【事例紹介】フィリピンで桑の葉茶の栽培を通じて生産者の所得向上、消費者の健康促進を実現する - 株式会社桑郷(山梨県)
2025.05.26
生活習慣病の予防や進行抑制に効果があるといわれる桑の葉茶。
桑の葉茶の産地である山梨県市川三郷町において栽培から製造販売までを行うのが株式会社桑郷です。
同社は2016年から中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)を活用し、フィリピンのパンパンガ国立農業大学(PSAU)と協力しパンパンガ州の農家と桑の葉茶の栽培、加工、販売のビジネスモデルの実現に向け、現地調査やビジネスモデルの実証に取り組みました。
フィリピンのパンパンガ州で行った調査では山間部において果樹や野菜を栽培しているものの、季節による販売価格の変動や台風などの自然災害による影響があり農家経営が安定しないという課題がありました。
そこで天候に生産量が左右されにくく、同地域の気候では年4回(日本では年2回)の収穫が可能である桑を栽培し安定した販売先を確保することで農家が安定した収入を得ることができるようビジネスモデルを作成しました。
同社はJICA Bizを通じて事業パートナーであるPSAUへの栽培技術の指導や桑の葉茶の生産体制や販売方法の検討、桑の葉茶の普及展開案の策定等に取り組みました。コロナ禍で2年間日本側のメンバーの渡航ができなくなるなどの障壁がありましたが、コロナ禍直前に行った PSAUスタッフに対して日本で行った桑の葉茶に関する研修とその後の同社のフォローアップのおかげもありPSAUが主導してモデル農家への栽培指導を行いました。
そして2025年1月、同社は現地法人を立ち上げました。2025年中には現地の荒茶(半製品)生産目標として5t、3年以内に25~30tを目指していく予定です。その為に現在は畑の管理から収穫、製茶という生産体制を軌道に乗せるべく取り組んでいます。フィリピン国内では今年の4月からティーバッグタイプの商品の販売を開始し半年後には月2,000~3,000個の販売を見込んでおり、5年後の2030年には毎月15,000~20,000個を目標にしています。
現地で生産されたお茶は、今後日本のみならずASEAN諸国や米国への販売を視野に取り組んでいます。
現地の農家の収入向上と消費者の健康促進に貢献する同社の桑の葉茶を通じたビジネスに今後も注目です。
■案件概要はこちら↓
・パンパンガ州における桑の葉茶事業案件化調査(2016年5月 ~ 2017年6月)
https://www2.jica.go.jp/ja/priv_sme_partner/document/611/A152004_summary.pdf
・パンパンガ州における桑の葉茶事業普及・実証事業(2019年2月 ~ 2023年8月)
https://www2.jica.go.jp/ja/priv_sme_partner/document/941/F172025_summary.pdf
■日本全国各地発!中小企業のODAで紹介された同社の記事はこちら↓
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/100808164.pdf
■中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)についてはこちら↓
https://www.jica.go.jp/activities/schemes/priv_partner/activities/sme/index.html
現地製茶工場にて(左側:韓社長、右側:PSAU学長のPresident Dr. Anita )
PSAUの桑畑
PSAUに設置した製茶機材
提案企業より桑の葉茶事業の概要説明
PSAUより桑の葉栽培の説明
製茶した桑の葉茶荒茶
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