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施工監理計画書

◎施工監理計画書

コンサルタント契約書標準約款(General Conditions of Agreement for Consulting Service)において、コンサルタントの業務内容(Scope of the Service)の一つに「施工監理計画書の作成」(elaborating the supervision plan)が規定されています。
当該規定にて想定している施工監理計画書の内容、同計画書の作成時期等は以下のとおりです。なお、施設案件のみならず、一定規模の現地施工を伴う機材案件においても施工監理計画書を作成してください。

1.施工監理計画書の役割

コンサルタント(施工監理者)は、発注者(施主)の代理人として、施工業者が契約書、技術仕様書・設計図、及びこれらに記載された出来形管理基準、品質管理基準に基づいた施工を行っているかを監理する役割を担っています。
施工監理業務にあたり、以下に示す内容、時期に施工監理計画書を作成し、適宜更新を行うことで、同計画書はおよそ次の役割を果たすものと考えています。
・コンサルタント(本社、業務主任者及び常駐監理者)、発注者及び施工業者の間で、コンサルタントの施工監理のあり方に共通の理解を得る。
・施工業者から提出された施工計画書及び新たな情報に対応することで、求められる監理内容の最適化、重点を置くべき事項の明確化が図られる。
・工事施工期間中のコンサルタントの施主に対する義務(提供すべき役務(サービス)の内容)の明確化が図られる。加えて、これにより施主の理解不足等による過度な要求を抑止する効果も期待される。

2.施工監理計画書の内容

工事開始に当たって、発注者、施工業者及びコンサルタントの三者間でコンサルタントが行う施工監理について確保しておくべき共通認識としては、およそ以下の事項が挙げられると考えます。なお、施工監理計画書は、一般論ではなく、案件に固有な条件や当該工事の内容及びその進捗などを十分に踏まえて、具体的かつ分かり易く記述されることが重要です。
また、三者間での共通認識に資するべく、施工監理計画書は工事契約書と同じ言語で作成することが望ましいと考えます。
(1)施工監理上の留意事項
 ・設計者であるコンサルタントが重要であると認識している品質管理、安全管理、工程管理など施工
監理上の留意事項
(2)コンサルタントの施工監理体制
 ・常駐監理者の有無・人数
 ・(常駐監理者及び現地傭人を含む複数の監理者、スポット監理者の配置を計画している場合)当該
監理者間での権限・役割分担等
 ・(複数サイトで同時に施工する場合や夜業体制が必要な場合など)案件の形態に即した施工監理体
制、複数の常駐監理者及びアシスタント間での権限・役割分担、協力体制等
 ・(建築工事の場合)電気や設備に係る承認やチェック体制(誰の責任においてどのような手続きで
行うかなど)
  ※施工監理体制(人員の配置)については、積算上の数量(スポット監理者を含む。)と整合してい                  
   ることが求められます。

(3)発注者、施工業者及びコンサルタントの間での定期会議
 ・定期会議の頻度と方法、及びその役割等
(4)書類の提出・保管方法
 ・施工業者とコンサルタントの間で交わされる書類・図面等の提出方法及び保管方法等
(5)施工業者が提出すべき書類等
 ・例として、施工計画書、施工工程表、施工体制、月例報告書、施工図、工事の安全衛生管理に係る
計画書(安全施工プラン等)、資機材、施工法などの承認願い等
  ※特に工種別の施工計画書や施工要領書は施工監理上重要な書類となるため、提出すべき工種の種類
   や時期などを明記することが望まれます。

(6)コンサルタントが施主に提出する書類等
(7)検査・確認方法(品質・出来形)
 ・技術仕様書に基づき施工業者が行う各種工種の品質や出来形に係る検査方法
 ・検査等に係るコンサルタント立会の要否・頻度とその監理方法(工事着手前に、三者間で確認を行
   うために記載)
  ※コンサルタントが工種毎にコンサルタントの検査・確認・立会方法についてその詳細を施工業者に
情報共有し、それらが施工業者作成の施工計画書に反映されていることを確認することにより、質の
高い施工監理が可能となります。

(8)工事安全管理
 ・技術仕様書及び入札時に技術提案書として提出された安全対策プラン及び安全施工プラン等に基づ
いて、施工業者が行う工事安全管理方法やそれに対するコンサルタントの監理方法等(具体的に記載)
  ※コンサルタント独自の取組みと施工業者の安全管理に係る監理方法については分けて記載すること
が妥当と考えます。

(9)その他
 ・環境管理や治安対策等について留意すべき事項

3.施工監理計画書の作成時期

施工監理計画書の作成にあたっては、およそ次のとおり原案作成・最終化・更新されることが妥当と考えます。
・入札図書完成時までに、技術仕様書を踏まえ(又は技術仕様書と平仄を合わせ)原案を完成
※原案作成にあたっては、業務主任者と常駐監理者の間で十分に理解のすり合わせを行う。
・施工業者との契約後、着手前に施工計画書及び現地の技術水準等新たな情報を勘案し、入札図書(仕様書)の要求する機能・品質との同等性を考慮しつつ、必要に応じ施工業者の見解を踏まえ補足・加筆等を行った上、施主、施工業者及びコンサルタントの三者会議において内容を確認し確定
※施工業者の施工管理とコンサルタントの監理体制・方法について説明し、施主の理解を得ておく。
・工事の進捗に伴い、内容に変更や追加が必要となった場合、速やかに更新/修正
※履歴がわかるように、作成日、修正日、作成者、承認者を表記してください。

施工監理計画書(記載例) PDF/295KB