1. アプローチ
世界各国に派遣されている海外協力隊も途上国の栄養改善に取り組んでいます。栄養士隊員や農業関連職種隊員をはじめ、小学校教育隊員やコミュニティ開発隊員など様々な職種の隊員が現地のニーズに応じて草の根レベルで活動をしています。隊員の活動はヘルスセンター等における母親や家族に対する母子栄養指導、教育現場における食育支援、水に起因する疾患を減らし、栄養不良となる状態を招かないように行われる衛生啓発活動(水の防衛隊の活動等)など多岐にわたります。
2. 事例
(1)キルギス「保健省・教育省と連携した食育推進」
キルギスでは、病院に派遣されている栄養士隊員が地域巡回活動の傍ら、保健省及び教育省からの依頼を受けて、栄養改善に関する啓発資料の作成や食育など、存在感のある活動を展開しています。現在、保健省主導のもと、同省職員及びJICA事務所と隊員によるパイロット校(公立の小中高一貫校)での食育ワークショップを実施中です。今後の規模拡大が期待されています。
(2)東ティモール「『幸せを運ぶ保健サービス』プログラム*における栄養改善支援」
東ティモールでは、5歳未満の子どもの47%が慢性的な栄養不良であることが報告されています。家庭の貧困が大きな原因ですが、スナック菓子や揚げ物等の過剰摂取も課題です。こうした状況の中、栄養士隊員が中心となり、安価でどの家庭でも手に入れることができる食材「モリンガ」を使用したパンやケーキを作り、その啓発や、学校菜園、栄養セミナー開催等の取り組みを進めています。
* 『幸せを運ぶ保健サービス』プログラムとは:地域保健の様々な分野を支援することで、コミュニティのみんなの健康が向上し、幸せになることを目的としたプログラム
(3)バヌアツ「病院食の大幅拡充・改善」
栄養士隊員は、配属先病院の敷地内にある農園の管理者と連携し、適切な量の野菜や果物、卵を収穫する体制を整えました。その結果、病院食を3種類から12種類へと大幅に拡充。食を通じて入院患者の回復に貢献することで、栄養士の役割が理解され、医師との協議の機会が増えました。さらに、キッチンスタッフを含む同僚らが自信をもって業務に取り組むようになりました。
(4)ボリビア「栄養士隊員と多職種に広がる積極的な連携と協働」
ボリビアの栄養士隊員は、草の根レベルで現地のニーズに応じた栄養改善を、職種横断的に推進しています。例えば教育分野では、「小学校教育」隊員と協力し、子どもや保護者向けの食育研修を実施しました。さらに、アンケート結果から把握したニーズに基づき、「障害児・者支援」「体育」「保健師」など様々な職種の隊員とも連携し、支援活動の幅を広げています。