インドネシア貿易研修センター向け「デジタルマーケティング」研修を実施しました。

2022年4月28日

【画像】2020年度、2021年度に「先進国市場を対象にした輸出振興/マーケティング戦略」をオンラインで実施しました(2020年度の研修実施報告は下部リンクから御覧いただけます)。本研修は、2020年11・12月と2021年10・11月にそれぞれ約2か月間に渡り、途上国の地場産業を活かした輸出向け商品のブランド化の手法やマーケティングの戦略について遠隔形式で学ぶものでした。研修参加者の一人であるHikmatul Afifah Darojahさんは、インドネシア貿易研修センターの研修コーチです。JICAの研修で学んだデジタルマーケティングの手法について同センター所属の他のコーチにも広めていきたいと考えたAfifahさんからの提案を受け、4月18日~22日に同センター向け「デジタルマーケティング」研修を開催しました。

JICAとインドネシア貿易研修センターの協力関係の歴史

インドネシア貿易研修センター(Indonesia Export Training Center)は、1980年代から2000年代にかけて、日本政府が技術協力プロジェクト、無償資金協力として設置・運営に協力した、インドネシア企業の国際競争力強化のため、輸出振興に寄与する人材を育成に取り組む公的機関です。首都ジャカルタの他、スラバヤ、メダン、マカッサル、バンジャルマシン、マタラムに地方センターがあります。

インドネシア貿易研修センターは、輸出振興に必要な知識やスキルにかかる様々な研修を提供しており、首都・地方の研修センターには商業省の公務員である研修指導者がいます。今回の「デジタルマーケティング」研修には、首都・地方から、Afifahさんを含む8名の研修指導者が参加しました。

デジタルマーケティングのニーズの高まり

研修終了時に講師と参加者で

デジタルマーケティングとは、インターネットやIT技術、デジタルメディアなどを活用したマーケティング手法です。インターネットやスマートフォンの普及により、消費行動の選択肢が増えたことで、売り手の宣伝・販売方法や市場調査、消費者との関係性の構築方法も大きく変わりました。これは世界中の傾向ですが、近年インターネット普及率が急速に伸び、2020年には50%を超えたインドネシアも例外ではありません。研修の開講にあたりご挨拶いただいたインドネシア貿易研修センター所長のHeryono Hadi Prasetyo氏は、グローバル化した市場で競争するにはデジタルマーケティングを効果的に行うことが不可欠であり、この新しいマーケティング手法の知識とスキルをインドネシア企業に普及していくことが急務の課題だと述べていらっしゃいました。

インドネシア貿易研修センターのリクエストに対応するため、オーダーメイドのオンライン研修を実施してくださったのは、有限会社人の森(愛知県一宮市)です。同社の野田直人代表と野田さえ子取締役がメイン講師となり、デジタルマーケティングを効果的に行う手法についてご教授いただきました。また、有限会社カンノカンパニー(東京都三鷹市)の菅野契也代表にはスマートフォンとパワーポイントを使って自前でプロモーションビデオを作成する方法を教えていただきました。参加者はプロモーションビデオのサンプルづくりの実践に取り組み各自が作成したビデオが披露されました。

<参加者から寄せられた感想>
・実践的な研修内容で、インドネシアの中小企業が必要とする知識が習得できた。
・パワーポイントを使えば、制作会社に外注しなくても自分でプロモーションビデオを作ることができるとわかった。
・効果的な広告手法、マーケットプレイスの選び方、使い方などについて理解を深めることができた
・日本の市場へのデジタルマーケティング戦略を考えていきたい。
・今回の研修を通して学んだことを、中小企業に対する研修プログラムに取り入れていきたい。

約30年前に日本政府の支援により設置されたインドネシア貿易研修センターは、インドネシア政府により自立運営されています。今回は、短期間のスポット的な研修としてグローバル時代の新しいマーケット手法の習得にJICAが貢献でき、理想的な協力関係へと発展していると言えます。

コロナ禍では、JICAの来日研修が見合わせとなり、短期研修を遠隔形式で実施してきました。来日ができないことはデメリットですが、研修期間前後にも研修員とオンラインでつながりやすくなったことはメリットです。今回のインドネシア貿易研修センター向け研修のように、短期研修後に研修員の所属組織に対するオンライン研修へと広げることができ、研修後のフォローアップが従来よりも実施しやすくなり、方法も多様化しました。今後も研修事業を通して培った研修員とのネットワークを広げていきたいと思います。