【ナイジェリア】留学生がつなぐ感染症対策ネットワーク:長崎大学大学院医歯薬学総合研究科とナイジェリア疾病予防センターが若手研究員学術交流会を開催

2022年1月24日

2022年1月24日(月)、ナイジェリア疾病予防センター(Nigeria Center for Disease Control:NCDC)の若手研究員と、同機関から長崎大学大学院医歯薬学総合研究科博士課程に留学中の同僚研究員(JICA長期研修員)を繋いだ、オンラインによる学術発表・交流会が開催されました。

会場からは23名、日本からオンラインで30名、合計53名をつないだ発表会は、NCDC研修・ナレッジ管理部長Dr. Chinweによる挨拶で始まりました。長崎大学に留学中の研究員とNCDCの若手研究員6名による研究発表後、長崎大学熱帯医学研究所の乙丸礼乃助教と留学生の指導教官である牛島由理助教から、ベトナムでの小児急性呼吸器感染症や、ガボンでのSATREPSプロジェクトを含む新興感染症にかかる研究室の活動についても紹介いただきました。オンラインを併用したハイブリッド開催ではありましたが、Dr. Chinwe、若手研究員らは留学中の仲間の研究員や日本側の発表に、熱心な眼差しを注ぎ、積極的に質問していました。最後に、中川JICAナイジェリア事務所長が、長崎大学関係者への謝意を述べると共に、NCDCとJICAの協力に言及しつつ、若手専門人材の育成の重要性を強調しました。これを受け、留学生2名を指導する長崎大学の吉田レイミント教授から、今後も留学生やこうした研究交流会等を通じ、知見・経験が共有され双方の協力が一層発展するよう期待が表明されました。

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NCDC研修・ナレッジ管理部長 Dr. Chinwe

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日本側へ質問するNCDC研究員のDr. Ogunniyi

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NCDCから長崎大学へ留学中のDr. Tosinの発表

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中川JICAナイジェリア事務所長による閉会の辞

ナイジェリアではラッサ熱、コレラ、髄膜炎、エボラ出血熱等、感染症が病死者の51%を占め、感染症対策は喫緊の課題となっています。NCDCは2011年に連邦保健省内に疫学・臨床検査・感染症対策・調査研究等の人材を集めて設置された後、2018年11月に感染症サーベイランス・対策専門組織として正式に法人化されました。初代センター長の「感染症の早期検知と対策のため、採取したサンプル分析・診断の自国内での完結を目指す」という強力なイニシアティブの下、国家標準検査室(National Reference Laboratory)を頂点とする国内20か所以上の検査室ネットワークの構築と整備と、そこで働く特に若い人材の育成を重点的に進め、組織として急速な成長を遂げました。また、NCDCはアフリカ疾病予防管理センター(Africa CDC)の枠組みにおいて、西アフリカの地域拠点センターに位置づけられています。

JICAはNCDC発足当初から無償資金協力による検査室の施設・機材整備、技術協力による検査室品質管理や検査能力強化、そしてPREPAREプログラム(注)による研究者の育成を進めています。今回の学術交流はコロナ禍で短期研修員派遣等、直接的な人的交流機会が限られる中、双方の若手研究員、特にNCDCの未来を担う若手研究員が、留学中の同僚の研究員を介し、互いの研究状況を共有し、刺激しあうことで、感染症研究の能力強化を図る貴重な機会となりました。また、こうした学術交流の機会を通じ、同プログラムが目指す感染症対策人材のネットワーク強化が促進されることが期待されます。

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NCDC若手研修者たちと