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- ラオス ― 注目分野(農業分野)
ラオスの豊かな自然とともに、持続可能な農業の未来を一緒に育てましょう。
特に応募を期待する分野
- 食品加工技術、梱包技術を通した農産品高付加価値化による輸出振興
- 国外市場に求められる品質をクリアした商品開発の技術・ノウハウ
(例:コーヒーはラオスの主要な輸出品目であるものの、豆の選別や焙煎後の香りを保持するパッキング技術等が不足しており、生豆で輸出されている状況) - ラオスで生産可能な商品作物の選定・栽培・買付(現地企業・農家への技術指導含む)
- 農業資材(種子、肥料、飼料の製造技術)
- デジタル技術を活用した農業生産性向上(農薬や肥料の適正使用に係る技術など)
- 国内外輸送、中間貯蔵施設、輸出等の流通システムの構築
応募を期待する背景・ラオス国の現状
ラオスは国土の約58%(※1)が森林で覆われ、人口の約70%(※2)が農業に従事する自然豊かな国です。日本と同じくコメを主食としており、季節は雨季(5月から10月頃)と乾季(11月から4月頃)にわかれ、季節にあわせた生業が営まれています。
農林水産業はラオスの主要な経済活動の1つであるものの、農業セクターの2016年-2020年の経済成長率は2.1%と低く、農業生産額の対GDP比も年々減少しており、2010年の30%から2021年には18.13%となっています(NSEDP9, 2021年)。NSEDP9では農業セクターを更なる収入と雇用を生むセクターと位置づけ、優先分野として、(1)流通の改善、(2)クリーン農業、(3)生産作物の多様化、(4)新技術を利用した農業生産性の向上やスマート農業、(5)自然災害に耐えうる農業インフラの整備、(6)各地域に適した農産物の特定、(7)高い食品安全基準の確立等を上げています。(詳細はJCAP(JICA国別分析ペーパー)
)
<ラオス農業のポテンシャル>
【気候と地勢】ラオスは亜熱帯でありながら山岳の多い国土のため気候の多様性に富み、特定の気候を必要とする薬用植物などの生育に適した地域もあり、幅広い作物を対象に農業振興をしていく高いポテンシャルを持っています。特に南部のボラベン高原(標高1200m)ではコーヒーや高原野菜などの栽培が盛んです。
【有機農業】ラオスの農業は小規模農家による自給的な農業が大半を占めており、肥料や農薬等の十分かつ適切な使用による栽培技術が十分に浸透していないため、生産は天候に大きく依存し、品質・生産性共に低い傾向にありますが、その半面、肥料や農薬等の使用が比較的少ないことから、有機農業振興の素地があります。
【農産加工】農産物の加工(缶詰、ドライフルーツ)などのほか、乾燥や粉砕、包装などの一次加工により現在生産されている農産物の付加価値を高めることが期待できます。ラオス政府は農産物輸出促進を主要政策として掲げていますが、一次産品の輸出にかかる検疫協定が結ばれている国・品目がまだ少ないのが現状です。
【肥料】現状ではタイから化学肥料が多く輸入されています。ラオス政府は輸入品を置き換えるための国産農産物生産の促進を支援しており、国内産肥料の自給率を70%まで増加しようとしています(2023年の自給率は48.7%)。ラオス国内にはカリウム鉱山があり、カリウム塩を使用した工場も建設されています。
【コールドチェーンの整備】現状では、適切に温度管理された低温流通・保管システムの未構築等が障壁となり、国内に流通する農産品に偏りが出たり、鮮度や質が落ちた状態で消費者に届いていることから、コールドチェーンの整備が望まれています。
<進出済み日系企業の主な投資分野>
・漢方薬原料
・イモ類
・コーヒー
・ハトムギなど
(※1) National REDD+ Strategy
(※2) World Bank
留意点
- 1 . 内陸国であり、国外へ輸出する場合や、近隣国の港まで運送する際の物流コストが高いものの、人件費は近隣国と比較して安価です。
- 2 . 農家と契約栽培による原料調達をする場合、農家は外国人とのビジネス経験が乏しく長期的な視点で取引先を選択することが難しいため、契約反故の事例(日本企業よりも高値を提示した近隣諸国バイヤーに契約対象の農作物を先に販売したケースや、国際市場のトレンドに左右され一時的に高値を示す農作物に栽培作物を変更したケースなど)が聞かれています。
- 3 . ラオスの農業は生産技術自体が低く、外資系企業が求めるロットでの安定生産・供給や品質が課題となることが多いため、加工による付加価値向上だけでなく生産段階からの技術支援が必要となる可能性があります。
- 4 . ラオス国内での農業生産から販売を想定するビジネスモデルは小売・卸外資規制に留意する必要があります。
- 5 . ラオス農家は農薬や化学物質に対し健康を害するものとの意識が強く、生産性向上のための農薬・肥料使用とは言え、購入コストや使用に係る手間を考えると、農薬・肥料を使用せずに安価で楽な栽培方法を好む農家もあるため、彼らを顧客やビジネスパートナーと想定する場合は留意が必要です。
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