【実施報告】2017年度高校生国際協力体験プログラム

2017年8月14日

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2017年7月29日(土)から30日(日)の2日間、JICA中国で高校生国際協力体験プログラムを実施しました。
毎回大好評のこのプログラム、今回は中国4県から、国際協力や海外に興味のある22校45名の高校生が参加しました。
1日目は開会式から始まり、参加者全員で自己紹介を行いました。センター到着直後は緊張していた高校生も、自分の名前と出身県、行ってみたい国と今回の意気込みを参加者同士で伝え合うと、自然と笑顔があふれ始めました。

イスラム文化を理解しよう-自分自身の「偏見」に気づく-

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イスラムについて印象を書き出そう

1日目は、ネガティブな印象を抱かれがちなイスラム教について知りました。最初に「イスラム教に関するイメージ」を書きだし、続けてイスラム教の教えをクイズ形式で学んでいきました。その回答を聞くことで、当初抱いていた印象が変わった人もいれば、初めて知った習慣に驚く人もいました。それらをふまえて「言葉や文化、宗教が違う人と接する時に必要な心構え」をグループで話し合い、「相手の文化を尊重する」「対話を大切にする」といった言葉を発表しました。
このセッションはこれで終わり、にはなりません。あるゲームを通して、自分自身の中に潜む偏見や思い込み、無意識のうちに抱いている差別感情を体感しました。
異文化を尊重し、多様性を受け入れることが重要なのは、きっと誰もが理解しています。しかし、頭で理解していることと、いざ自分事として異なる価値観が迫ってきたときに自分の感情がどう動くかは、実は全く違うのではないでしょうか。差別はいけない、という「正解」通りに自分は本当に生きていくことができるのだろうか…。他者を理解するには、ネガティブな感情も含めた自分自身を見つめ直すこと。そんな視点から、イスラム教とそれを信じる人々を通して異文化について考えていきました。
その後、青年海外協力隊の体験談を聞きました。イスラム圏でありながら、アラブ諸国などと文化が大きく異なる中央アジアのウズベキスタンを例に、イスラム教にも多様性があることを知りました。そして、日本と異なる価値観や予想もつかないアクシデントに遭遇したとき、自分ならどうするか、異文化同士が対立したときに自分だったらどう相手と折り合いをつけるか、遠い国の事例を自分の足元に引き寄せて、当事者として頭を悩ませました。

お楽しみプログラム:JICA研修員との交流!

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どこまで高く積めるかな

夕食のあとは、参加者とJICA研修員・留学生との交流が行われました。
同じ枚数の紙を使って、どれだけ高く積み上げられるかを競う「ペーパータワー」を行いました。参加して下さった研修員や留学生に、高校生が英語を使ってルールを説明し、どんな形に紙を折るか、どのように積み上げるか、グループで作戦をたてながら進めていきます。出来上がったタワーは引率の先生方に計測して頂き、8グループの中で勝敗をつけました。
また、世界各国の国旗に使われている色を使った「色鬼」も行い、外の気温に負けない位、全員が熱い時間を過ごしました。

「グローバルタウン」をつくろう!-日本で、自分にできること-

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ムスリムへインタビュー!

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話の中から課題を抽出していきます

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活動計画の発表

2日目は、前日に学んだイスラムの知識を活かし、日本人も外国人もすべての人が楽しく暮らせる「グローバルタウン」を目指して、活動計画を作成しました。今回の目玉は、実際に広島県に住むムスリム3名にお越し頂いたこと。日本での生活で困ること、もっとこうなったら良いのに…と思う点をお話頂きました。中でも、シリア人の中学2年生が話してくれた体験談は身近な事柄が多く、高校生も共感しやすいようでした。毎日お弁当を持参していること、周りの友達が食事をしている環境での断食は大変なことなど、率直に語って下さり、それらのインタビュー内容から高校生は課題を探していきました。
また、引率の先生3名にもご協力頂きました。町民に成りきり、町の国際化を阻むような反対意見をあえて述べてもらい、合意形成の難しさを高校生に体験してもらいました。
計画作成後は発表です。必ず一人一回は発表する、をルールに、決められた時間内で自分たちの計画をプレゼンテーション、聞く側も批判的視点を持ちながら聞き、どちらも真剣そのものでした。「町のスーパー、大学、公園などにお祈りの場所を設置する」「国際理解の授業を学校でどんどん進めていく」「学校給食のメニューを週1回ハラルフードにする」など、ユニークなプランが飛び出しました。発表の後、ゲストのインドネシアの留学生は「高校生がイスラム文化を学び、こんなに真剣に考えてくれて嬉しい。自分たちも日本の文化を学び、理解していかなくては、と思った。お互いが壁を無くしていくことで、世界が全ての人に優しいグローバルな社会になっていくことを願っている」と感想をくださいました。
盛りだくさんの内容でしたが、参加してくれた高校生にとってこの2日間が新たな一歩になることを願っています。積極的に参加してくれた高校生のみなさん、引率の先生方、ありがとうございました!