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- カメルーン ― 注目分野(森林保全分野)
広大な熱帯雨林を有するコンゴ盆地の一部に位置するカメルーンでの持続可能な森林保全・アグロフォレストリーを通して、地球全体の温室効果ガス排出削減に向けたチャレンジにご協力いただける企業をお待ちしております!
カメルーン森林セクター概観
カメルーンは、アマゾンに次ぐ世界第2位の森林面積を誇る熱帯雨林であるコンゴ盆地の一部に立地します。コンゴ盆地は同国を含めて7か国に及び、同盆地中約10%の森林面積が同国にあるとされます。また、同国国土面積(475,400km2=日本の約1.26倍)の約42%に相当する約20万km2が森林に覆われています。
コンゴ盆地の森林減少は加速傾向にあり、カメルーンの森林も長年にわたり減少傾向にあります。その背景として、人口増加に伴う無秩序な農地開発や違法伐採などが挙げられています。こうした中、カメルーンは気候変動に関するパリ協定における「自国で定める貢献(NDC)」の中で、2030年までに温室効果ガス(GHG)の排出量を35%(2010年比)まで削減する目標を打ち出し、取組を進めております。また、国家開発戦略2020-2030では持続的な森林管理のために質・量両面における人材育成を行う方針を掲げ、森林行政官の増員を図ろうとしています。同時に、土地利用計画の策定・運用や森林モニタリング、植林等による持続的な森林管理のための技術向上や人材育成といった課題に対応しようとしております。
カメルーンにおける森林
特に解決が期待される開発課題
農業及び森林分野からの温室効果ガス(GHG)排出削減活動の促進
カメルーンでは農業開発を含む地域開発プログラムの策定、農業・畜産業・漁業の生産性向上が重要な施策と位置づけられています。一方で、カメルーンにおける国全体のGHG排出量の50%以上は、森林減少や土地劣化などを伴う農林水産分野での活動からの排出と推定されています。特に、カメルーン国内で最も高い森林減少率を有するエリアに属する中央州における森林減少の主な要因の一つは、無秩序な森林の農地への転換となっています。このような農業起因のGHG排出削減を促進することが課題となっているため、農作物の需要に応えつつ、森林保全を行えるような取り組みが求められています。
活用が想定される製品・技術・ノウハウ
森林伐採ゼロによるカカオ生産
カメルーン政府は2030年までにカカオの生産量を60万トンに増やすこと(2019年時点の30万トンから倍増)を計画している一方、カカオ栽培のための農地開拓は、森林減少の要因としても認識されています。そこで、農業の集約化技術やアグロフォレストリーの導入によるカカオの持続可能な生産と森林減少ゼロが目指されています。また、カカオの主要輸出先である欧州で、カカオを含む一定の品目(※)について、原産地の地理的情報と森林破壊フリーであることの証明を求める規則である「欧州森林破壊防止規則(EU Deforestation Regulations: EUDR)」の適用が2025年12月から開始予定であることに伴い、EUDRの基準を満たす森林伐採ゼロ(Zero Deforestation)によるカカオ生産の普及が今後必要となる見込みです。
※カカオ、コーヒー、パーム油、大豆、天然ゴム、牛、木材の7品目。
PROGEFパイロット活動サイトで栽培中のカカオ
バイオチャー利用農業によるGHG排出削減
枝や作物の残渣などを材料として作られた炭であるバイオチャー(Biochar)は、農地において土壌の透水性、保肥力の向上、ミネラルの補充、土壌中の保湿効果、団粒層構造の促進など、土壌肥沃度を高めて作物の生産性を向上させる効果を有します。このバイオチャーを利用した農業を集約的に行うことで森林伐採を抑制し、さらに、農地に炭を埋蔵することから土中に炭素が蓄積され、温室効果ガス削減につながるとされています。
PROGEFバイオチャー利用農業パイロットサイト(作物はとうもろこし)
その他
・ドローンを使用した森林モニタリング
・カカオ豆の残留農薬検査技術
関連するJICAの方針・事業、参考リンク
技術協力プロジェクト「持続的森林エコシステム管理能力強化プロジェクト(PROGEF)」
カメルーンのNDC達成に向けた関係者の能力強化を図るためにJICAが実施した技術協力プロジェクト(実施期間:2019年1月~2025年1月)です。5つの温室効果ガス(GHG)排出削減活動(ERA)(※)を含む排出削減シナリオ(ERS)策定を通じた温室効果ガス排出削減の促進を目的としています。
※「森林伐採抑制を目指すキャッサバ生産」、「バイオチャー利用農業による森林伐採抑制・GHG 排出削減」、「森林伐採ゼロによるカカオ生産」、「荒廃サバンナ植林」、「アメリカミズアブ(Black Soldier Fly)を用いた有機廃棄物の分解および活用」。
・https://www.jica.go.jp/oda/project/1601929/index.html
・https://www.jica.go.jp/activities/issues/natural_env/__icsFiles/afieldfile/2023/11/27/33_20231124.pdf
(「自然環境だより」第33号(pp.6-7))
・https://www.jica.go.jp/activities/issues/natural_env/__icsFiles/afieldfile/2024/11/13/20241112_Vol.36.pdf
(「自然環境だより」第36号(pp.8-9))
・https://www.facebook.com/groups/progef(プロジェクトのFacebookページ)
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