無償資金協力とは
無償資金協力は、開発途上国に資金を贈与し、開発途上国が経済社会開発のために必要な施設を整備したり、資機材を調達したりすることを支援する形態の資金協力です。返済義務を課さない資金協力であるため、開発途上国のなかでも、所得水準の低い国を中心に実施されます。
支援内容としては、病院の建設、安全な水を供給するための給水施設の整備、学校の建設、農村・農業開発を促進するための灌漑施設の整備などの基礎生活分野や、道路や橋などの社会基盤の整備、環境保全を推進するための設備や人材育成など、開発途上国の国づくりの基礎となる活動を支援しています。近年はこれらに加えて、開発途上国の平和構築、ビジネス環境の整備、防災・災害復興や気候変動対策などへの支援も行っています。また、無償資金協力によって整備された施設などが持続的に活用されるように、運営維持等に関する技術指導(ソフトコンポーネント)が実施される場合もあります。
無償資金協力の流れ−プロジェクトサイクル−
プロジェクト型の無償資金協力は、図のとおり大きく6つのステップから構成されるプロジェクトサイクルのなかで実施されます。
- 1 . JICAは「プロジェクト準備」の一環として協力準備調査を実施することで、無償資金協力によって実施することの妥当性を検証するとともに、相手国政府と協議しながらプロジェクトの内容を計画していきます。
- 2 . 相手国政府からの「要請」を受けて、JICAはプロジェクトの内容を「検討/審査」します。
- 3 . 日本政府はJICAによる審査結果を踏まえ、無償資金協力によるプロジェクトの実施を「閣議決定」します。
- 4 . 閣議決定後、日本政府と相手国政府との「交換公文」の締結、JICAと相手国政府との「贈与契約」の締結を行います。
- 5 . 相手国政府が実施主体となって、「プロジェクトの実施」が行われます。JICAは相手国のオーナーシップを尊重しながら、プロジェクトの適正かつ円滑な実施を確保するためにプロジェクトの進捗を確認し、相手国政府などの関係者に助言を行います。
- 6 . プロジェクトの終了後は、JICAは「事後評価」を行い、必要に応じて問題解決や成果の拡充のために資機材や施設の更新、修理などの「フォローアップ」を行います。また、その結果を新しいプロジェクトの準備に活用しています。
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