都市開発・地域開発

JICA留学生プログラム「持続可能な都市開発」 地域理解プログラム「復興からその先へ パートナーシップによるまちづくりin東北」を実施

2022年8月26日

2022年8月24日(水)~26日(金)にかけて、JICA留学生が岩手県紫波町、釜石市を訪問し、東北地方における復興と地方創生の取り組みについて学びました。

地域理解プログラムの概要

都市開発分野では、開発大学院連携プログラムの一つである「持続可能な都市開発コース」に現在11名の留学生を受け入れています。同コースの活動の一環として、留学生5名に東北センターが所管する留学生(JDS)2名を加えた計7名を対象として、岩手県紫波町、釜石市を訪問しました。

留学生らが大学院での学びから離れ、東北地方の人々との交流を通じ、日本の地域固有の文化や歴史、発展経験に関する理解を高めるとともに、それぞれの立場でのまちづくりや地方創生の取り組みを学ぶことを目的として実施しました。

これまで都市開発分野の技術協力事業等を通じて協力関係が築かれた釜石市の全面的な協力のもと、地元の方々との対話を重視した内容のプログラムを編成しました。

JDS以外の留学生にとっては初めての東北訪問となりましたが、日本の地方におけるまちづくりの知恵と工夫を知ると同時に、震災復興現場では都市が持つべき真の強靭性とは何か、行政官としてのあるべき姿勢とは何かを学ぶ機会となりました。

プログラム訪問先について

岩手県紫波町では紫波町オガールを訪れ、複合施設オガールベース、オガールプラザの視察を行いながら、紫波町職員から町有地を利用した官民連携による地域活性化の事例(駅前の広大な町有地を活用し、PPP手法により図書館や直売所を含む複合施設を設立。観光客の誘致と雇用創出に繋がっている。)の説明を受けました。

岩手県釜石市では同市役所を訪れ、震災復興後の地方創生に向けた独自のオープンシティ戦略(復興の過程で得られた繋がりを生かし、外部人材をパートナーとして迎え入れ、ともに地域活性化に取り組むことで、釜石の可能性を最大化し、オープンイノベーションを創発する自律的サイクルの構築を目指す)の取り組みや、人材還流という観点から、市とパートナーの関係である株式会社パソナ東北創生の事業の紹介を受けました。また岩手県立釜石高等学校では、同行が注力する国際理解教育の取り組みの紹介と授業現場を視察し、留学生らは高校生との交流を楽しみました。釜石市根浜地区では、市民団体の方より、東日本大震災や復興活動における地域連帯の取り組みや震災から復興への想いを語っていただきました。いのちをつなぐ未来館(震災の出来事や教訓を伝えるとともに災害から未来の命を守るための防災学習を推進する施設)では、震災の記録と教訓を学んだほか、震災当時の避難路を実際に歩いて、災害避難の追体験を行いました。

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紫波町オガールでの図書館の視察

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釜石市役所での震災復興と地方創生の講義

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釜石市鵜住居地区での避難路追体験

研修員の声

参加した留学生からは、「復興や人口減少・高齢化といった課題に対して、地方自治体がコミュニティと協力しながら奮闘している様子が印象深かった」、「たとえ被災しても、故郷が好きでここに残るという決断に感銘を受けた」、「自分の命を守り、その命で他の人を助けるという精神に感動した」、「日本では小学生でも防災訓練を行っており、有事の際も助け合って素早い判断ができることは素晴らしい」、「訪問先のNPO団体の、『(留学生は中央省庁の行政官だと思うが)母国に帰った時にコミュニティの声にぜひ耳を傾けてほしい』という我々に対するメッセージが強く心に響いた」といった所感が述べられました。

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プログラムを修了した留学生ら

メディア取材

NHK岩手、岩手日報による取材があり、本プログラムの様子が報道されました。留学生らはインタビューを受け、東北の印象や都市への思いを口にしました。

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インタビューの様子