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円借款の種類

1.プロジェクト型借款

(1)プロジェクト借款

道路、発電所、灌漑や上下水道施設の建設など、あらかじめ特定されたプロジェクトに必要な設備、資機材、サービスの調達や、土木工事などの実施に必要な資金を融資するもので、円借款の主要な部分を占めます。

(2)エンジニアリング・サービス(Engineering Service:E/S)借款

プロジェクトの実施に必要な調査・設計段階で必要とされるエンジニアリング・サービス(現場詳細データの収集、詳細設計、入札書類作成など)を本体業務に先行して融資するものです。プロジェクト借款と同じく、フィージビリティ調査(F/S)などが終了し、事業全体の必要性・妥当性が確認されていることが前提となっています。

(3)開発金融借款(ツー・ステップ・ローン)

借入国の政策金融制度のもと、開発銀行などの相手国の金融機関を通じて、中小規模の製造業や農業などの特定部門の振興や貧困層の生活基盤整備といった一定の政策実施のために必要な資金を供与するものです。最終受益者に資金が渡るまでに2つ以上の金融機関を経由する手順となるので、ツー・ステップ・ローン(Two Step Loan: TSL)とも呼ばれます。この借款では、民間の多数の最終受益者に資金を供与できるとともに、金融機関を仲介することによって、その金融機関の能力強化や金融セクター開発を支援することができます。

(4)セクターローン

複数のサブプロジェクトで構成される特定セクターの開発計画実施のために必要な資機材、役務およびコンサルティング・サービスの費用を融資します。対象セクターの政策、制度改善にもつなげます。

(5)セクタープロジェクトローン

同一国・同一セクター等の複数の個別案件に対して、一つの交換公文で包括的に円借款供与を表明するものです。個別の案件の借款契約は準備が整った時点で署名されます。

(6)成果連動型借款

借入国が自らの制度に基づき実施する各種事業計画について、成果に基づき融資することで直接的・包括的に支援を行うものです。政策・制度改革より下位の実施レベルに該当する活動を支援することが可能です。支援対象事業計画に含まれる貸付実行対象となる成果の指標及びその進捗に応じた貸付実行額を融資契約で規定します。

2.プログラム型借款

(1)開発政策借款

開発途上地域に対して、当該地域の経済開発計画や政策制度の改善を支援するものです。特定のプロジェクトを対象に貸付を行うプロジェクト型借款とは異なり、借入国とJICAで合意した政策アクションの達成状況を踏まえて資金を融資します。
近年は、その方向性に沿った改革項目が相手国政府により実施されたことを確認し、その達成に対して借款契約を締結、資金を供与し、相手国予算に組み込まれるタイプのものが主体となっています。この借款は、世界銀行など国際開発金融機関と協調して融資するケースが多くあります。

(2)災害復旧スタンドバイ借款

開発途上国における災害発生後の支援において、事前に必要資金、資金使途等を合意し、災害発生時には借入国からの要請を以って速やかに貸付実行を行うことで、復旧段階で発生する資金需要に対して即応的に迅速な支援を行うものです。

(3)公衆衛生危機スタンドバイ借款

公衆衛生危機発生に先立ち、予め必要資金の融資枠を合意し、公衆衛生危機発生時に借入国からの要請を受けて速やかに貸付実行を行うものです。

3.その他

(1)PPPインフラ整備促進に向けた包括的支援

PPP方式を活用したインフラ整備案件の着実な形成と実施を促進するための円借款支援方式です。具体的にはVGF(Viability Gap Funding)、EBF(Equity Back Finance)、PPPインフラ信用補完スタンドバイ借款があります。詳細は以下よりご確認いただけます。