくりの支援を行っています。
今回のJCCでは、9月から実施したコミュニティでの更生保護に関する実情調査の結果を踏まえて、年間の活動計画と目指すべき指標を関係者間で擦合せました。ケニアでの更生保護を所管する内務国家行政省次官(矯正・保護観察担当)を中心に、JICAと共に1990年台からケニアの少年司法分野に関する協力を行っている国連アジア極東犯罪防止研修所(UNAFEI)[1]所長、JICAケニア事務所長が参加し、ケニアの少年少女・若者たちが更生しやすい社会の実現に向けて、必要なことを確認し合いました。
[1] 各国の刑事司法実務家を対象とする国際研修及びセミナーの実施、犯罪防止及び犯罪者処遇に関する研究なおどを通じ、国連の政策と取組に沿う形でアジア太平洋地域を始めとする各国の刑事司法の健全な発展と相互協力の強化を進める国連の地域研修所
第一回JCCの様子
また、この度UNAFEIから更生保護分野に精通した教官が渡航し、対象地域の保護観察局に勤務する保護観察官向けに「日本の更生保護の仕組み」や「コミュニティでの保護司の役割」に関する講義を行いました。ナイロビ、キスムの2拠点で実施した講義では、計100名以上が参加し、ケニアの更生保護の現場で活躍する保護観察官たちから、多くの質問が飛び交いました。
「日本の更生保護の仕組み」や「コミュニティでの保護司の役割に関するセミナーの様子
今後もケニアの現状に合わせ、より多くのケニアの少年少女、若者の可能性を最大化させるための方法を模索し、UNAFEIを始めとする他の関係機関と連携した協力を行っていきます。
国名 | ケニア共和国 |
案件名 | コミュニティにおける児童及び若年者の犯罪防止、改善更 生及び社会復帰プロジェクト |
実施予定期間 | 2024年1月31日~2027年1月30日(36ヵ月) |
実施機関 | ナイロビ(内務・国家行政省保護観察局) |
対象地域 | キアンブ、マチャコス、キスム、シアヤ(4カウンティ)の 選定済みの各2保護観察所 |
協力体制 | 長期専門家(3名)+短期専門家(UNAFEI) |
具体的事業内容 |
本事業は、ケニアのパイロット地域において、①コミュニティに対する啓発活動、②ボランティアの選定・育成、及び③保護観察官・ボランティアを活用した犯罪防止活動、改善更生及び社会復帰活動を行うことにより、コミュニティレベルでの児童・若年者の犯罪防止、非行児童及び若年犯罪者の改善更生及び社会復帰に資するモデルの確立を図り、もって、児童・若年者の犯罪防止、非行児童及び若年犯罪者の改善更生及び社会復帰の促進に寄与することを目的とする。 |
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