【事例紹介】ベトナムの農業を救う!安心安全な営農システムで食卓と農家さんに笑顔を - 井上石灰工業株式会社(高知県)
2025.04.11
ベトナムゲアン省はオレンジの産地として有名で、現地ではゲアンの名物「ビンオレンジ」として親しまれています。そんなビンオレンジを脅かす病気が「かいよう病」です。この病気は柑橘類をはじめとした果物に発症しやすく、果実や葉に褐色の病症(写真1)が現れるため商品価値を低下させてしまいます。
かいよう病は細菌性の病害のため一度感染すると完全に治すことは難しく予防が大切です。ベトナムではそうした病気に対して農薬を使用していますが、一部の農家では違法農薬の使用や農薬の過剰使用があり、残留農薬による食の安全性が脅かされています。
そこで井上石灰工業株式会社は人体に害のない殺菌剤IC ボルドー66Dと現地の環境にあった栽培技術、それらに関わる人材の育成を含めた総合的な営農システム(IC-MOCS)を用いた安心安全な農産物生産技術を普及させるために中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)を活用しベトナムゲアン省にて事業を行いました。
同社は本事業中に、通常は申請から登録まで10年はかかると言われていた製品の農薬登録にも成功しその後現地の卸売業者と共にセミナーなどを通じた商品のプロモーション活動やベトナムの果樹野菜研究所と共に IC-MOCSの普及活動に取り組みました。
そして2025年3月にはベトナムの大手企業と農薬の合弁会社を設立し、同社が開発した製品の現地生産と販売力強化を図ります。生産された農薬はベトナムのみならずアジア圏で販売をされる予定です。
そんな同社の本事業のご担当者にJICA Bizを活用されたご感想をお聞きすると「中小企業単独での海外展開は極めて困難だが、本制度で普及実証が成功裏に結び付き、インドやカンボジア等近隣諸国への足掛かりを得られたことは、今後の海外展開に大きな飛躍をもたらすと思います」とお答えいただきました。
安心安全な農産物を作ると共に、商品価値の高付加価値化にも貢献をする営農システムに注目です。
■案件概要はこちら↓
https://www2.jica.go.jp/ja/priv_sme_partner/document/651/F161024_summary.pdf
■中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)についてはこちら↓
https://www.jica.go.jp/activities/schemes/priv_partner/activities/sme/index.html
写真1:かいよう病の写真
写真2:IC ボルドー66Dの商品
写真3:IC ボルドー66Dを散布している様子
写真4:研修の様子
写真5:合弁会社設立に向けた調印式の様子
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