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スリランカにおけるNCDs対策

スリランカでは、人口の高齢化と食生活、生活習慣の変化に伴い、1980年代から心臓疾患や脳血管系疾患等の非感染性疾患(Non-communicable Diseases:NCDs)が死亡原因として感染症を上回っており、2006/07年の統計によると5大死因は全てNCDsによるものであることが報告されています。このような状況を受けて、スリランカ政府は、予防及び健康増進活動並びに早期治療を中心としたNCD対策強化を推進していますが、一次・二次医療施設のNCD管理の質を向上させ、持続可能な保健システムを確立することが喫緊の課題となっていました。

JICAは2008年から同分野への協力を始め、JICA技術協力プロジェクト「健康増進予防医療サービス向上プロジェクト」では、血圧、血糖値などの測定による心疾患、糖尿病などの高リスクグループを特定する健診活動及び保健指導、健康増進実施計画の策定などを支援しました。また、2012年からは円借款事業「地方基礎社会サービス改善事業」にて、予防・早期発見・治療を行う二次医療施設の改修・機材整備および、国立必須医薬品製造センターの整備などを進めています。さらに、円借款事業の効果増大を図ることを目的とし、2014年2月からは、円借款附帯技術協力プロジェクト「非感染性疾患対策強化プロジェクト」が実施されています。

「非感染性疾患対策強化プロジェクト」では、糖尿病、高血圧症、脂質異常症を対象として、コロンボ(保健省)及び4州4県(北西部州クルネガラ県、中央州キャンディ県、サバラガムワ州ケゴール県、東部州バティカロア県)の基幹病院の診療圏において、1)一次医療施設及び4つの基幹病院における患者モニタリングの強化、2)NCDs検査受診者、患者の検査サービスアクセスの向上、3)医薬品供給管理の強化の3つの成果を通じ、対象県のNCDs管理を強化することを目指しています。2017年8月に行われた終了時評価では、リファラル・モニタリングの仕組みや検査ネットワークが導入されたことによって、NCDs健診の受診率が向上し、NCDsの疑いがある患者へより迅速な治療が行われるようになったことが成果として確認されています。また、プロジェクトで実施を支援している患者調査は医療機関別、患者の居住地別にデータ集計が可能であり、NCDs管理の政策決定や州・県等での計画立案への活用が期待されていますが、保健省は、早ければ2018年中にも全国調査を実施する計画を進めています。導入が進められている医薬品供給管理情報システムについては、基幹病院における薬品、試薬その他の消耗品の適切な在庫管理を通じ、NCDs健診への検査サービス、治療のより確実な提供に貢献することが期待されています。

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ワラカポア基幹病院の検査室

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NCDs健診の様子