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【事例紹介】フィリピン地方の電力課題に挑む、公共施設向けPPAを導入 - 株式会社アドバンテック(東京都)

2025.08.04

2025年7月18日(金)、フィリピン・ミンダナオ島に位置するディゴス市とアドバンテック・フィリピン社(株式会社アドバンテックの現地法人)の間で、公共施設への太陽光発電導入に関する電力購入契約(PPA)が締結されました。調印式には在ダバオ日本国総領事、ディゴス市商工会議所会長、市議会議員、電気協働組合等の関係者が参加しました。将来を見据えた地域エネルギー政策の一環としてアドバンテック社の取組みに強い期待がよせられました。

地方都市に残る「高くて不安定な電力」の壁

フィリピンでは都市部と比べ、地方の公共インフラは電力面で依然として多くの制約を抱えています。電気料金の高止まりや停電リスクに常にさらされており、どうすれば持続可能でコスト効率の高いエネルギーを導入できるか――その答えのひとつが、アドバンテック社による“初期投資ゼロ”の太陽光発電PPA事業です。

今回の契約では、アドバンテック社が公共施設に発電設備を無償で設置。ディゴス市が発電設備により発電された電力を10年間購入し、その後は発電設備を市に無償譲渡する仕組みです。このモデルにより、地方自治体でも初期コストなしで再エネ導入が可能となり、公共施設の電力コストを抑えると同時に、安定した再生可能エネルギーの供給を可能にします。アドバンテック社は独自の電力供給最適化の技術を活用し、発電設備設置後の安定運用と保守についても現地で対応できる体制を有しています。加えて、ディゴス市が消費しきれない電力については現地電力会社へ売電できる仕組みも整えており、地域の電力不足解消に貢献することも期待されます。

再エネの地域展開とエネルギーの公平なアクセスの実現に向けて

アドバンテック社は2023年度にJICA中小企業・SDGsビジネス支援事業「太陽光発電と蓄電池による 再生可能エネルギー供給と防災効果に関するニーズ確認調査」を実施。太陽光発電、蓄電池及びエネルギーマネジメントシステム(EMS)を組み合わせた自社開発の電力供給パッケージを通じて、フィリピンの電力事情に即したソリューションを提案しました。特に地方では災害に備えたレジリエンス強化や、日常的な電力コストの削減ニーズが高いことを確認。その後、地方自治体との連携による導入の可能性を探り、在ダバオ日本国総領事からの支援も得て構想から1年足らずで今回の事業化につながっています。

7月以降は工事に着工し、今後電力需要に応じて追加投資も検討しています。ディゴス市は持続可能な都市構築への継続的なコミットメントへの意欲を示しており、安価でクリーンなエネルギーを確保するアドバンテック社の取組みを強く支持。今後、本取組みがフィリピンにおける日本の技術と運用ノウハウを活かしたエネルギー転換のモデルとして展開されていくことが期待されます。


■案件概要はこちら↓
https://www2.jica.go.jp/ja/priv_sme_partner/document/1498/Nz221020_summary.pdf

■株式会社アドバンテックのHPはこちら↓
https://www.advantec-japan.co.jp/

■中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)についてはこちら↓
https://www.jica.go.jp/activities/schemes/priv_partner/activities/sme/index.html

2025年7月18日ディゴス市とのPPA契約調印式

建設中のミンダナオ島コトバト州キダパワン市の市庁舎の太陽光システム

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