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取り組み強化分野:製造業
ザンビアのGDP成長率は、過去10年間で3~5%前後で推移(COVID-19影響の2020年除く)する中で、製造業のGDPシェアは概ね10%前後で推移しており、一定の成長を続けている産業です。また、第8次国家開発計画(8NDP)では、農業、鉱業、観光業とともに製造業を重要セクターに位置づけ、更にICT促進にも言及しており、高付加価値化・産業多角化を図るとともに、貿易と民間投資の拡大に取り組んでいます。特に製造業は雇用創出のポテンシャルが高く、他産業への波及効果も期待されており、ザンビア政府は、8NDPの中で、(1)食品加工、(2)エンジニアリング、(3)木材・木材製品、(4)繊維、(5)皮革・皮革製品、(6)金属・非金属鉱物、(7)医薬品を優先的なバリューチェーンとして位置付けています。
ザンビアにおける製造業各セクターの現状と課題
(1)食品加工
国内及び周辺諸国において都市化と人口増加を背景に、加工食品の需要が伸びています。ザンビアは農業が主要産業の一つであり、トウモロコシ、大豆、小麦、果物、野菜などの生産が盛んで、国内消費分食料の約8割を小規模農家が供給しています。しかし、小規模農家においては、高品質な農業資材、金融サービス、収穫後の貯蔵、技術、市場、情報へのアクセスが限られており、生産性が低く、農産品加工による高付加価値化は進んでおらず、所得も低い状況です。畜産加工については、食肉、乳製品、鶏肉製品、皮革製品、飼料など幅広い商品を生産する大規模な商業農場が中心となっています。特に、ヨーグルト、飲むヨーグルト、チーズ、バター、牛乳ベースのジュース等の牛乳と乳製品については、国内の消費が急速に伸びており、2021年の国内の総消費量は約5億6,000万リットルと推計されており、2010年と比較すると2倍以上の伸びとなっています。
(2)エンジニアリング(鉄鋼加工)
国内では鉄鋼、鋼材加工、銅加工、鉄鋼関連加工・組立等の鉄鋼・金属加工業が成長しつつあります。中でも、鉄鋼および鋼材加工サブセクターは、国内だけでなく周辺国における鋼材および鋼材加工製品の需要増加が見込まれ、特に大きな成長可能性があると考えています。鋼材加工事業は中・大規模のエンジニアリング鋼材加工メーカーだけでなく、多くの零細企業により実施されています。一方で、国内の鋼材市場で品質が保証された製品を調達することが難しいほか、非効率で時代遅れの技術や機械を使うことにより、市場で要求される基準を満たさない低品質製品を生産している等、高品質化が課題となっています。
(3)木材・木製品
ザンビアはアフリカで最も森林の多い国の一つで、国土の約67%(約5,000万ヘクタール)がチーク、マホガニー、ローズウッド、パインなど高い価値を有する木材を含む森林に覆われており、林業セクターは国内GDPの約5%を占め、14億米ドルに上るといわれています。一方で、加工機材の未整備や、技術や製品デザイン、木材加工に特化した職業訓練校がないなどの理由から品質の高い製品を作り出せていないという状況です。また、貧弱な道路インフラによる高い輸送コスト(1t / 1kmあたり約4.25 米ドル)も課題となっています。
(4)繊維製品
ザンビアは南部アフリカ第3位の綿花生産国であり、2020年には50,594トンが生産されました。かつてザンビアの繊維産業は主要産業として経済と雇用に大きく貢献していましたが、大量の安価な外国製品の流入によってバリューチェーンが崩壊した結果、ザンビア繊維市場は原材料と最終製品の双方で輸入品に頼っている状況です。中でも国内紡績企業の競争力が低下したことで、ザンビアの縫製業者は南アフリカと中国からの輸入原料(生地)に大きく依存しています。それに伴う生産コスト高により、これら国内製造業者の競争力が失われ、公共調達分野でも安価な外国製品が多くを占めています。ほとんどのザンビア縫製業者は、学校の制服やジャージ、公共機関の制服、鉱山労働者向けの衣類などのニッチ製品に特化した製造を行っています。政府は2000年代に操業停止していた繊維企業への外国投資を誘致し、国内繊維産業の再生を目指しています。
(5)皮革・皮革製品
ウェットブルーやなめし革などの中間製品に加え、履物、ハンド バッグ、ベルトなどがザンビアでは生産されています。近年、国内の牛の頭数は増加傾向にあり、すべての皮革が国内で最終製品に加工されれば、牛の頭数増加は皮革産業の高い成長ポテンシャルになりますが、多くの農家が家畜に印をつけるため、なめしに利用できる皮革の面積を減少させています。また、外国製のファッションシューズと競争するのが難しいため、ザンビアの履物企業は、鉱業の企業や金物店向けの安全ブーツ、警備会社向けのセキュリティブーツ、個人顧客向けの通学靴など、標準化された製品を制作する傾向があります。ザンビアの最終製品の輸出量はごくわずかである一方、なめし革を輸入し、高品質の革製品を製造して国内外で販売する起業家もいます。
(6)金属・非金属加工
セメント、硫黄、金属・非金属鉱物の需要は、ザンビアとコンゴ民主共和国の鉱業及び建設活動の増加に伴い全般的に伸びています。宝石・宝飾品セクターは、ザンビアの輸出額の1%程度で、約6万人に雇用を提供しているとされます。ザンビアには、アメジスト、エメラルド、クォーツ、ベリル、アクアマリンなどの宝石の豊富な埋蔵量があり、アメジストとエメラルドは世界第2位の産出量を誇っています。大手採掘業者は、採掘した宝石の加工(洗浄、選別、等級付け、カット、研磨)を行い輸出していますが、小規模採掘業者は加工技術、訓練の機会、機材の欠如が課題となっています。また、ザンビアは硫黄の主要生産国であり消費国でもあります。鉱山では通常、銅1トンの生産につき3.5~4.5トンの硫酸を使用しており、多くの銅鉱石加工(精錬・精製)工場には、副産物(回収生産)として硫酸を製造する酸工場が併設されています。銅の採掘と加工の主要国として、ザンビアは年間約200万トンの硫酸を生産しています。
(7)医薬品
ザンビアには150を超える医薬品卸売業者が登録されています。他方、国内の製薬会社は数社あり、主にインドや南アフリカから原料を輸入し、国内向けジェネリック医薬品の製造や医薬品原薬を様々な投与形態に製剤化する二次生産を行っています。主な製品は、抗生物質、抗マラリア薬、鎮痛・解熱剤、抗原虫薬、抗ヒスタミン薬などです。一方で、歳入庁は医薬品製造に使用される原材料に課税し、最終医薬品には税優遇措置を講じており、国内製造医薬品とインドや南アフリカ等からの輸入医薬品の取扱いが課題として指摘されています。
より詳しい情報をご希望の方は以下の調査レポートをご参照ください。
「●製造業調査報告書」
1000052258.pdf
ザンビア政府の製造業の投資環境
ザンビア政府は、より多くの投資家を誘致することを目的として、投資優遇措置の改革を進めています。ザンビア政府は、財政的・非財政的及び複合型経済特区(Multi Facility Economic Zone:MFEZ)/産業団地における以下のような優遇処置を実施しています。
優遇処置の種類 | 優遇処置の対象 | 投資家優遇処置の概要 |
財政的インセンティブ | 優先セクターへの投資家 (製造業、インフラ建設、観光、エネルギー、水) |
資本整備・機械に対する輸入関税が5年間0% |
資本設備・機械の加速償却 | ||
非財政的インセンティブ | 外国投資家及び国内投資家が、同法に基づきあらゆる分野や製品に投資する場合 | 投資保証および国営化からの保護 |
入出国許可申請、二次ライセンス、土地習得の無料手続き | ||
ビジネスおよびパートナーシップの促進 | ||
ザンビア投資環境、規制制度、投資機会に関するアドバイザリー | ||
MFEZインセンティブ | MFEZまたは産業団地への投資家 (製造業への投資に限る) |
MFEZまたは産業団地での事業開始年度より10年間は税金0% |
MFEZまたは産業団地内の企業を対象に、事業開始初年度より10年間、輸出で得た利益にかかる配当に対する税金が0% | ||
MFEZまたは産業団地内の企業を対象に、事業開始初年度より10年間は輸出で得た利益に対する税金が0% (11-13年目は利益額の50%のみに対して課税、14-15年目は利益額の75%のみに対し課税) |
より詳しい情報をご希望の方は以下のガイドラインをご参照ください。
「●Zambia Investor Guide Handbook 2023」
https://zda.org.zm/wp-content/uploads/2024/06/ZDA-INVESTOR-GUIDE-HANDBOOK-2023.pdf
担当者コメント
投資をご検討されている企業のみなさま、まずは一度ザンビア事務所、民間連携事業担当またはお近くのJICA事務所へご相談ください。
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