大学生インターンによる留学生インタビューその2 エチオピア編

【写真】Hirpo Biya GirmaさんJICA・元長期研修員(ABEイニシアティブ)
Hirpo Biya Girmaさん

名古屋工業大学大学院工学研究科に在籍するエチオピア出身のHirpo Biya Girmaさん (ビヤさん)にインタビューを行いました。ビヤさんは、JICAの事業である「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)※脚注1」の研修員として来日しています。聞き手は名古屋大学法学部3年の玉崎寛太さんと名古屋市立大学人文社会学部4年の大野愛希さんです。

ビヤさんについて

左からビヤさん、大野、玉崎

ビヤさんは、エチオピアの首都アディスアベバから南に150kmの所に位置するアセラという街の出身です。名前のビヤは「国」という意味だと教えてくれました。大学で建築を勉強された後、大学の教員として働いていましたが、大学で開かれた日本の大学とのフォーラムに参加したことがきっかけで、来日されたそうです。名古屋工業大学では都市開発の研究室に所属し、特に区画整備を専門に研究されています。帰国後のビジョンとしては、日本で学んだことを活かすことを前提に、区画整備事業を行う企業を立ち上げるか、または都市再開発事業に取り組むエチオピア政府の機関に入庁するか、のどちらかの道に進むことを検討していると真剣に語ってくれました。

エチオピアについて

エチオピアではコーヒー文化が根付いており、コーヒーを飲みながら長い時間をみんなで噂話をして過ごすそうです。他にも、陸上の長距離種目が盛んで、街中には毎朝ランニングをしている人が多く見られるそうです。
また、エチオピアには約80もの民族が共に暮らしています。近年、多様化の概念が広がった一方で、昔はなかった人種差別が国内で生まれているそうです。この問題について取り組んでいく必要があるとビヤさんは考えています。

来日前後の日本の印象

笑いは何度も起こりました

来日前は日本については、ニュースでテクノロジーやブランドが優れているという印象を持っていました。しかし、日本のことを詳しくは知らなかったそうです。現代の日本文化の象徴とも言えるアニメは、エチオピアではほとんど目にすることはないと語っていました。来日後の日本の印象は、向上するばかりで、日本食がお気に入りになったそうです。特にてんぷらが好きだと笑いながら話してくれました。

日本人とエチオピア人の異同

日本人とエチオピア人はシャイな点や騒ぎ過ぎず静かでいる点が似ていると言っていました。ビヤさんは、エチオピアは植民地支配を受けなかったこともあり、西洋の文化が流入することがなかったため、このような国民性が形成されているのではと考えているようです。また、違うところとしては不便な点に対する姿勢を挙げていました。不便な点を問題点としてどんどん解決していくのが日本である一方で、エチオピアは不便な点を改善するのではなくそれに順応していくそうです。

インタビューを終えた感想

最後も笑顔で!

名古屋大学法学部3年 玉崎寛太
これまでも大学で留学生と交流する機会はありましたが、アフリカ出身の方と関わることは初めてだったので今回のインタビューはとても新鮮なものでした。インタビューは英語で行われたのですが、私はあまり英会話に親しんでいないこともあり少し緊張していました。しかし、ビヤさんが熱心に話をしてくれたこともあり何とか食らいついていくことができました。また、遠いエチオピアから志を持って日本に学業を修めにやってきたビヤさんの存在は、私にとってとても刺激になりました。ビヤさんの学びに真摯な姿勢を自身の生活に取り入れ、一人の人間としてもっともっと成長していきたいです。

名古屋市立大学人文社会学部4年 大野愛希
 時折、笑い声を響かせながら終始穏やかな雰囲気でインタビューは進んでいきました。インタビューの中で、ビヤさんが話す英語の発音が、私が慣れているものと少し違っていて戸惑うことがありました。しかし、同じ英語の中にも多様な発音があることを実感でき、良い経験となりました。なんとなく持っていたエチオピアの「暑い・賑やか・日本とは全く異なる」というイメージが180度変わった、そんなインタビューでした。ビヤさんが「アフリカに来て欲しい」と伝えてくれたことを受けて、実際に現地を訪れて知る大切さを考えさせられました。