【開催報告】AFRI-CONVERSE 2024 #02 「変革の "原動力 "としての若者:アフリカとともに行動しよう」
2024.07.01
パネルディスカッションの様子
2024年5月27日、JICAはUNDPと上智大学との共催により、今年2回目となるTICADやアフリカ開発に関する公開セミナー“AFRI-CONVERSE”を、上智大学で開催しました。
今回はアフリカ連合(AU)が制定するアフリカ・デー(毎年5月25日)と上智大学のアフリカWeeks(毎年アフリカ・デー前後)の開催にあわせて、「変革の
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原動力
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としての若者:アフリカとともに行動しよう」というテーマのもと、今年8月のTICAD 閣僚会合や来年8月のTICAD9に向け、未来を担う若い世代が取り組むアフリカ関連のイニシアティブの可能性について、様々な活動を率先するリーダーが登壇して議論しました。
また、会場では日本初の試みとなる模擬AUのローンチングが、主催者である学生団体の代表によって宣言され、日本・アフリカ双方で若者が果たす役割の重要性に注目が集まりました。
模擬
AU
のローンチングを宣言する模擬
AU
実行委員会の大野代表
イベント冒頭では、アフナ・エザコンワUNDP総裁補兼アフリカ局長のビデオメッセージが紹介され、模擬AUの立ち上げを祝い、アフリカと日本の若者が共通の目的に向かい、仲間意識をもって相互理解を育むことに期待を寄せるとともに、若いリーダーたちがTICADをより意義あるものにするために果たす重要な役割を強調しました。続いて、牧原秀樹衆議院議員(自由民主党国際協力調査会TICADプロジェクトチーム座長)がオンラインで登壇し、約20年間にわたるアフリカとの関わりを振り返りました。牧原議員は、アフリカが急速に成長してきたこと、それに伴い日本とアフリカの関係も援助から対等なパートナーシップへと変化してきたことに言及しました。さらに、日本とアフリカの若者が模擬AUなどの取組みを通じて双方の未来を共に創り上げていくことへの期待と激励の言葉を寄せました。
アフナ・エザコンワUNDP総裁補兼アフリカ局長のビデオメッセージ
パネルディスカッション冒頭では、スタディーツアーで初めてアフリカを訪れた上智大学の学生二名がアフリカ滞在を通じて学んだ自身の経験を紹介。齊藤舞氏は、農業部門での女性のエンパワーメントを研究テーマとした二週間のジンバブエでの経験を語りました。ジンバブエ渡航前は現地で受け入れてもらえるのか不安に感じていたが、渡航後にはムビラ(ジンバブエの楽器)やダンス等の現地文化にも積極的に触れ、人々の優しさや温もりを感じることができたと話しました。沖和樹氏はコートジボワールに渡航し、経済やインフラの発展の度合いや現地の人々のポジティブな明るさに驚いたと述べました。また、「アフリカ」と一括りにされがちなアフリカ大陸内にも多種多様な文化や民族が存在していることを強調するとともに、アフリカ教育関連の国際NGOでインターンシップ中であることに言及しました。
その後のパネルディスカッションでは、アフリカに関わる活動を続ける若手リーダーを登壇者に迎え、アフリカに関連する若者のためのコミュニティ作りや研修プログラムを運営している株式会社アクセルアフリカ
CEOの横山裕司氏がモデレーターを務めました。
休場(やすみば)優希氏はJICAに勤務する傍ら、仲間とともにアフリカに関する政策提言を目指すAfrica Asia Youth Nest
(AAYN)を設立。日本とアフリカの若者たちの共創の場を広げ、来年8月のTICAD9に向けたユースの行動計画をまとめ、政策提言につなげていく活動をしています。休場氏は、アフリカの人々の視点を知ったことが世界や将来への視野を広げるきっかけになったと話し、JICAというアフリカに近い環境で働く経験が、自身がリードするAAYNの活動に活きていることや、今後もこうした活動を続けていきたいと語りました。最後に休場氏は会場の参加者に向けて、「アフリカに関わり、若者主体のイニシアティブを盛り上げていってほしい」と呼びかけました。
続いて上智大学アジア文化研究所の研究員であるレイバン・キティンジ・キニュア氏が、自身が大学で受け持つクラスでの活動について話しました。キニュア氏は自身の授業がアフリカに対する偏見を払拭し、データと事実に基づいた建設的な議論を行う場となることを目指していると説明し、日本での生活や大学での経験が新しい視点を得る機会となり、自己を見つめ直すことに繋がったと述べました。また、今後も多様性や変化を受け入れながら活動を続けたいという意気込みを示し、アフリカへの偏見や先入観を払拭するためには、実情を正しく知り、継続的に学ぶことが重要であると強調しました。
東京大学の学生である齊藤花・ジェニファーイフォナイア氏は、African Youth Meetup Japanという団体で日本に住むアフリカルーツを持つ若者をつなぐ活動をしていることに言及し、アフリカや黒人系の人々に対する偏見が依然として残る中で、アフリカにルーツを持つ子供たちが集い、自己表現ができるような場を提供していると述べました。齊藤氏は、自身がルーツを持つナイジェリアでの滞在経験が自己理解を深める契機になったと述べ、同じようにミックスルーツを持つ人々が自身の文化やアイデンティティをより深く自覚できる機会を作りたいという思いにつながったと説明しました。また、アフリカと日本の将来のためにより多様な人々を包摂したコミュニティ作りが求められており、先入観を捨てて当事者の話を聞くことが重要であると強調しました。
(左から)齊藤花・ジェニファーイフォナイア氏、横山裕司氏、
齊藤舞氏、沖和樹氏、休場
優希氏、レイバン・キティンジ・キニュア氏
閉会の挨拶では、JICAアフリカ部次長の上野修平氏が、自身のアフリカでの経験を踏まえながら日本とアフリカの若者による共創が広がることへの期待を述べた後、アフリカ連合委員会女性・ジェンダー・青少年局長のプルーデンス・ングウェンヤ氏からの祝辞を代読しました。メッセージでは、「アジェンダ2030」の達成において、社会経済変革の原動力として若者の重要性が強調された点に触れ、模擬AUが若者たちの協力を促進するプラットフォームとなり、TICADが目指すアフリカと日本の未来につながっていくと期待を寄せました。
上野修平氏
今回のアフリコンバース第2回目では、若手リーダーが中心となり、現地で感じたことや得た学びを共有しながら、今後、日本とアフリカの関係を強化してより良い未来を共に築くためには、両者が偏見や先入観を打破し、当事者の話を互いに聞き、現地に直接関わることが重要であると強調されました。
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