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- インドネシア ― 注目分野(環境・衛生管理分野)
インドネシアでは、河川や地下水などの公共用水域の水質汚染や住民の健康被害による環境問題が深刻化しており、下水道の普及と下水処理施設の整備が急務となっている。
現在の状況、環境・衛生管理関連
1. 下水道管理
インドネシアでは、経済成長とともに都市に人口が集中し、活発な社会経済活動から汚水・排水による水質が悪化し、一つの都市課題となっている。特に河川や工場排水による水質汚染や、住民の健康被害による問題が深刻化しており、下水道の普及と下水処理施設の整備が急務となっている。現在、人口1,000万人を超えるジャカルタではジャカルタ特別州の下水道普及率は11%程度(2023年時点)(※1)、実際に下水道システムに接続している家庭はわずか2%程度に留まっている。
JICAの技術協力で行われた「ジャカルタ下水道管理マスタープラン」では、下水処理区域を15の区画に分け、施設整備率を20%(短期目標:2020年まで)、50%(中期目標:2030年まで)、80%(長期目標:2050年まで)と段階的に高める整備計画を策定した。ジャカルタ特別州の中心部に位置する1区と6区は、整備すべき「優先プロジェクト」に制定されている。また、インドネシアの廃水の95%は(※2)、農地、河川、排水溝に流れ込んでおり、 発育阻害や乳幼児の死亡率の増加等間接的な影響を及ばしている。(※3)
持続可能な開発目標(SDGs)の観点からも「安全な水とトイレを世界中に」という目標のもと、安全な水の確保や水資源の保全、都市の持続的開発に向けて下水道整備が必要とされていることから、下水関連分野、衛生管理に関する課題を解決出来る企業の需要は高いといえる。
<活用が想定される製品・技術・ノウハウ>
下水処理技術、産業廃水処理技術、汚泥処理技術(汚泥中の重金属固定化技術、汚泥脱水装置、汚泥焼却炉)などで、日本の技術の活用が期待されている。
2. 廃棄物管理
国連環境計画(UNEP)によると、インドネシアは人口2億7,500万人と、世界で4番目に人口の多い国であるが、インドネシアは、中国に次いでプラスチック汚染が深刻な状況である。具体的には、年間320万トンもの適切に処理されていないプラスチックごみを排出しており、この問題への取組が急務となっている。
インドネシアの人口増加、都市化を促進する経済成長などに伴い、廃棄物の量及び種類が年々増加し続けており、管理が困難になっている。 インドネシアでは、地方自治体によるごみの回収が徹底されていない。ゴミの分別に関する規制は未整備で、今でも多くの人が道端にポイ捨てしたり、側溝に捨てたり、空き地で燃やしたりしている。廃棄物が流れ込んだ排水路は大雨の際に洪水を引き起こす可能性があるほか、空き地での廃棄物の燃焼により有害物質が放出され、住民の健康に悪影響を与えている。
インドネシアの廃棄物発生量は年間6,780万トンに達する。(※4)インドネシアでは他の種類の廃棄物と比較して有機廃棄物の量が最も多く、その割合は60%(プラスチック廃棄物は14%)に達する。
インドネシアの多くの最終廃棄物処分場は既に過負荷状態にあり、2005年2月21日に爆発、倒壊したレウィガジャ最終廃棄物処分場で、ゴミの土砂崩れにより145人以上が死亡する事件も発生している。(※5)
インドネシア政府は、廃棄物管理セクターが炭素排出量削減の対象となる5つの部門の1つであるため、2025年までに廃棄物の30%を削減し、廃棄物の70%を処理するという政府目標を掲げている。(※6)
インドネシアにおける廃棄物管理は、構造的、制度的課題から国民の意識に至るまで依然として大きな課題であり、人口密集地域で適切な廃棄物処理システムを構築することが大きな課題となっている。
<活用が想定される製品・技術・ノウハウ>
廃棄物の回収、減容化、リサイクル原料化・再利用について、日本の技術の活用が期待されている。
(※1) 政府説明資料 (jica.go.jp)
(※2) Rethinking industrial wastewater treatments to boost Indonesia’s water security - Academia - The Jakarta Post
(※3) UNICEF: Water, sanitation and hygiene (WASH)
(※4) This statistic is according to Purnomo, C.W. 2021. Solusi Pengelolaan Sampah Kota. Sleman: Gadjah Mada University Press.
(※5) Ledakan TPA Leuwigajah, Insiden Paling Parah yang Pernah Terjadi di Indonesia - Tekno Tempo.co
(※6) Indonesian President Regulation No. 97 of 2017, Indonesia has a National Strategy Policy on Managing and Reducing Waste. Roadmap toward the 2025 Clean-from-Waste Indonesia (Indonesia Bersih Sampah 2025).
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