協議会議事概要 平成15年度 第1回

1.日時:

平成15年11月11日(火)12:30〜13:45

2.出席者:

(委員)
外務事務次官 竹内行夫、総務事務次官 西村正紀、財務事務次官 林正和、文部科学事務次官 御手洗康、環境事務次官 炭谷茂、内閣府官房審議官 浜野潤(代理出席)、厚生労働省大臣官房国際課長 村木太郎(代理出席)、農林水産省大臣官房総括審議官 村上秀徳(代理出席)、経済産業省貿易経済協力局長 鈴木隆史(代理出席)、国土交通省総合政策局長 澤井英一(代理出席)
(外務省)
経済協力局審議官 兒玉和夫、経済協力局有償資金協力課長 石兼公博
(国際協力銀行)
総裁 篠沢恭助、副総裁 田波耕治、副総裁 神信一、理事 古屋昭彦、理事 岩下正、理事 岡本巖、理事 丹呉圭一、開発金融研究所長 橘田正造、総務部長 角谷講治、開発業務部長 荒川博人

3.議事次第:

(1)開会・会長挨拶

(2)国際協力銀行総裁挨拶

(3)年次報告書2003、円借款活動レポート2003について

(4)最近の円借款承諾状況、平成16年度予算、環境ガイドラインの実施について

4.審議経過:

(1)海外経済協力業務運営協議会会長の竹内外務事務次官から開会の挨拶(概要下記)があり、委員の紹介(新任者、代理出席者のみ)が行われた。

  • 本年8月に、ODA大綱が11年振りに改定された。改定のポイントは、国際社会の平和と発展を通じて、我が国の安全と繁栄の確保に資するという目的を明記した点、基本方針に人間の安全保障という視点を盛り込んだ点、重点課題として平和の構築を追加した点等である。我が国では、他の先進各国と異なりODA予算が縮減されている状況であるが、そのような時期にあってこそ、新大綱に則り、ODAの戦略性、機動性、透明性、効率性を高めることで、国民の理解を得ていくことが重要である。また円借款には、開発途上国の安定と繁栄への貢献を通じて、我が国の安全と繁栄の確保に資するという面があり、それに加え今後は、紛争地域での平和の構築・定着の為に果たす役割も期待されている。

(2)国際協力銀行篠沢総裁より国際協力銀行側出席者の紹介がなされ、挨拶が行われた。

(3)次に、年次報告書2003、円借款活動レポート2003、最近の円借款承諾状況、平成16年度予算、環境ガイドラインの実施について国際協力銀行から説明がなされた。

(4)上記を受け、出席各委員から発言があり、その主なものは以下の通り。

  • ODAに対する国民の視線を反映した、予算縮減という厳しい環境は、今後も継続していくと思われるが、こうした中で援助の戦略化・重点化を行いODAの効率性を高めて、我が国の責務を果たしていくことが必要。具体的には、相手国との政策協議や国際社会との連携を重視し、また価格面において適正な調達が行われるよう配慮が必要。また、新環境ガイドラインに基づく異議申立制度は先進的な制度と評価しており、他のOECD諸国に同様の措置を求めていくことが重要である。
  • 被援助国のニーズの変化を踏まえて、円借款対象分野、制度の柔軟化を図ること、具体的には人材育成やIT関連等ソフト分野への円借款供与を検討していくことが必要である。また、国民各層のODAへの理解と支持を得る為にも、未だ実績が限定的なSTEPについて、相手国の理解の浸透、優良案件発掘に向けて努力いただきたい。
  • アジアブロードバンド計画の着実な推進にむけ、現在関係国と協議を行っているところであり、今後も国際協力銀行と連携しつつ、開発途上国のデジタルディバイドの解消を通じた国家開発に貢献していきたい。
  • 従来留学生受け入れが中心だった大学の国際協力を、より積極的に推進するべく、開発課題に関する啓蒙やコンサルティング等を行うサポートセンターを設置し、大学と国際援助機関の協力の深化を期待しているところであり、教育支援案件の増加に向けて、大学等が有償資金協力に積極的に関与できる機会をより広げていただきたい。
  • 経済財政諮問会議の決定を踏まえ、引き続き海外経済協力業務実施方針に沿って業務を効率化し、また被援助国のマクロ経済への影響等のマクロ的視点に立った円借款の実施をお願いしたい。また、海外経済協力業務実施方針における男女共同参画の位置付けを高めていただき、個別プロジェクトの計画・実施・評価の際もこの視点に配慮されるよう、体制を強化していただきたい。
  • 保健衛生、上水道、人材養成等は、開発途上国の貧困削減や持続的成長の基盤をなす分野であり、連携をとりつつ積極的な協力を進めていただきたい。
  • 新環境ガイドライン及び異議申立手続は先進的なものであると評価しており、今後はガイドラインの運用を適切に行って頂きたい。また金利面での優遇等を背景に、環境案件の承諾実績が上がってきているが、引き続き温暖化対策等を始めとした環境案件に積極的に取り組んでいただきたい。
  • 農業、食料分野は経済発展の基礎となる分野であり、砂漠化防止や熱帯林の保存等の新しい視点に留意しつつ引き続き重点的に取り上げていただきたい。また国内政策との連携という観点から、WTOやFTA交渉等で関係国の理解を得ていくという面で、ODAの戦略的活用を検討していく必要がある。また、援助にあたっては引き続きブーメラン効果に留意する必要がある。アジア地域の国については、経済発展の度合いに応じた援助の意義につき十分な議論が必要である。
  • 政策立案段階で相手国との政策協議を強化すること、また案件形成段階から関係府省・実施機関間で連携を強化することが重要である。また、環境ガイドラインの運用にあたっては、国内の公共事業実施を通じて得た環境影響評価にかかるノウハウを活用いただきたい。また本邦技術活用条件円借款の相手国への広報、定着に関して尽力いただきたい。

以上