平成18年度 第1回

1.日時:

平成18年12月15日(火)12:30〜13:45

2.出席者:

(委員)
外務事務次官 谷内正太郎、文部科学事務次官 結城章夫、農林水産事務次官 小林芳雄、国土交通事務次官 安富正文、環境事務次官 田村義雄、総務省総務審議官 清水英雄(代理出席)、内閣府総括審議官 土肥原洋(代理出席)、財務省国際局長 篠原尚之(代理出席)、経済産業省貿易経済協力局長 石田徹(代理出席)、厚生労働省大臣官房国際課長 妹尾吉洋(代理出席)
(外務省)
国際協力局審議官 杉田伸樹
国際協力局有償資金協力課長 岩間公典
(国際協力銀行)
総裁 篠沢恭助、副総裁 田波耕治、副総裁 森田嘉彦、理事 森本学、理事 武田薫、理事 齋藤浩、開発金融研究所長 田辺輝行、総務部長 矢島浩一、開発業務部長 岡村邦夫、移行準備室長 山田順一

3.議事次第:

(1)開会・会長挨拶

(2)国際協力銀行挨拶

(3)年次報告書2006、円借款活動レポート2006について

(4)平成19年度予算要求

(5)平成17年度海外経済協力業務実績

(6)貧困削減における地方開発の役割

(7)質疑応答

4.審議経過:

(1)冒頭、会長の谷内外務事務次官から開会の挨拶(概要以下)が行われた。

  • 昨年来のODAを巡る議論の結果、本年4月、総理大臣を議長とする「海外経済協力会議」が設置され、重要事項を機動的・実質的に審議する体制が整えられた他、平成20年度に国際協力銀行の海外経済協力業務と国際協力機構とを統合し、ODAの実施を一元的に担う新しい実施機関を発足させることが決定され、本年11月の臨時国会においてJICA法改正法案が可決成立した。
  • この流れの中で、外務省としても省内に国際協力企画立案本部を設置し、ODA政策の企画・立案機能を強化した他、省内の関係部局を統合し、新たに国際協力局を設立し、ODAの戦略性を高めるとともに、ODAの各手法を有機的に連携させ、ODAをより一層効果的・効率的に実施していく考え。ODA事業量100億ドル積み増し等の国際公約を果たすために、円借款の役割は益々大きくなっている。

(2)引き続き、国際協力銀行篠沢総裁から挨拶が行われた。

(3)次に、年次報告書2006、円借款活動レポート2006、平成19年度予算要求、平成17年度海外経済協力業務実績、貧困削減における地方開発の役割について、国際協力銀行から説明が行われた。

(4)上記を受け、出席各委員から概要以下のとおり発言があった。

  • 現在の厳しい財政事情の下、円借款対象案件の戦略的重点化、各国ドナーや国際機関との連携、無償資金協力等スキーム間の連携強化が有効。また、案件監理の強化、評価・監査の充実等を通じた透明性と説明責任の強化が必要。
  • 国益をにらんだ戦略的ODAの活用が重要。その観点で資源重点国向け円借款供与及びその際のエネルギー政策との連携、円借款の決定プロセスの迅速化が必要。また、本年10月に行った本邦技術活用条件(STEP)の制度改善を受け、今後一層のSTEP案件形成が促進されることを期待。
  • 「国際教育協力懇談会」報告書等を踏まえ、大学が有する知見、教育研究の成果が途上国の課題解決に向け活用されることは有益かつ効果的。今後ともJBICが大学との連携を強化していくことを期待。
  • WTO等貿易関係交渉推進に向けた円借款等ODAの戦略的活用も肝要。また、貧困削減には地方の主要産業である農林水産業の持続的発展が重要であり、特に我が国と共通した自然条件を有するアジア地域に対しては、我が国の農業経験・システムを活かした協力を展開することが有効。
  • 途上国からは経済・社会インフラ整備、防災・減災対策に係る経済協力へ多大な期待が寄せられており、引き続きこれら分野への支援継続が必要。また、官民パートナーシップによるインフラ整備の推進やソフトとハードが一体となった支援を実施していくことが重要。
  • 国際協力銀行の、これまでの環境分野に対する支援実績・情報発信への取り組みを評価。今後とも「環境社会配慮のための国際協力銀行ガイドライン」を遵守しつつ、CDM/JI事業を含めた地球温暖化対策の推進に一層取り組むことが重要。
  • 情報通信技術(ICT)は、途上国では先進国以上に深刻なデジタル・ディバイドが存在しているため、円借款を含めた政府ベースでの支援も必要。また、ICTを活用できる途上国の人材育成にも取り組んでいくことが重要。
  • 本年7月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」を踏まえ、ODAにおいては現地の実施体制の抜本的強化、事業コスト削減等の取り組みを図る必要がある。また、「防災協力イニシアティブ」を踏まえ、今後は防災案件への重点的な取り組みを期待。
  • 近年、新型インフルエンザ、SARS、HIV/AIDS等の感染症対策が課題となっており、有償資金協力・無償資金協力・技術協力等のスキームの枠を超えた連携の下で効果的な支援を実施していくことが重要。

以上