jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

【事例紹介】目視からスマホへ、特殊な機材を使わずに道路を点検できるシステムがケニア国で使われています! - JIPテクノサイエンス株式会社(東京都)

2024.12.05

ケニアでは物流の9割を道路交通に依存しており、とくに北部回廊(重要幹線道路)は東アフリカ諸国の物流の動脈となっています。道路は円滑な物流の実現に直結しており、地域全体の活性化、社会経済の維持に欠かせません。

道路には定期的な維持管理が欠かせないところ、現在ケニアでは道路の点検を目視に頼っており、北部回廊を含む約16万kmにも及ぶケニアの国公共道路の管理をするには時間短縮と精度向上が課題とされています。また道路の修繕費用は道路管理者が実施した道路調査の結果に基づいて配分されるため、技術的制約から道路調査を実施できない地方自治体では適切な道路修繕費の配分が行われないという課題もあります。

そこでJIPテクノサイエンス株式会社は中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)を活用し、スマートフォンを利用した簡易路面評価システム(以下、DRIMS)とAIによる画像解析やサーバーを組み合わせることにより、ほぼリアルタイムに道路状態(平坦性や損傷)を解析・情報提供するシステムの導入に取り組みました。

同社のシステムは、従来の製品の様に専門知識や特殊な機材を必要とせず、また目視点検では困難な初期の損傷も確認できることから、道路の維持管理の省力化や精度の向上に寄与できます。
冒頭に紹介した北部回廊はJICAの協力を受けて作られた道路です。道路を作るだけにとどまらず維持管理の方法についてもJICAは協力しており、従来の目視点検に変わる新しい手法を提案していました。その一つが同社のシステムで、これまでにJICAの技術協力プロジェクトを通じてケニア国道公社での年間道路調査の標準ツールとして導入されています。今回のJICA Biz事業では、当時のシステムにAIの技術を組み込んだ改良版の公的機関や民間企業への導入を目指すために取り組みを実施しました。

以下はJIPテクノサイエンス株式会社担当者へのインタビューの様子

― 地道な努力を続けBtoG事業に取り組んできた同社のビジネスに取り組む際の心構えを教えてください

「公的調達をターゲットにしたビジネスは国内外問わず時間がかかるものです。特に海外市場を開拓する際には、製品の技術や価格の優位性だけが決め手にならず、現地機関との信頼関係の醸成や、本邦と比べた際の意思決定プロセスの遅さなど、収益化までには長い時間を要します。本邦発の製品を海外へ展開していく際には、こういった背景を理解しておくことが、関係者や企業内外のステークホルダーにとって非常に大切だと感じています」

― 6年前から現地代理店を設け遠く離れたアフリカで良好なビジネス環境を構築できたことについてポイントは?

「これまでのJICA技術支援プロジェクトなどで関係者の皆様が築いてきた現地ネットワークを通じて、信頼に足るビジネスパートナーと出会うことが出来ました。現地の交通インフラ発展という共通目標に向かって、今後も関係を強化していきます」

― 現地での反響はいかがでしょうか

「インフラをより良くしたいという関係者の強い想いと、そのための強力なツールになり得るDRIMSに対する大きな期待を感じます。一層の製品開発に取り組むエネルギーをもらっています」

― JICA Bizを活用した感想を教えてください

「今回初めてJICA Bizを活用しました。試行運用をはじめとして、民間企業単独では到底得られないような多大なご協力を現地機関から得ることが出来、海外へのビジネス展開において非常に心強い制度だと感じています」


目視からスマートフォンへ!早く安く正確な点検がケニアをはじめ周辺国の経済も支えていく、同社の今後に注目ください。

■案件概要はこちら↓
https://www2.jica.go.jp/ja/priv_sme_partner/document/1223/Fs191009_summary.pdf

■JICAの回廊開発についてはこちら↓
https://www.jica.go.jp/Resource/publication/pamph/issues/ku57pq00002izsm8-att/japanbrand_07.pdf

■JICA Bizについてはこちら↓
https://www.jica.go.jp/activities/schemes/priv_partner/activities/sme/index.html

iDRIMSの計測イメージ。車にスマートフォンを固定し走りながら道路の様子を撮影します

道路の損傷を検出している様子

第1回テクニカルセミナーの様子

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ