「教えて!JICA中部」第一回 課題別研修 アフリカ稲作研修編 前半

2022年10月11日

「教えて!JICA中部」第一回!

Halo semuanya! (インドネシア語:皆さん、こんにちは!)

JICA中部でインターン中の名古屋大学国際開発研究科1年生のレオナルドと申します。「教えて!JICA中部」シリーズの第一回として、アフリカ地域を対象に稲作の技術を伝える課題別研修について紹介したいと思います。この前半パートでは、研修の概要や、実際私が同行させていただいたフィールド実習についてレポートします。その前に、研修の背景についてご紹介します。

アフリカ地域とCARD

アフリカ地域での食べ物の一つ「イビシンボ・ニニャマ」

皆さんは、アフリカ地域と聞いた時、何をイメージしますか?アフリカ地域では貧困、飢饉、テロや、様々な社会問題に直面していることはよく報じられていますが、実は豊かな種類の食糧が存在しています。アフリカでは他の地域に比べて、穀類やイモ類が豊富です。そのため、様々な料理が存在していて、豊かな食文化を持っています。

しかし、自然災害と食糧危機の影響で、アフリカ諸国がそういった食文化を失う危機にあります。そのため、アフリカ諸国が国内の穀物生産量を増加するための取り組みを行ってきました。2008年に、JICAはアフリカ緑の革命のための同盟(Alliance for a Green Revolution in Africa: AGRA)と協力して、アフリカ稲作振興のための共同体(Coalition for African Rice Development: CARD)というサブサハラ・アフリカのコメ生産量の倍増を目標とする国際イニシアティブを発足しました。調理のしやすさと保存のしやすさ、そして熱帯地域でも生産できることから、生産量増加の対象としてコメに注目が集まり、CARDを立ち上げるきっかけとなりました。

アフリカ地域を対象にした稲作研修

JICA中部で講義を受ける研修員

講義で稲作について学ぶ様子

その一環として、現在JICA中部ではCARD対象国に中核的農学研究者を育成する課題別研修を行っています。5週間の集中プログラムを行い、研修終了後は自国でコメ生産量増加に取り組むことが期待されます。研修は共通研修2週間と個別研修3週間で構成されています。共通研修においては、稲作研究手法の習得のために稲作に関わる基礎的かつ応用可能な知識と技術、理論的思考方法等を教えます。個別研修では、研修員が大学や研究機関の受入研究者と一緒に3週間程度大学で自身の研究を行います。

フィールド実習—いざ四谷千枚田へ!

四谷千枚田の景色

四谷千枚田での灌漑の仕方を教える小山先生

アフリカ稲作研修の集合写真

共通研修の一部として今回、私たちは愛知県にある四谷の千枚田という棚田に訪れました。

四谷の千枚田は愛知県新城市の山の上に位置し、「ミネアサヒ」というコメの中でも特上ランクと認定されている品種が栽培されています。私は、研修コースリーダーである名古屋大学の江原先生、JICAの研修担当者、そして研修員たちと一緒にバスに乗って四谷千枚田に向かいました。

到着後、晴れた空の下に黄色い千枚田が私たちを迎えてくれました。山の上で黄金の稲穂が風に揺れる田園の風景は忘れられない光景でした。私たちを案内したのは、四谷の千枚田の保全に力を注いでいる保存会会長小山舜二先生でした。

小山先生は四谷の千枚田についての歴史、ミネアサヒの稲栽培の仕方、そして商業のためのコメとの違いについてなどを熱心に説明してくれて、研修員たちは興味津々でミネアサヒの栽培方法を聞きながら、雑草抑制、肥料の混合、水など様々な稲栽培について積極的に質問しました。研修員の一人、Musaさんは、このフィ—ルドを通じて商業用の稲作と違う視点を得て、新しい学びを得たと喜んで話してくれました。研修員たちが学びながら楽しく充実した時間を過ごせました。

後半パートでは、研修員たちと研修を担当した教授はどう研修を見ているのかを紹介したいと思います。次回をお楽しみに! Sampai Jumpa!


報告者
JICA中部 研修業務課 インターン プラタマ レオナルド