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【コロナ対策】JICAによるパレスチナでの水道用塩素剤の緊急支援-新型コロナウィルス非常事態下において市民に安全な水を届ける-

2020年7月31日

パレスチナ自治区ジェニン市は、人口約6万人、ヨルダン川西岸最北の都市です。JICAは2017年から「ジェニン市水道事業実施能力強化プロジェクト」を通じ、給水状況や経営の改善、顧客サービス、無収水(漏水やメーターの不良等により料金請求ができず無駄になっている水)の削減、料金徴収等、水道事業運営に必要なそれぞれの分野で技術移転を行う専門家チームを派遣し、さらに、バックホー、流量計、プリペイド式メーターなどの資機材を供与し、水道事業改善に取り組んできました。

2020年3月、パレスチナ自治区で最初の新型コロナウィルスの感染が確認され、緊急事態宣言が発せられました。緊急事態宣言の影響で、市民の水道料金の支払いが滞る一方、気温も次第に上がって暑くなり、水の需要は一層高まりましたが、パレスチナ政府の方針で、必要なサービスの提供に直接かかわる職員以外は自宅待機を命じられました。安全な水の供給を絶やさないことがジェニン市上下水道部にとり最優先課題でしたが、資金難や人手不足、ウィルス感染の不安の中での業務遂行というハードルに直面しました。

水道料金収入が激減したジェニン市は、水道水の消毒用塩素剤の購入が困難となり、4月末には、残り2週間分の塩素しかなく、これにより市民への安全な水道水の継続的供給が危ぶまれる事態となりました。安全な水での手洗いは重要なコロナ感染対策の一つです。ジェニン市の支援要請を受け、JICAは即座に塩素剤の支援を決定し、プロジェクトを通して塩素剤10トン(約4か月分)を緊急に調達しました。これによって残りの塩素剤が切れる前に調達が完了し、安全な水道水の供給を継続することができました。今後、JICAは塩素注入ポンプの供与を決定しているほか、ジェニン市が自助努力で購入したプリペイド式メーターの設置に必要な金具や漏水修理のための維持管理資材、顧客サービスの向上に資する車両等の供与を検討中です。

また、プロジェクトで導入したプリペイド式メーターが、新型コロナ禍においても、大きな効果を発揮しました。コロナの影響を受けて水道利用者の料金滞納が増える中、プリペイド式メーター利用者からの支払いは減少することなく続き、このプリペイド式メーターから徴収した水道料金を、配水システムの緊急修復と貧困家庭への水供給の維持に充てることができました。

ジェニン市が管理するSNS上には、新型コロナ緊急事態下においても安全な水道サービスの継続に奔走する市職員への感謝や応援の声が数多く寄せられています。「コロナで水道部員は大きく成長した。JICAの技術移転の成果を目に見えるかたちで実感している」とジェニン市長も述べています。さらに市長は、コロナ緊急事態で水道料金の徴収が困難となる中、水道サービス維持のためには、従来型の後払い式メーターをプリペイド式メーターに替えることの重要性を痛感し、ジェニン市は自助努力で6,500基のプリペイド式メーターを購入して従来型メーターと交換する計画を立て、既に1,000基を調達中です。

プロジェクトでは、新型コロナウィルス感染予防に必要不可欠な安全な水の継続給水と、更なる水道サービスの向上、新型コロナ禍でも強い水道事業体を目指して活動を続けていきます。

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塩素剤の調達

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プリペイド式メーター