協議会議事概要 平成14年度 第1回

1.日時:

平成14年12月4日(水)12:30〜13:45

2.出席者:

(委員)
外務事務次官 竹内行夫、総務事務次官 金澤薫、財務事務次官 武藤敏郎、厚生労働事務次官 澤田陽太郎、農林水産事務次官 渡辺好明、国土交通事務次官 青山俊樹、環境事務次官 中川雅治、内閣府審議官 小林勇造(代理出席)、文部科学省国際統括官 永野博(代理出席)、経済産業省貿易経済協力局長 北村俊昭(代理出席)
(外務省)
経済協力局長 古田肇、経済協力局有償資金協力課長 渡邉正人
(国際協力銀行)
総裁 篠沢恭助、副総裁 田波耕治、副総裁 神信一、理事 岩田満泰、理事 河野善彦、理事 志賀櫻、理事 古屋昭彦、開発金融研究所長 丹呉圭一、総務部長 角谷講治、開発業務部長 長谷川純一、総務部次長 矢島浩一、総務部次長 辻一人、開発業務部次長 村田修

3.議事次第:

(1)開会・会長挨拶

(2)国際協力銀行総裁挨拶

(3)年次報告書2002、円借款活動レポート2002、新環境ガイドラインについて

(4)最近の円借款承諾状況、国民参加型業務運営について

4.審議経過:

(1)海外経済協力業務運営協議会会長の竹内外務事務次官から開会の挨拶(概要下記)があり、委員の紹介(新任者、代理出席者のみ)が行われた。

  • 国際社会においては、モンテレイの開発資金国際会議、更にはヨハネスブルグにおけるWSSDといった一連の国際会議において、途上国の貧困問題と開発への関心が高まっている。こうした中、東アジア開発イニシアティブ閣僚会合において我が国のこれまでの援助に強い支持が寄せられ、テロとの関連においても、貧困問題の解決や和平構築のツールとして円借款が重要であるなど、引き続き円借款の必要性は高い。一方厳しい財政事情を反映して、他の先進国と対照的に我が国のODA予算が削減されている中で、効率的、戦略的な実施によりODAに対する国民の理解を得ていくことが非常に大切である。本日は関係府省が一堂に会する貴重な機会であり、円借款に対する忌憚のないご意見をいただきたい。

(2)国際協力銀行篠沢総裁より国際協力銀行側出席者の紹介がなされ、挨拶が行われた。

(3)次に、年次報告書2002、円借款活動レポート2002、新環境ガイドライン、最近の円借款承諾状況、及び国民参加型業務運営について国際協力銀行から説明がなされた。

(4)上記を受け、出席各委員から発言があり、その主なものは以下の通り。

  • 基礎的生活分野や経済社会開発分野への援助は引き続き極めて重要であり、業務実施方針においても重点分野とされている項目であるので、積極的な協力をお願い致したい。特に近年上水道案件が急減しているので、配慮いただきたい。
  • ODAに対する国民の厳しい視点や特殊法人改革の動きも踏まえ、ODA業務を前例に囚われずに絞り込み、より一層効率的・重点的に実施すると同時に透明性を向上させ、国民の理解と支持を得ることが不可欠である。具体的には、途上国の債務返済能力の十分な吟味、ODA・OOF・無償・国際機関間での連携強化、情報公開・評価等の推進、国民参加の促進、途上国のガバナンス改善支援という諸点に留意することが必要である。
  • 本年7月にスタートした本邦技術活用条件を利用して、「顔の見える援助」の強化に努め、また進出日系企業の投資環境整備を行うことにより、東アジアを中心とした途上国との経済連携を強化するようお願い致したい。また円借款について、OOFのみならず民間資金との連携を図ることにも一層留意いただきたい。
  • 情報通信分野においては国際的なデジタル・ディバイドの解消が重要であり、その対応策として、本年度中に策定を予定しているアジアブロードバンド計画の具体化に向け、ODA等による光ファイバーインフラ整備を加速させるほか、遠隔教育・遠隔医療等、情報通信を活用した案件の実施に努めていただきたい。
  • 農林水産業分野の協力においては、依然として厳しい途上国の食糧事情の改善、植林等を通した環境改善への取り組みが課題となっているが、援助の実施にあたってはブーメラン効果に留意する必要があるため、連絡を密にして対応していただきたい。
  • 経済・社会インフラ整備は、途上国の経済成長の観点及び我が国の得意分野を活かす観点から引き続き重要であり、環境配慮を適切に行いつつも、特に本邦技術活用条件を活用した円借款や、技術評価を重視した調達を推進し、「顔の見える援助」を実現することが重要。
  • 来年3月に開催される「第3回世界水フォーラム」への協力をお願い致したい。
  • 経済財政諮問会議において、「15年度予算編成の基本方針」として平和構築分野及び人間の安全保障分野への重点化、事業コストの見直し、執行の透明性向上が打ち出されたが、国際協力銀行においてはこれらの諸点について十分業務に反映させて頂きたい。
  • ヨハネスブルグサミットの開催等によって高まった地球環境保全に対する国際的議論を踏まえ、環境分野への取組みを引き続き強化していただきたい。また、ガイドラインの適切な実施と共に異議申立手続きの策定についても各方面の関係者と議論を尽くして十分な仕組みとなるよう留意いただきたい。
  • 日本の知的資源を活用した開発途上国への教育協力を検討する国際教育協力懇談会において、我が国の援助の質的転換を図るための最終提言がなされ、具体的には大学の組織的な国際開発協力活動への参画についての予算要求をし、援助関係者のすそ野を拡大させ、安定的な協力体制を確保することとしている。また、人材育成については業務の基本方針の一つとなっているので、より積極的な案件実施をお願い致したい。
  • ODA業務は、国民参加型の運営等を通じて国民の理解を得ていくことが肝要である一方で、国力・国益という視点も重要であるので、そのバランスをよく考えていく必要がある。
  • ODAに対する批判をしっかりと受けとめていく上で、「連携」という観点が重要であり、国内では関係閣僚会議や各省連絡会の有機的進行、国外では大使館、NGO、実施機関、相手国政府間との連携にご協力いただきたい。また、ODAの戦略化も重要であり、来年の夏を目途にODA大綱の見直しに着手する予定であるので、「ODAと国益」といった論点について、各方面の積極的な議論を期待したい。

以上