国際捜索救助諮問グループ アジア太平洋地域会合を東京で開催
2025.08.18
2025.08.18
世界各地で発生する大規模地震などの自然災害。多くの国が、被災国への救援に駆けつけるため、捜索・救助チームを組織し、スタンバイさせています。これら各国から派遣されるチームが効果的に連携し、一人でも多くの被災者をより早く確実に救助するため、国際連合人道問題調整事務所(OCHA)の下に事務局が設置されています。「国際捜索・救助諮問グループ(INSARAG: International Search and Rescue Advisory Group)」という国際ネットワークが組織され、同ネットワークでは、捜索・救助チームの活動の標準化やルールづくり、国際認証制度の運用などを行っています。日本の国際緊急援助隊(JDR: Japan Disaster Relief Team)の救助チームはINSARAG設立当初からのメンバーです。
本年、日本はアジア・太平洋地域の議長として外務省・JICAとOCHAとの共催により、8月7日から8日にかけ、INSARAGのアジア・太平洋地域会合を東京で開催し、域内17か国の代表者など総勢108名が参加しました(うち対面参加は75名)。会合ではINSARAG全体のルールや戦略に対するアジア太平洋地域の意見が纏められ、また域内協力を促す土台として、今後数年間の各国の活動予定などについて、幅広い情報交換・意見交換がなされました。
初日(8月7日)のホスト国セッションでは、「能力強化」をテーマに、冒頭、JICA西川智専門員が「減災と能力開発 日本の経験」と題する講演が行い、続いて宇宙航空研究開発機構(JAXA) から、衛星画像を活用した災害対応・管理に関する国際プロジェクト(センチネルアジア)の概要紹介がありました。セッションを通じ、災害対応についての日本の知見を共有するとともに、能力開発の重要性、防災分野での国際協力の可能性などが問題提起されました。
各国からの参加者による発表からは、中国から国内の捜索・救助チーム認証制度構築の取り組み、オーストラリアから太平洋諸国への災害対応能力強化支援、フィジーから国内対応能力強化に関する地域内連携の取り組みについて発表があり、グッドプラクティスが共有されました。
2日目(8月8日)には、2024~2025年に域内で発生した災害に支援チームを派遣した国から、活動概要や課題についての報告がありました。具体的には、オーストラリアからパプアニューギニア地滑り災害、ニュージーランドからバヌアツ地震、シンガポールと中国からはミャンマー地震への派遣事例が照会されました。
日本はこれらの災害に対し、救助チームは派遣しませんでしたが、パプアニューギニアには緊急援助物資を供与、首都から被災地への輸送ではオーストラリアと連携しました。本セッションでも発表者からこのことに言及がありました。
バヌアツ地震災害では、JDR医療チームの登録メンバーを「支援チーム」として派遣し、知見を活かした災害医療情報マネジメントにおけるサポートを実施するとともに、緊急援助物資も供与しています。ミャンマー地震災害では、JDR医療チームを派遣するとともに、緊急援助物資の供与も行っています。
今回の会合は、災害多発地域である一方で国によって災害対応能力が異なるアジア太平洋地域の現状に丁寧に即した内容であったとして、OCHA及び参加各国から有意義な会合であったとの評価を受け、議長国としての日本のリードについても、評価されました。また、日本国内関係機関の参加者にとっても、国際的な最新情報に直接触れるとともに、各国の国際捜索救助関係者との交流を深めることができ、国際緊急援助隊・救助チームの国際連携強化の面で大変貴重な機会となりました。
今後も、JICA国際緊急援助隊事務局は、世界各地で発生する災害に対し、国際社会が一丸となって迅速、効率的、効果的な支援が行えるよう、国際機関や他国の支援チームとの連携・協調に積極的に参画するとともに、一層の役割を果たしていきたいと考えています。
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