新しい形態の日系社会研修(多文化共生推進/日系協力型)を遠隔で実施

2021年5月14日

新しい形態の日系社会研修(多文化共生推進/日系協力型)を開始しました。

吉實さん(左下)とNPO法人可児市国際交流協会のスタッフの皆さん(上3名)

これまで、JICAは中南米の日系社会の発展と移住先国の国造りに貢献することを目的に、様々な取り組みをしてきました。その一つが海外から日系人の方々を日本に招聘して行う研修事業です。これまで様々な分野の研修を実施し、研修員の方々は多くのことを学んで、地元の日系社会を含めその国の更なる発展に寄与しています。
今回JICA中部では新しい形態「多文化共生推進/日系協力型」(略称「日系サポーター事業」)の研修を遠隔で実施しました。この研修の目的は参加する研修員が日本で学ぶことの他に、在日の日系人の方への支援も行います。在日日系人の方々は言葉の問題や学校制度の違い等、様々な困難を抱えて日々を生活していることが少なくありません。それらの困難に対応するため地方自治体やNPO等が支援をしていますが、研修員はそれらの支援事業を現場で経験することを通じて、日本でどのような支援事業が実践されているかを学びます。それらの経験を自国の日系社会の為に役立てることが期待されています。

当初、2021年1月中旬から3月上旬の予定で研修員は来日し、岐阜県可児市にあるNPO法人可児市国際交流協会様の指導の下、研修を実施予定でしたが、コロナ禍により断念し、遠隔方式に切り替え、2月に2週間の研修を実施しました。
参加した研修員はブラジルのミナスジェライス州の州都であるベロオリゾンテ市に住む吉實さん(日系3世)です。彼は日本での生活経験がある日本語が堪能な日系人です。吉實さんが住んでいるベロオリゾンテ市は日本と12時間の時差があるため、日本時間午前9時30分(ブラジル時間、前夜の午後9時30分)から約1時間半から2時間を一コマとして2週間に渡り、研修を行いました。日本の土曜日も、ブラジルでは金曜日なので、研修を行いました。

研修の内容は、「日本における在日日系人の概要」、「岐阜県可児市にける外国籍住民の概要」、「現在の課題とそれらへの対応」、「吉實さんの日本での行動計画」等です。
講義形式で吉實さんが話を聞いたり、可児市国際交流協会に勤務する日系人スタッフと意見交換するなど、双方向の研修が実施できました。最終日には吉實さんのお父さん(日系2世)まで登場され、和やかな雰囲気のうちに研修を修了することが出来ました。
吉實さんから提出された、日本で実施してみたい行動計画はどれも具体的で、例えば在日日系ブラジル人を対象とする現状報告会を開催する等、在日日系人の方々の役に立つことが期待される内容でした。

2021年度の研修(遠隔研修にて)は年5月11日から開始されており、ここで紹介した2020年度の研修はその基礎知識として活用されます。吉實さんの活動は今後も発信していきたいと思いますが、早くコロナが収まり、吉實さんが日本で研修が出来、日本とブラジル双方で活躍することを切望しています。