【事例紹介】地震を即座に検知し、被害を食い止める企業の取り組みを紹介します - IMV株式会社(大阪府)
2025.01.16
日本同様に度々、地震や津波の被害が発生するインドネシアにおいて、地震計を用いた防災に取り組んでいるIMV株式会社は、地震計活用に関する ISO規格の策定に携わるなど、地震計の世界的メーカーです。同社の地震計・地震監視装置は、建物など構造物の振動を把握し異常状態を早期に通知する使用方法をはじめ、工場などの製造現場やガス供給施設、上水道や水門をはじめとする公共施設で使用されているさまざまな機器の制御を行い、大規模な被害を未然に防ぐために活用されています。
同社製品を導入することで、地震を検知した際に水道管を緊急遮断し、地震により破損した水道管からの漏水を防ぐことで災害対策用の水や飲料水を確保することが可能となります。また、水門の閉鎖と連動させることで、津波による影響を抑制し、水門を管理する職員や地域住民の避難時間も確保出来るようになることが期待されます。
同社はこれまでに、JICAの中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)を活用し、インドネシアでの地震防災関連課題の把握や同社製品の導入可能性について調査を行いました。
上水道分野に関しては、ジャカルタ上水道公社を対象に調査を行い、配水・給水管や貯水タンクなどの敷設状況を把握しました。パイプ長は 12,000 ㎞、検討/建設中は7,000kmであり、地震計の設置個所候補となる貯水タンクは24か所であり、全タンクに対して地震計を設置することでコントロールルームでの集中管理が可能となります。また、ジャカルタ以外のエリアでも7割ほどの水道事業体が地震計活用の可能性がある電子制御システムを採用しており、ジャカルタ同様に同社製品の活用が可能であることが分かりました。
更に、水門に関する調査では、一部の地域において津波の被害があることが分かり水門の自動開閉を制御することによる未然防災に関する需要が存在することが分かりました。
同社は2024年度、次の段階となるビジネス化実証事業にも採択され、同社の地震計に関心を持った西スラウェシ州政府と協力し、地震状況(震度相当)を把握するためのモデルケースとして実際に地震計を設置した実証活動を行い、その結果を踏まえ、インドネシア各地への展開計画策定や必要な法制度整備への提言などの取り組みを行っていく予定です。
数多くの災害を乗り越えてきた日本の技術が日本とも共通する課題を抱える開発途上国でも活かされようとしています。
■案件概要はこちら↓
https://www2.jica.go.jp/ja/priv_sme_partner/document/1496/Nz221010_summary.pdf
■中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)についてはこちら↓
https://www.jica.go.jp/activities/schemes/priv_partner/activities/sme/index.html
地震監視装置SW-54
ジャカルタ上水道公社のコントロールルーム内の流量計等
現地の水門の外観
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