日本とルワンダをつなぐ架け橋に

 
 

協力隊時代 参加型実験「ロウソクの火を大きくしよう!」

浅野 拳史(あさの けんし)さん

2015年度1次隊ルワンダ理科教育
1990年生まれ 静岡県浜松市出身 牧之原市在住 
ルワンダYAMBI CONNECT LTD
株式会社マキノハラボ 代表取締役

協力隊に応募したきっかけは何ですか?

大学生の時に世界一周をし、約30カ国を訪れましたが、東アフリカ地域の陽気な雰囲気、文化が自分に一番合う感じがしました。次は旅行ではなく、アフリカの人々と一緒に働いてみて、それでも楽しかったらアフリカで仕事を続けていきたいと、そのころから考えるようになりました。そのためにまずはJICA海外協力隊という制度を利用してルワンダに行こうと考えました。

ルワンダでの「理科教育」隊員としての活動について教えてください。また、授業で改善していきたいと感じたことは何でしたか?

ルワンダでは、小中高一貫の大きな学校に配属され、中学校で物理を教えていました。物理を教えるにしても、生徒達が教科書を持っていないので、まず教科書を黒板に書き写すところから授業が始まります。2時間の授業で、先生が生徒のほうを一回も振り返らずただ板書だけをして終わることもあります。これでは生徒は面白くないので、楽しく学べるように何とかしたいと考えていました。

活動で工夫した点や手ごたえを感じたことを教えて下さい。

高校生スタディーツアー ルワンダ高校生との異文化交流

まず物理に興味を持ってもらうことを考えていきました。1クラス50人以上もいるクラスで、授業中に寝ている生徒、聞いていない生徒が多く・・・彼らを巻き込めるのは、「考える実験」だと思い、まずは道具と仲間作りをしていきました。実験用具は、ボランティア団体から寄付されたきり、ずっと埃を被って用具庫の奥に眠っていたのですが、実際に実験をやってみようと同僚の先生方に声を掛けると、使い方を知らなかっただけで意外と楽しんでやってくれ、すぐに授業に取り入れてくれました。基本的なことではありますが、工夫したことは、(1)実物を見せること(2)参加型授業にすること、でした。先生から実験の答えや結果を絶対に言わないようにし、生徒に考えるためのきっかけを与えるなど、補助に徹しました。先生も生徒も楽しみ、そこから学びが深まっていく。実験をしていて、「なぜ?」「どうして?」という言葉が自然と生徒の口から出てきたり、授業後もずっと実験について覚えていてくれていたことは嬉しかったです。

アフリカでの生活は大変そうな印象があるのですが、実際はどうでしたか?

大変なことは、強いて言うのであれば2年間1度も水道から水が出て来なかったことでしょうか。20リットル20円の水が入ったタンク(ジェリカン)を買って生活をしていました。不便ではありましたが、地域の方々も同じように生活していましたし、慣れてしまえば問題ありませんでした。人間はすぐに順応できる強さがあることを知りました。食べ物については、外食でルワンダ料理も食べますが、自分で料理することが多かったです。現地の方に教えてもらいながら鶏を捌いて唐揚げを作ったり、豚を捌いたりしたりして、日本ではあまりできない体験をできとても勉強になりました。またルワンダはビニール袋の使用が厳しく制限されていて、道端にゴミが捨てられていることもほとんどありませんでした。また、アフリカといえど標高は1500m以上あるので、年間を通し日本の春や秋のような気候で安定していて非常に過ごしやすかったです。皆さんにも是非、美味しい食べ物と、豊かな自然をルワンダに来て味わって欲しいと思います。

現在のお仕事について教えて下さい。

旧片浜小学校と宿泊部屋

現在、会社を2つ経営しています。一つはルワンダにYAMBI CONNECT LTD.という会社を設立し、運営しています。ヤンビーはルワンダ語でハグという意味で、日本とルワンダを繋げるという意味の会社名です。事業内容は日本の高校生、大学生、社会人のスタディー・ビジネスツアーの企画、現地でのアテンドやサポートなどがメインです。参加者同士が学びあい、日本に帰った後もアフリカやルワンダに興味を持ち続けてもらえるよう、人と人との関係づくりにも重点を置いています。
もう一つは、静岡県牧之原市で株式会社マキノハラボという会社を運営しています。牧之原市の旧片浜小学校を市から借受け、「新たな教育・人づくりの拠点」として教育・まちづくり事業を行っています。事業内容は多岐にわたり、施設活用事業、スマート農業事業、宿泊・飲食事業、教育事業、まちづくり事業などがあります。小学校に宿泊ができるように整備し、特に若い世代の方々に宿泊や合宿などに利用してもらっています。是非、ルワンダだけではなく、牧之原市にも遊びに来てください。
今日本で経験していることを、最終的にはルワンダでのビジネスに繋げ、ビジネスを通して牧之原市やルワンダを楽しく知ってもらい、各地域のファンになってもらいたいという強い気持ちがあります。

協力隊生活で役立った・学んだことはありますか?

日本とルワンダで環境も言葉も文化も全然違うのですが、人間同士、信頼を築く方法は同じでした。まず毎日顔を合わせて挨拶をし、話をして地道に人間関係を作っていくこと。そこからその人達のニーズを聞き、その地域の課題を解決していくことが何よりも大事でした。

最後に協力隊を目指す方に一言お願いします。

協力隊に参加すると、自分や社会をより良くしようという意思のある素敵な仲間と出会えます。協力隊生活は2年間で終わりますが、隊員同士や現地の友人との関係はずっと続いていきます。今も、仕事で連携することが多いです。2年間のボランティアのその後まで考え、是非キャリアの一つとして考えてみて下さい。