- 1 . 日時:平成17年4月18日(月)16:30〜19:00
- 2 . 場所:国際協力銀行本店・8階会議室
- 3 . 出席者:パブリック・コメントを寄せられた方々にご案内をしたところ16名が参加。国際協力銀行からは開発業務部(部長:荒川博人、次長:山田順一、課長:小川重徳、調査役:生島靖久)が参加。
- 4 . 意見交換会の概要:冒頭、国際協力銀行から、本意見交換会の趣旨(パブリック・コメントのフィードバックと、今後の業務改善に向けたご意見の聴取)、新海外経済協力業務実施方針の内容について説明。また、寄せられたパブリック・コメントの概要と対応について説明。意見交換の概要は次の通り。
【意見交換の概要】
(1)実施方針の総論
- [ご意見]
- 当たり障りなく書けているがそれで良いのか。パイオニア的なものをやるべきである。貧困削減は1970年代から提唱されているが、貧困削減の必要条件としての経済成長に加えて、十分条件となる社会公正を打ち出すべき。特に、貧富格差是正を明示すべきであった。
- [考え方]
- 社会公正は相手国内の配分問題であり、外部者であるJBICがどこまで関与するのかという点を考慮する必要がある。但し、世界全体の公正という意味では、グローバル化の中でのODAの役割という意味で、「グローバル化と円借款」という項目を加えて対応している。これは、先進国が先に資源などの利益を享受しておきながら、開発途上国に地球温暖化対策といった課題を課すという不均衡に対応するために円借款の意義が見出せるのではないかというもの。
(2)地域別・国別の記述
- [ご意見]
- 今回の実施方針では、アジア地域とそれ以外という分類での記述となっているが、アフリカ支援の重要性に鑑みて、アフリカもアジアと並列して記述すべし。
- [考え方]
- ODA大綱でそもそも重点地域はアジアと記述されていることの平仄がある。また、債務問題といった背景から特にサブサハラ・アフリカへの円借款による支援には制約があるのも事実。そうした中で、アフリカ支援の記述自体を確保していることでも意義があると考えている。
(3)現地機能の強化
- [ご意見]
- 現地機能の強化を打ち出しているが、意思決定権限の現地化までには踏み込んでいないように見受けられる。限られたリソースを活用するためには、NGO等の活用が重要である。
- [考え方]
- 現地機能の強化はODA大綱で示されているものであり注力していきたいが、限られた予算という制約の下で効率的に対応することが求められている。意思決定権限の現地化は、ODA中期政策でも議論になった通り、東京と現地の関係をどのように整理するかに拠っている。限られたリソースをオール・ジャパンとして動員するために現地ODAタスクフォースが立ち上がっており、この現地ODAタスクフォースも活用していきたいと考えている。
(4)民主化との関係
- [ご意見]
- 貧困削減を達成するためには民主化という要因も考える必要がある。円借款に限らずODA全体として統一的な対応が必要なのではないか。
- 平和構築といっても現政権の維持が本当に良いものか考える必要がある。民主化の意味、そして中立的な立場という視点が重要。JBICとして知見が十分ではないから、知的トレーニングを強化する必要がある。
- [考え方]
- 民主化といった政治ガバナンスの問題は内政との問題があり難しいイシューであるが、ご指摘の点を踏まえ、当方でも十分に配意して取り組んでいきたい。
(5)環境社会配慮
- [ご意見]
- 環境社会配慮にあたり、開発事業の推進自体には賛成しつつも、移転や補償の手続きを適正に行って欲しいと現地住民の方々が考えている場合、そうした住民の声が拾いにくいという問題がある点、留意いただきたい。
- また、別の機関が行っている調査に原因があってJBICが苦労している案件も存在しており、こうした問題へのフォローアップ方法も検討してもらえると有難い。
- 世界遺産の保護も円借款の対象分野であるが、途上国側に修復をまかせきりにすると遺産の価値が低くなることもあり得るので留意すべき。
- [考え方]
- 相手国政府の意向を踏まえる必要があるが、当方でもSAFといった調査スキームを活用して、可能な限りの対応をしたいと考えている。
- また、現地における夫々の考え方を踏まえ、きめ細かく対応することも求められるので、現地機能の強化に努めていきたい。
(6)その他ご意見
- 貧困削減を重点課題としているが、日本国内の貧困問題にも目を向ける必要があろう。
- 開発途上国の分権化の流れも踏まえ、開発途上国の地方自治体支援を検討する必要がある。その際に、我が国の地方自治体の活動との連携が重要。
- アフリカ支援の強化といっても円借款にはそのような体制やノウハウが不十分である。また南々協力の拡大という点もあり、円借款のスキームや体制の何らかの見直しが必要になるのではないか。
- グローバリゼーションの意味を整理し、その中での海外経済協力業務のあり方を明確にするべき。
- フェアトレード(公正な貿易)は、いまやスイスといった先進諸国の消費者にも根付いている概念であるが、これは開発途上国の輸出産品を適正価格で購入するという意味で開発に貢献するもの。開発教育といった手法を活用して、フェアトレードの概念への理解を深めることが必要。
- 国連機関の邦人専門職員の活用という視点も必要。
- 事後評価にとどまらずフォローアップが必要。
- 自然災害の予防にも注力するべし。
- JBICは資金協力のみならず途上国のCapacity Buildingを含めた総合サービスのプロバイダーになるべき。また、そうした姿勢を高らかに実施方針でうたうべき。
- JBICは国が定めた戦略に沿って戦術を展開する機関である。国はどういった理由で、どういったスタンスでその国を経済協力するか、例えば中国への経済協力ではどのような戦略(日本の貿易、産業に寄与する部分を育てる、あるいは地方に貧困に焦点をあて親日派を拡げる等)目標をとるのかを明確にし、国民に述べる必要がある。それを踏まえてJBICの実施方針では、戦術(事業)としてどのようなモノを展開するか述べるべき。
<配布資料>
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