アルゼンチン(広域協力):南米南部家畜衛生改善のための人材育成

本プロジェクトは、アルゼンチン国を中心として南米南部の3か国(ボリビア国、パラグアイ国、ウルグアイ国)をパートナーとする広域技術協力プロジェクトであり、2005年8月1日に開始し、2010年7月までの5年間で行っています。本プロジェクトは、スペイン語のElProyecto de Desarrollo Profesional Continuo para los Veterinarios del Sur(南部の獣医師の継続的な専門知識向上プロジェクト)を略してPROVETSURと呼ばれています。

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ボリビアにおける狂犬病予防接種キャンペーン

支援の背景

南米南部においては、経済的な結びつきの広域化、深化が進み、同地域の主要産業の一つである畜産業の活性化につながり、国際間の家畜生体・畜産物の流通が盛んになっていると同時に、家畜疾病が国境を越えて伝播するリスクが高まっています。家畜疾病は、ひとたび発生すると単純に家畜が損失し、農家経済に影響を与えるだけでなく、家畜・畜産物の輸出禁止措置等により国家経済に多大な影響を与える危険性を秘めています。その結果として、獣医学分野における疫学の理解や診断技術の向上がますます重要になっています。また、地域戦略として、家畜疾病のコントロールと家畜衛生の改善が喫緊の課題として求められています。本プロジェクトは、獣医師の継続的な専門知識の開発を通じて、本地域における家畜衛生の改善と家畜の生産性向上に寄与するために計画されました。

プロジェクトの実施

本プロジェクトは、南米南部の4か国の獣医学領域の広域連携システムのフレームワークを構築するとともに、獣医学分野に対する社会の信頼感を維持・促進するために、獣医師職員による活動により社会の要請に貢献できるよう、継続的に各獣医師の専門知識の向上が図られる環境づくりを目指しています。

本プロジェクトは、パートナー国それぞれの多様な関心に対応しています。例えば、ボリビア国では、獣医公衆衛生分野で極めて重要な狂犬病の問題があります。そのため、プロジェクトでは、ワクチンとより優れた診断ツールを開発するとともに、狂犬病の疫学に関する理解を向上させることにより、狂犬病対策に取り組んでいるところです。一方、パラグアイ国では、鶏の感染症であるガンボロ病の問題解決を要望しています。最終的には、パートナーの4か国が、本プロジェクトを通じて得られた経験や診断技術を互いに共有し、現場の獣医師に提供できる体制を構築できるよう取り組みを進めています。

プロジェクト概要

  • 第三国:ラ・プラタ大学獣医学部(アルゼンチン)
  • 受益国:ガブリエル・レネ・モレノ大学獣医学部(ボリビア)
    アスンシオン大学獣医学部(パラグアイ)
    共和国大学獣医学部(ウルグアイ)
  • プロジェクト名:広域協力を通じた南米南部家畜衛生改善のための人材育成プロジェクト
  • 協力期間:2005年8月1日から2010年7月31日