ブラジル×日本 -新型コロナウイルス検査体制強化に向けた産官学連携-

2020年12月3日

検査拡大のための新しいパートナーシップ

ブラジルにおける新型コロナウイルス感染者数は600万人を超え、世界3位の感染者数、第2位の死亡者数となっています。JICAは国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)との連携により、2017年より地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)「ブラジルと日本の薬剤耐性を含む真菌感染症診断に関する研究とリファレンス協力体制強化プロジェクト」を実施しています。このプロジェクトの実施機関である千葉大学、カンピーナス州立大学(UNICAMP)、JICA専門家、そして本プロジェクト活動で協力いただいている栄研化学株式会社による産官学連携により、栄研化学が開発した新型コロナウイルス検出試薬“Loopamp(TM) SARS-CoV-2 Detection Kit”の性能評価試験がブラジルにて実施されることになりました。

この取組みにあたり、JICA、千葉大学、UNICAMP、栄研化学は四者覚書「ブラジルにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査拡大のためのパートナーシップ(PACT Brazil:Partnership for Accelerating COVID-19 Testing in Brazil)」を締結しました。

パートナーシップ立上げにかかる式典を遠隔で実施

2020年11月26日、パートナーシップに参加する四つの機関が遠隔で集まり、連携の立上げにかかる式典を遠隔にて実施しました。

冒頭、JICAの佐久間人間開発部長は、本年9月菅総理の国連総会でのスピーチに触れ、予防・警戒・治療の3つの柱と統合させた包括的なCOVID-19への対応に言及。本パートナーシップがブラジルと日本の警戒体制強化に重要な位置づけである点を強調しました。

また、栄研化学の納富専務執行役は、ヘルスケアを通じて人々の健康を守るとの経営理念のもと、簡便かつ高感度な遺伝子検査の実現を通じてユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現、SDGsへの達成へ貢献したい旨発言がありました。

千葉大学の笹川真菌医学研究センター長からは、今回の検査手法が双方の大学のみならず、日本ブラジル両国の公衆衛生行政にとっても重要な意味を持つことが強調されました。

UNICAMP附属病院のトラバッソ副病院長は、これまでの長年のJICAの協力に感謝を示すと共に、これまでの協力で培ってきた栄研化学の検査手法を活かして、迅速診断が実現することへの期待を表明しました。

UNICAMPのノーベル学長は、UNICAMPがサンパウロ全州の25%の検査を担っていることを紹介し、今回のパートナーシップが新しい可能性を生み出すことへの期待に言及しました。さらにワクチン開発が重要であると同時に、検査数を増やすことの重要性を強調しました。

このパートナーシップが日本及びブラジルにおける検査体制の強化、ひいてはCOVID-19の一日でも早い終息につながる重要な一歩となることが期待されています。

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【画像】

(左上から時計回り)笹川千葉大学真菌医学研究センター長、マルセーロ・ノーベルUNICAMP学長、納富栄研化学(株)専務執行役、佐久間JICA人間開発部長