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【事例紹介】キルギスの「白い蜂蜜」を日本へ - 高付加価値化で地域を潤す - 株式会社若林商会(福岡県)

2025.05.16

中央アジア・キルギス共和国。天山山脈の麓、標高1,200m以上の高地に咲く「エスパルセット」という牧草の花から採れる蜂蜜は、乳白色で上品な甘さを持つ希少な逸品です。この「白い蜂蜜」に魅せられたのが、福岡県の専門商社、株式会社若林商会です。同社は、キルギスが労働人口の1/3が従事しながらもGDPへの寄与度が低い農牧畜業において付加価値の向上と地域振興への貢献を目指し2017年、蜜源を限定し、非加熱処理にこだわった「エスパルセット単花の生蜂蜜」を日本市場向けに商品化するため中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)を活用し現地調査を行いました。

キルギス産エスパルセット蜜

エスパルセットの花畑

背景:地域の課題と市場の可能性

ソ連時代のキルギスは「beekeeping country(養蜂の国)」と言われる程蜂蜜産業が盛んでしたがその後は国の経済が落ち込んだことにより養蜂家の数も生産量も減少していました。調査実施当時のキルギスは主要産業である農業の生産性や加工技術、販路開拓に課題を抱え、出稼ぎによる地方の過疎化も進んでいました。一方で、日本の蜂蜜市場では健康志向から高品質な天然蜂蜜への関心が高まっており同社は、エスパルセット蜂蜜の独自の価値が日本の消費者に受け入れられると同時に、キルギスの地域振興にも貢献できると考えました。

挑戦:品質へのこだわりと技術移転

プロジェクトの核心は、単なる輸入販売ではありません。現地キルギスにおいて、高品質な「単花・生蜂蜜」を安定的に生産するための技術移転に重点を置きました。具体的には、

1. 蜜源管理:エスパルセット以外の花の蜜が混ざらないよう、蜂の行動範囲を考慮した養蜂技術
2. 非加熱処理:蜂蜜本来の風味や栄養価を保つための、採蜜後の丁寧な温度管理と濾過技術

これらの技術を現地の養蜂家や組合に指導し、品質基準を満たした蜂蜜を適正価格で買い取る仕組みを計画。これにより、養蜂家の所得向上と品質への意識向上を目指しました。輸入後は自社の低温管理設備で品質を維持し、日本国内で最終製品化することを検討しました。

展望:期待される効果と連携

この事業は、成功すればキルギスに大きな変化をもたらす可能性を秘めています。品質向上による蜂蜜の高付加価値化は、養蜂家の収入増に直結します。高付加価値化の成功事例は地域経済を刺激し、ひいてはキルギス産品の輸出促進にも繋がると期待されました。

以下のパートでは本事業に携わった同社代表取締役社長の若林様にお話を伺いました。


・2018年2月に調査を終了して以降「エスパルセット単花の生蜂蜜」の輸入・販売事業を開始できたのでしょうか?

・調査後、販売までの過程での困難はありましたか?

・現地での技術移転(蜜源管理、非加熱処理、品質管理等)は計画通り進みましたか?特に困難だった点は何でしたか?

・この一連の事業を通じて得られた最大の学びや教訓は何でしょうか?

・JICAは貴社の事業に対してどのような貢献ができたでしょうか?


若林商会の挑戦は、キルギスの豊かな自然資源と日本の市場ニーズを結びつけ、現地の技術向上と経済発展を促す試みでした。地域に根差した持続可能なビジネスモデルとして、その後の展開が注目されます。

■案件概要はこちら↓
https://www2.jica.go.jp/ja/priv_sme_partner/document/726/K161029_summary.pdf

■中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)についてはこちら↓
https://www.jica.go.jp/activities/schemes/priv_partner/activities/sme/index.html

現地調査の様子(現地の養蜂場)(1) 

現地調査の様子(現地の養蜂場)(2) 

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