「JICAは、世界を救うヒーロー養成所」

【写真】近藤 勝士さん津島市立東小学校 教員
近藤 勝士さん

「小中学校社会体験型教員研修」として7月と8月の2ヶ月間、JICA中部で勤務していただいた津島市立東小学校の近藤先生に、研修の感想や今後の展望を伺います。

研修を終えて、JICAという組織に対してどんな印象をもっていますか?

【画像】正直、私は研修前にJICAという組織について、途上国へ専門家を派遣し技術支援を行っていることや、JICA海外協力隊を派遣していること、教員向けの研修を行っていることぐらいしか知りませんでした。しかし、実際に働かせていただく中で、さまざまな形での広報、民間と連携しての途上国支援、長期・短期海外研修員の受入れ、大学生や社会人向けのイベント企画、施設管理など、様々な業務を行っていることを間近で知りました。JICAは、日本のODAの二国間援助を一手に担い、国内に15か所、海外に約100か所の拠点をもち、150以上の国や地域で事業を展開する大きな組織。ビジョンは「信頼で世界をつなぐ」。JICAの支援の仕方は、ただお金やモノを援助するのではなく、人を育て、途上地域の持続可能な発展を考えた支援。はじめは嫌われてでも相手に自助努力を求めていき、相手をパートナーとして考え、共創していく。そうした支援の結果、信頼も生まれる。素敵な支援の仕方だと思います。まさに、JICAは“世界を救うヒーロー養成所”だと感じました。

2カ月の研修で経験したことは何ですか?

【画像】外部のSDGsイベントでのブース出展、なごや地球ひろばの展示入れ替え、中学校での出前授業、訪問プログラムや国際理解教育部会やJICA職員向け研修会における開発教育の授業実践紹介、ウェブ記事の投稿、海外研修員向けイベント参加、海外研修員の研修同行、大学生合宿ワークショップファシリテーターなどを経験させていただきました。新たな知識や気づきをいただき、今まで行ってきた開発教育・国際理解教育の実践を改めて見つめ直し、どのように発信していくことがよいのか、これからの教育になぜ必要かということを改めて考えるきっかけを多くいただきました。

今回の研修を通して感じたことや印象に残ったことは何ですか?

【画像】教育現場では、「主役は子どもたち」と言われ、まさにその通りです。ただ、主役とはどのようなものか?そこをはき違えてしまっては、よい教育にはならないし、人財は育たない。主役とは、手取り足取り援助され、目立つ人ではなく、自ら道を見つけ、進んでいく意欲と行動力をもつ人。もちろん、自分ではどうしようもない状況が出てくれば、周りの大人の出番!共に共創する意識で寄り添い、支援していく。時には嫌われてでも、自助努力を促す。まさにJICAの支援の仕方とリンクすると思います。現在、子どもたちに寄り添い、悩みや困りごとを見極めながら支援していく教育が求められていますが、一歩間違えれば、何でもやってあげてしまう支援になってしまっている状況もあるはずです。子どもの将来を考え、必要ならば嫌われてでも自助努力を求めていく(もちろん愛情をもって)ことも大切だと忘れてはいけないと思います。
JICA職員の方のこんな言葉が心に残っています。『支援の仕方に正解はない。理想はJICA自体が必要なくなること』。教員も同じだな〜と思います。子どもたちが卒業していくまでに「先生はもういらない、自分(たち)で大丈夫」と言えるような人を育てていくことが大切だと思います。

最後に何か一言お願いします!

【画像】教員の常識は社会の非常識と言われますが、それぞれの組織の常識は他の組織の非常識であり、日本の常識も世界の非常識ということに気づかされました。それぞれがそれぞれの文化や伝統を大切にしながらもよりよい形を見出していくことが大切だといえます。前回の投稿でも言いましたが、今後、教育関係者と国際協力の関係者が互いに連携する動きが具体化し、活発になっていくことがますます求められるようになっていくはずです。そのために、私自身が潤滑油のような役割を担えたらと考えています。日本の教員として、一人でも多くの子どもたちが世界に羽ばたく人財となっていくように教育現場で頑張っていきたいと思います。

この研修に参加できたこと、研修参加にあたって協力いただいた方々、JICA中部の職員のみなさん、私の職場のみなさん、全ての方々に心から感謝です。ありがとうございました!