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セネガル ― 注目分野(海洋漁業・資源管理・養殖分野)

大西洋に面する約700kmの海外線を有するセネガルは、水産分野での参画のポテンシャル大!

特に応募を期待する領域

  • 水産流通・加工関連技術(高付価値化、加工、保冷・保蔵、品質保持、包装等)
  • 輸出促進(日本・アジア・ヨーロッパ向けの水産物の輸出)
  • 海面養殖関連技術(魚類・貝類養殖向け養殖施設・資機材および技術)
  • 水産物の品質保持が可能な経済的で安全な小型漁船・機材及び技術
  • 高度衛生型施設用機材及び関連技術
  • 水産資源管理・養殖業に資する各種デジタル・AI技術 等

セネガル水産セクター概要

セネガルは西アフリカの大西洋岸に位置し、約700kmに及ぶ海岸線と多様な海洋生態系を有しています。水産業はセネガルの重要産業として、国内総生産(GDP)の約3%を占め、60万人以上の雇用を創出しています。年間約50万トンの水産物が水揚げされ、その80%以上が沿岸の零細漁業によるものです。

一方で、乱獲や気候変動による水産資源の減少に直面しており、水産資源管理能力の強化や、限られた資源の高付価値化を可能とするバリューチェーン開発が優先課題となっています。また、沿岸・零細漁業で活用されているピローグ(木造船)の安全面管理、水産物の品質・衛生管理管理体制強化、零細漁業と観光開発の経済効果促進などの課題もあります。

JICAでは日本とセネガルを繋ぐ水産分野への協力に1970年代から注力しており、初めは水産政策・漁業開発などを通した漁業組合の組織化の支援等を実施するところから始まり、その後ダカールの流通の拠点となっている魚市場や水産センターの建設、近年では時代と共に世界的にニーズが高まっている水産資源管理分野での支援を実施してきました。現在は、持続的な水産資源管理を実施しつつ、どのように限られた水産資源の高付価値化を進めていくかということに重きを置きバリューチェーン開発協力を幅広く展開しています。

特に解決が期待される開発課題とJICA協力

セネガル政府は水産業の近代化と外国企業の投資誘致を優先課題と位置づけています。特に加工・保冷・流通分野への技術協力や投資に対して支援策を整備しており、以下の開発課題への解決が期待されています。

・ 水産物の高付価値化を通じた漁民及び水産業従事者の収入向上
・ 持続可能な漁業・養殖振興を含む適切な水産資源管理

JICAでもこのような政府の取組を支援するために、ブルーバリューチェーンの発展を目指し以下のようなプロジェクトを通じて貢献しています(2025年5月時点):

● 国立水産物分析所建設計画:
  水産物の安全性向上と輸出促進を目的とした、国際的な輸出規格に準じた認証を発行できる水産物分析施設の建設
  (参考)
  国立水産物分析所建設計画 | ODA見える化サイト
  セネガル向け無償資金贈与契約の締結:水産物検査所建設を通じて輸出水産物の安全性・付加価値向上に貢献

● ジョアール・ファデュトゥにおける水産物付加価値向上のための改良型水揚場整備計画:
  零細漁業者の生計向上及び国際的な輸出規格に準ずる水産物の衛生管理、輸出促進を図るための水揚場整備
  (参考)
  セネガル共和国向け無償資金協力贈与契約の締結:高度に衛生管理された水揚施設の整備により、安定的な水産物の輸出振興に貢献

● 水産行政アドバイザー派遣:
  1990年代から現在まで7代に渡る専門家が派遣され、漁業・海洋経済省の組織強化や職員の能力強化に貢献

担当者コメント

アフリカと言うと「海」や「魚」というイメージがすぐには思い浮かばないかもしれませんが、セネガルでは古くから漁が盛んで、日本人に負けないくらい魚を愛する人々がいます。現に魚の年間消費量を見てみると、日本人は1人当たり年間約22kgを消費しているのに対し、セネガル人はなんと約26kgを消費しています。UNESCO無形文化遺産にも登録されているセネガルの国民食も「チェブジェン」という魚の出汁を使って魚とふんだんの野菜を使った炊き込みご飯で、日本人も大好きな味です。

こんな水産大国のセネガルですが、前述の通り課題が多くあるものの、今後大きく成長を遂げるポテンシャルの溢れる国です。同じく昔から漁の文化を持ち、世界的に魚の文化を誇る日本だからこそ持ちうる技術を是非、この西アフリカにあるセネガルにも是非普及いただければと思います。皆様からのご連絡、お待ちしています!

(参考)第24回 in セネガル 魚介のダシが絶品! 水産大国の炊き込みご飯|JICA MAGAZINE | 広報誌 JICAマガジン